「アレルギーの臨床」に寄稿しました・その2
「アレルギーの臨床」誌に「The red skin syndrome(赤い皮膚症候群)」という表題で論文書きました。日本語なので、ステロイドのリバウンドについて説明したり引用したりするときに使い勝手いいと思います。ご活用ください。
http://www.tclinic.jp/atopy/Redskinsyndrome
さて、上記の論文にも記しましたが、ステロイド外用剤依存によるリバウンドが、表皮基底層の11βHSD2亢進にあるならば、これを阻害する物質はリバウンドの症状を軽減させるかもしれません。
強力ミノファーゲンCの成分であるグリチルリチンにこの作用があることは知っていますが、他に11βHSD2の阻害剤は無いだろうかと探したところ、下記のような論文を見つけました。
Recent advances in the study of 11β-Hydroxysteroid dehydrogenase type 2 (11β-HSD2)Inhibitors. Environ Toxicol Pharmacol. 2017 Jun;52:47-53.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28366868
この中に、実際に臨床に用いることが出来そうな薬剤がありました。ジスルフィラムです。
ジスルフィラムというのは、ノックビンという商品名で発売されている嫌酒薬です。服用すると、お酒を飲んでも気持ちよく酔えなくなるので、アルコール依存症の治療薬として用いられます。
http://www.tclinic.jp/atopy/Redskinsyndrome
さて、上記の論文にも記しましたが、ステロイド外用剤依存によるリバウンドが、表皮基底層の11βHSD2亢進にあるならば、これを阻害する物質はリバウンドの症状を軽減させるかもしれません。
強力ミノファーゲンCの成分であるグリチルリチンにこの作用があることは知っていますが、他に11βHSD2の阻害剤は無いだろうかと探したところ、下記のような論文を見つけました。
Recent advances in the study of 11β-Hydroxysteroid dehydrogenase type 2 (11β-HSD2)Inhibitors. Environ Toxicol Pharmacol. 2017 Jun;52:47-53.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28366868
この中に、実際に臨床に用いることが出来そうな薬剤がありました。ジスルフィラムです。
ジスルフィラムというのは、ノックビンという商品名で発売されている嫌酒薬です。服用すると、お酒を飲んでも気持ちよく酔えなくなるので、アルコール依存症の治療薬として用いられます。
ジチオカーバメート系という農薬に用いられることの多い化学物質の仲間で、これらは共通して11βHSD2を阻害する作用があるようです。分子量は297なので、下図の0.128μMは、計算すると、0.038μg/mlに相当します。嫌酒薬としての常用量は一日0.2~0.5g内服ですから、0.1%(1μg/ml)くらいの外用剤を作ればよさそうです。
問屋に問い合わせると、仕入れ税抜きで25g1374円とのことです。昔の薬剤なので安価です。
問屋に問い合わせると、仕入れ税抜きで25g1374円とのことです。昔の薬剤なので安価です。
それで、早速取り寄せて試作してみました。
ジスルフィラムは水に難溶なので、DMSO(万能の溶解剤です)を用いました。すなわち、ジスルフィラム0.5gに1ccのDMSOを加えて加温して溶解し、これを70℃で液化しておいたプロペトに混ぜます。
ジスルフィラムは水に難溶なので、DMSO(万能の溶解剤です)を用いました。すなわち、ジスルフィラム0.5gに1ccのDMSOを加えて加温して溶解し、これを70℃で液化しておいたプロペトに混ぜます。
まずは、自分の皮膚に2週間程度外用してみて、前後で皮膚生検して、健常人皮膚への影響を確認してみます。そのあと、また試用していただける患者を募集すると思います。よろしければご参加ください。
もう一つ、グリチルリチンは強力ネオミノファーゲンだけに含まれているのではありません。化粧品にもグリチルリチン酸2K(ジカリウム)として、上限0.3%まで配合できます。分子量は822ですから、0.3%は0.36μMです。
上掲の論文によれば、11βHSD2の阻害に必要な濃度は、IC50でだいたい0.2-0.4 μMです。上限量よりもう少し多めに加える必要がありそうです。
もう一つ、グリチルリチンは強力ネオミノファーゲンだけに含まれているのではありません。化粧品にもグリチルリチン酸2K(ジカリウム)として、上限0.3%まで配合できます。分子量は822ですから、0.3%は0.36μMです。
上掲の論文によれば、11βHSD2の阻害に必要な濃度は、IC50でだいたい0.2-0.4 μMです。上限量よりもう少し多めに加える必要がありそうです。
とりあえず、ヒアルプロテクトにグリチルリチン酸2Kを0.3%配合したものを試作してもらいました。
これもまた、自分の皮膚に2週間程度外用して前後で皮膚生検してみます。
グリチルリチンの外用については、ちょっと思い当たる点があります。
昔、国立病院の勤務医をしていた際に、ある患者が近くの漢方薬局の自家製軟膏を使用していたのですが、それを塗ると、どうもステロイドを外用したとしか思えない程改善するとのことでした。
それで不審に思って、直接成分を問い合わせてみました。成分開示していただき、なおかつ直接電話でお話も聞いたのですが、ステロイドは混ぜていないとのことでした。
グリチルリチンは、漢方で良く用いられる甘草エキスにも含まれるので、これを高濃度使用していたということなのかもしれません。
0.3%以上の濃度のものは、化粧品として通販は出来ませんが、クリニックで処方は出来るので、これも試作してみようかと思います。上記のデータから、たぶん3-5%で作ればよいと思います。
グリチルリチン2K(ジカリウム)や甘草エキスは、通販サイトで一般人でも手作り化粧品材料として購入できるので、高濃度のものを自作してみてもいいかもしれませんね。他に販売せず、自分で使う目的で高濃度のものを作るのは、法に触れません。
(H29.10.20記)
私が作製した中間分子量ヒアルロン酸化粧水「ヒアルプロテクト」のショップはこちら(下の画像をクリック)
グリチルリチンの外用については、ちょっと思い当たる点があります。
昔、国立病院の勤務医をしていた際に、ある患者が近くの漢方薬局の自家製軟膏を使用していたのですが、それを塗ると、どうもステロイドを外用したとしか思えない程改善するとのことでした。
それで不審に思って、直接成分を問い合わせてみました。成分開示していただき、なおかつ直接電話でお話も聞いたのですが、ステロイドは混ぜていないとのことでした。
グリチルリチンは、漢方で良く用いられる甘草エキスにも含まれるので、これを高濃度使用していたということなのかもしれません。
0.3%以上の濃度のものは、化粧品として通販は出来ませんが、クリニックで処方は出来るので、これも試作してみようかと思います。上記のデータから、たぶん3-5%で作ればよいと思います。
グリチルリチン2K(ジカリウム)や甘草エキスは、通販サイトで一般人でも手作り化粧品材料として購入できるので、高濃度のものを自作してみてもいいかもしれませんね。他に販売せず、自分で使う目的で高濃度のものを作るのは、法に触れません。
(H29.10.20記)
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