11月12日の朝日新聞の広告
皮膚科医仲間のメーリングリストに参加している別の皮膚科専門医のかたから、朝日新聞11月12日の夕刊に下のような全面広告が掲載されたと教えていただきました。
江藤先生が、女優さんたちと、肌のトラブルについて対談しています。左上の写真が江藤先生です。広告主は「共催:マルホ株式会社、株式会社資生堂、朝日新聞社」となっています。 これは、10月30日に行われた「2e(ドゥーエ)10周年記念市民講座」の内容を掲載したもので、そのときのポスターがweb上に残っています。
(http://2e.maruho.co.jp/shimin_koza.pdf)
やはり「共催:マルホ株式会社、株式会社資生堂、朝日新聞社」です。
2e(ドゥーエ)というのは、資生堂とマルホとがコラボして販売している化粧品です。これの販促企画を、市民への啓蒙という公的意味もあるから、朝日新聞が一肌脱いで、協力しましょう、ということだったみたいですね。まあ、ぶっちゃけ、朝日新聞は、広告料を安くおまけしましょう、ってだけのことだったとは思いますが。
朝日新聞の広告料てのは、けっこう高いです。以前別件で問い合わせたときには、全国紙朝刊一面の下、縦3段横1/8で1回100万円でした。全面広告だと単純計算で100×4×8=3200万円です。夕刊で一面ではないですから、これよりかなり安いとは思いますが、それでも1000万円くらいにはなるのではないでしょうか。
この新聞広告の存在を紹介してくださった皮膚科医の先生は「このような共催企画をしている朝日新聞に、いくらステロイド依存やリバウンドの話をファックスやメールで送っても、聞く耳を持つはずがない」という悲観的なご意見でした。なるほどそうかもしれません。鈴木彩子記者も、ひょっとしたら、自社でこのような企画があることを知って、今回の患者さんを取材し、記事にしようとしたのかもしれません(「今回の記事」はこちら→11月10日、11月11日、11月12日、11月13日)。
しかし、わたしは、連絡をくれた皮膚科医の先生ほどには悲観的ではありません。それは、昨日も記しましたが、「ジャーナリスト魂」というものの存在を信じているからです。
それは、権威や利益といったものに犯されない、中立で公正な好奇心です。真実は何かを知ろうとする意欲です。会社としての立場とは別に、個々の記者さんというのは、多かれ少なかれ、それを誇りとして胸に抱いているはずです。
それは科学的な探究心とはまた、似て異なります。たとえば、政治や事件というのは科学ではありませんが、そこには必ず真実があります。事実、と言ってもよい。
誰の言っていることが本当か?誰が嘘をついているのか?ってことです。
今回の一連の企画は、もし、2e10周年記念の流れの一環であるなら、個人の記者さんとしては、それに対峙するような内容にはまとめられないでしょう。しかしいつか、ステロイド依存の問題に真正面から取り組んでいただきたいものです。
今回の一連の記事に関して、わたしのブログの存在を知って読んで下さった患者さんたちは幸いです。しかし、そうでない患者さんたちの多くは、今回の記事で悲しい影響を受けるかもしれません。そういった方々を少しでも減らすためにも、朝日新聞には、営利にとらわれない公正な報道をお願いしたいと思います。
(http://2e.maruho.co.jp/shimin_koza.pdf)
やはり「共催:マルホ株式会社、株式会社資生堂、朝日新聞社」です。
2e(ドゥーエ)というのは、資生堂とマルホとがコラボして販売している化粧品です。これの販促企画を、市民への啓蒙という公的意味もあるから、朝日新聞が一肌脱いで、協力しましょう、ということだったみたいですね。まあ、ぶっちゃけ、朝日新聞は、広告料を安くおまけしましょう、ってだけのことだったとは思いますが。
朝日新聞の広告料てのは、けっこう高いです。以前別件で問い合わせたときには、全国紙朝刊一面の下、縦3段横1/8で1回100万円でした。全面広告だと単純計算で100×4×8=3200万円です。夕刊で一面ではないですから、これよりかなり安いとは思いますが、それでも1000万円くらいにはなるのではないでしょうか。
この新聞広告の存在を紹介してくださった皮膚科医の先生は「このような共催企画をしている朝日新聞に、いくらステロイド依存やリバウンドの話をファックスやメールで送っても、聞く耳を持つはずがない」という悲観的なご意見でした。なるほどそうかもしれません。鈴木彩子記者も、ひょっとしたら、自社でこのような企画があることを知って、今回の患者さんを取材し、記事にしようとしたのかもしれません(「今回の記事」はこちら→11月10日、11月11日、11月12日、11月13日)。
しかし、わたしは、連絡をくれた皮膚科医の先生ほどには悲観的ではありません。それは、昨日も記しましたが、「ジャーナリスト魂」というものの存在を信じているからです。
それは、権威や利益といったものに犯されない、中立で公正な好奇心です。真実は何かを知ろうとする意欲です。会社としての立場とは別に、個々の記者さんというのは、多かれ少なかれ、それを誇りとして胸に抱いているはずです。
それは科学的な探究心とはまた、似て異なります。たとえば、政治や事件というのは科学ではありませんが、そこには必ず真実があります。事実、と言ってもよい。
誰の言っていることが本当か?誰が嘘をついているのか?ってことです。
今回の一連の企画は、もし、2e10周年記念の流れの一環であるなら、個人の記者さんとしては、それに対峙するような内容にはまとめられないでしょう。しかしいつか、ステロイド依存の問題に真正面から取り組んでいただきたいものです。
今回の一連の記事に関して、わたしのブログの存在を知って読んで下さった患者さんたちは幸いです。しかし、そうでない患者さんたちの多くは、今回の記事で悲しい影響を受けるかもしれません。そういった方々を少しでも減らすためにも、朝日新聞には、営利にとらわれない公正な報道をお願いしたいと思います。
江藤先生のコメントです。また「皮膚が象のように硬くなるのはステロイドの副作用ではありません」と言っています。よほど象がお好きなのでしょうか?・・厳密には間違っていることは、既に示しました。
新聞広告内に、皮膚バリア破壊のわかりやすいイラストがあったので、拝借しました。このバリア機能を低下させる外的要因の一つが、ステロイド外用剤であり、ステロイド依存の原因であることには触れられていません。
手荒れのひどいときの、皮膚の角質細胞剥離のイラストです。
数年前なら、解説文に「炎症がひどいときには、ステロイド外用剤を用いて抑えて、表皮バリアの回復に努めましょう」と記されていたところでしょうが、さすがに現在では、そうは書かれなくなりましたね。
ステロイドが表皮バリアを破壊するっていう事実は、ほんとうはかなりの皮膚科医が既に知ってます。しかし、患者からの不安・疑問をどうやってかわすかってことしか頭に無い皮膚科医はまだまだ多いです。自分がそれまで言ってきたことを否定訂正したくないですからね。昔「脱ステロイド叩き」をしていた先生方も、最近は「自分の社会的使命は果たした、あとは若い先生がたの時代だ。」とか言って、全然表に出なくなりました。たぶん「これはまずい」って思ったんでしょう。 そんな中、江藤先生お一人がお元気だって印象です。頑ななかたですね。しかし、さすがに、ご発言は微妙に変化してきています。
化粧品会社の技術部門の方々はとっくに知ってます。ステロイド外用後のリバウンドの動物モデルは確立されています(→こちら)からね。しかし、大手で研究部門を持った化粧品会社の作成したパンフレットは、とても巧妙です。間違ったことも書かないですが、化粧品の営業窓口である皮膚科医の面子も立てるために、ステロイド依存に関わる話も書きません。
「アトピービジネス」っていうのは、脱ステロイドからの離脱過程を利用するものだけではありません。上記のような、患者の存在を無視した、利益のための持ちつ持たれつの仕組みをアトピービジネスと言わずして何と言おう、と思います。
2010.11.12
数年前なら、解説文に「炎症がひどいときには、ステロイド外用剤を用いて抑えて、表皮バリアの回復に努めましょう」と記されていたところでしょうが、さすがに現在では、そうは書かれなくなりましたね。
ステロイドが表皮バリアを破壊するっていう事実は、ほんとうはかなりの皮膚科医が既に知ってます。しかし、患者からの不安・疑問をどうやってかわすかってことしか頭に無い皮膚科医はまだまだ多いです。自分がそれまで言ってきたことを否定訂正したくないですからね。昔「脱ステロイド叩き」をしていた先生方も、最近は「自分の社会的使命は果たした、あとは若い先生がたの時代だ。」とか言って、全然表に出なくなりました。たぶん「これはまずい」って思ったんでしょう。 そんな中、江藤先生お一人がお元気だって印象です。頑ななかたですね。しかし、さすがに、ご発言は微妙に変化してきています。
化粧品会社の技術部門の方々はとっくに知ってます。ステロイド外用後のリバウンドの動物モデルは確立されています(→こちら)からね。しかし、大手で研究部門を持った化粧品会社の作成したパンフレットは、とても巧妙です。間違ったことも書かないですが、化粧品の営業窓口である皮膚科医の面子も立てるために、ステロイド依存に関わる話も書きません。
「アトピービジネス」っていうのは、脱ステロイドからの離脱過程を利用するものだけではありません。上記のような、患者の存在を無視した、利益のための持ちつ持たれつの仕組みをアトピービジネスと言わずして何と言おう、と思います。
2010.11.12