アトピー性皮膚炎ガイドライン(2018)検定問題
新しいガイドラインは、ステロイド外用剤離脱(ステロイド依存)に言及されているので、改善されてはいるのですが、まだまだ突っ込み所があります。
とくに気になるのは、「酒さ様皮膚炎は,主として成人の顔面にステロイド外用薬を長期間使用した場合に,紅斑,毛細血管拡張,毛包一致性丘疹,膿疱などがみられるステロイド外用薬の副作用で,この状態でステロイド外用薬を急に中止すると紅斑や浮腫が悪化することがある」の「急に」という箇所で、引用先のHajarらの論文(J Am Acad Dermatol. 2015 Mar;72(3):541-549)中には“It is unclear if either a tapering off of TCS or immediate discontinuation has any added benefits.”(ステロイド外用剤を漸減したほうがよいのか急に止めた方が良いのかは不明である)と明記されています。したがって「急に」と限定するのは間違っています。
このほか、「炎症症状の鎮静後にステロイド外用薬を中止する際には,急激に中止することなく,寛解を維持しながら漸減あるいは間歇投与を行っていく」ともありますが、引用文献はなくエビデンスレベルは不明です。ステロイド外用剤離脱(ステロイド依存)は認めたものの、「急な中止」にはガイドライン委員の皆さん、抵抗というか思い込みがあるようで、ゆっくり中止すればリバウンドは起こらないとでも信じていらっしゃるんでしょうか?
今回、趣向を変えて「アトピー性皮膚炎ガイドライン(2018)検定問題」というサイトを作ってみました。問題を考えながら、最後に解説を読むことで、ガイドラインに対する私の批判が理解できるようにと構成してあります。お楽しみください。
世の中「ガイドラインに従った診療をしております」と公言する医師は多いですが、それなら彼ら彼女ら満点取れるはずなんです。実はしっかりと読み込んだこと