アレルギーの電話相談やHP作成にはずいぶんお金がかかるらしい・その1
本日(11月26日)の朝日新聞の記事(→ここ)中に、 「次男(5)のアトピー性皮膚炎の治療に疲れ果てていた札幌市の女性(42)は2007年11月、すがる思いで、厚生労働省が市内で開いたシンポジウムを聴きに行った。 とあります。」 これは、いったいどんなシンポジウムなんだろう?と興味を抱いて、検索してみました。
厚生労働省主催ではないですが、 「2007年11月17~18日 リウマチ・アレルギーシンポジウム 財団法人日本予防医学協会主催(参加700人)(→こちら) 」」見つけました。時期が一致するので、たぶんこれだと思います。 主催は公益財団法人日本予防医学協会です(HPは→こちら)。
「関節リウマチ・アレルギー性疾患<お助け情報サイト>immune.jp」(→こちら) と相互リンクされています。 その中に「アレルギー相談センター」開設(2010.6.1)の案内が貼られていました(→ここ)。
それで思い出したのが、今回担当の林義則記者の、 「重症患者や家族をしっかり受けとめる医療の充実や支援策の必要性を強く感じています。」 というコメントです(→こちら)。 たぶん、朝日新聞の記事の2日後のまとめは、こちらの相談センターを紹介して「患者さんの不安を取り除くための取り組みが始まっています!」ってことで終わるのではないかなあ。
ところで、この電話相談、どういう予算でなされているか調べてみました。 まず、この「関節リウマチ・アレルギー性疾患<お助け情報サイト>immune.jp」(→こちら)ですが、これには上位HPがあります(「sympo.jp医療と健康のシンポジウム」→ここ)。
その中の「当サイトについて」には、
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当サイト「健康と医療のシンポジウム」は厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業の一環として、研究成果等の普及・啓発を目的に「アレルギー性疾患」「膠原病特に関節リウマチ」の最新予防・治療情報の提供を行っています。(→こちら)
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という記述がありました。どうも、厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業が関係しているようです。 厚労省の「免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業」の内容については、こちら(→ここ)がわかりやすいです。 このなかから、該当する事業を探してみました。たぶんこれです。
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研究代表者:須甲 松信 東京芸術大学保健管理センター 教授
ユビキタス・インターネットを活用したアレルギー疾患の自己管理および生活環境改善支援システム、遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究http://www.allergy.go.jp/Research/Shouroku_09/10sukou.pdf
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公益財団法人日本アレルギー協会 http://www.jaanet.org/というところがあるんですが、ここがJAANet stationというサイトを作っていて、そこに 須甲先生の名前がありました。http://www.jaanet.org/station/outline
JAANetの「患者・一般の皆様へ」のところには、「アレルギー電話相談センター」http://www.jaanet.org/pages/wp-content/uploads/soudan.pdf というのがあって、上の「immune.jp」の電話相談先と同じです。http://www.immune.jp/allergy/consult/index.html
immune.jpには、
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電話『アレルギー相談センター』開設(財)日本予防医学協会はアレルギー疾患全般に関する薬や症状、自己管理、日常生活の注意点などのご相談を電話で応じる電話相談「アレルギー相談センター」を開設した。 (10.06.01アレルギー電話相談開設)
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とあります。一方、JAANet stationには、
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平成20年度アレルギー相談事業アレルギー相談センターの実績について(平成20年4月1日(火)から21年3月31日(金)まで 237日間) http://www.jaanet.org/patient/consult/result
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とありますから、公益財団法人日本アレルギー協会のJAANet stationで試験的に行ったあと、管轄を公益財団法人日本予防医学協会のimmune.jpに移したということでしょう。
「アレルギー相談センターQ&Aのまとめ」http://www.jaanet.org/pdf/center_qa.pdfを見ると、たぶん、最終的には質問をパターン分けして、自動応答で済むようなものを目指しているのじゃないかなあ。
ですから、須甲先生が中心となって、日本アレルギー協会と日本予防医学協会の協力を取り付けて、厚労省の研究費でもって、アトピー性皮膚炎のみならずアレルギー全体を対象としてネット環境を整備する一環のはなしのようです。患者がネットで「正しい」情報に辿り着きやすくして差し上げましょう、ってことですね。
下世話な話になりますが、これらの作業に、いくらくらいの厚労省研究費が支給されているんでしょうか?気になって調べてみました。
平成20年度 3640万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-gaiyo08/02-03-12.html
平成21年度 3640万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-koubo14/14.html
平成22年度 3276万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-koubo16/13.html
うーん・・。 アレルギー患者のために、ユビキタスなネット環境や電話相談システム開発するには、かなりお金がかかるもののようです。 ていうか、この事業の下請けしてるシステム開発会社は、この不況の折に感涙してることでしょうね。
ついでですが、公益財団法人日本アレルギー協会の平成22年度収支予算書総括表 http://www.jaanet.org/pages/wp-content/uploads/yosan.pdf を見ると、
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個人会員会費収入290万円、賛助会員会費収入1490万円、寄付金収入2億1410万円・・・
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この寄付金というのは、たぶん賛助企業(主に製薬会社)からだと思われます。(リストはこちらhttp://www.jaanet.org/about/support)
もっとも支出は「研究助成費2億382万円」がメインなわけですが。啓発活動費882万7500円講演会費340万円とか、たぶんこういうのが、各地での一般向けアレルギーシンポジウムの財源なんでしょう。
日本アレルギー協会というのは、企業から協賛金集めて、医師に研究費配る仕組みなわけです。「協会の概要」にも、
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財団法人日本アレルギー協会(Japan Allergy Foundation)は経団連の援助を受け、昭和42年に厚生省所管の財団法人として設立されました。http://www.jaanet.org/about/outline
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とちゃんと書いてあるし。そこが窓口になってる電話相談ですから、そりゃあ、ステロイド依存の問題覆い隠したい権威筋の皮膚科医たちにとっては、ありがたい隠れ蓑でしょう。喘息や食物性アナフィラキシーなど、ステロイド使用がまったく問題となっていない病態の専門医たちに混ざってしまうのもメリットでしょうしね。
朝日新聞「大人のアトピー」を担当した鈴木彩子記者は、11月23日に「アスパラクラブ」に以下のように追記しています。
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アトピー性皮膚炎について書かれたホームページをひとつご紹介します。
「アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう。」http://www.kyudai-derm.org/atopy/
ここには、どうしてかゆみが起こるのか、薬にはどんな作用と副作用があるのかなどが書かれています。「標準治療」のページには、シャワーのあび方や、薬の塗り方も動画で紹介されています。「EBMとデータ集」には、紫外線療法や漢方、民間療法などについてもQ&A方式でまとめています。
ご参考になさってみてください
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HP表紙には、
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この患者さん向けのインターネットパンフレットは、厚生労働省科学研究「アトピー性皮膚炎の既存治療法の適応と有効性の再評価に関する研究」(1999-2001年度)の一貫として2001年に作成いたしました。その後、厚生労働省科学研究「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」(2002-2004年度)による検討結果も加えて増補版として2003年に追加訂正いたしました。
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とあります。 これはいくらかかったんでしょうか?
「アトピー性皮膚炎の既存治療法の適応と有効性の再評価に関する研究」
平成11年 1850万円http://www1.mhlw.go.jp/topics/kagaku/h11hojo_6/hojo16.html
平成12年 4200万円 http://www1.mhlw.go.jp/topics/kagaku/h12hojo_6/hojo16.html
平成13年 3900万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo01/kenkyu/21.html
「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」
平成14年 3000万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo02/kenkyu/20.html
平成15年 2700万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo03/gaiyo/3e.html
平成16年 3000万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo04/02-23.html
でもって、これだけの研究費による総括がこちら。
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アトピー性皮膚炎の既存治療法の EBM による評価と有用な治療法の普及 http://www.allergy.go.jp/Research/Shouroku_04/pdf/16_furue_01.pdf
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これ読むと、やっぱり、この「いっしょに考えましょう」のサイトを構築するのだけに、これだけ必要だったらしいです。
ありがたいホームページだということは良くわかったけど、ガイドラインと同じく、ステロイド依存についてはまったく触れられていないんですよね・・。 (その2に続く)
2010.11.26
厚生労働省主催ではないですが、 「2007年11月17~18日 リウマチ・アレルギーシンポジウム 財団法人日本予防医学協会主催(参加700人)(→こちら) 」」見つけました。時期が一致するので、たぶんこれだと思います。 主催は公益財団法人日本予防医学協会です(HPは→こちら)。
「関節リウマチ・アレルギー性疾患<お助け情報サイト>immune.jp」(→こちら) と相互リンクされています。 その中に「アレルギー相談センター」開設(2010.6.1)の案内が貼られていました(→ここ)。
それで思い出したのが、今回担当の林義則記者の、 「重症患者や家族をしっかり受けとめる医療の充実や支援策の必要性を強く感じています。」 というコメントです(→こちら)。 たぶん、朝日新聞の記事の2日後のまとめは、こちらの相談センターを紹介して「患者さんの不安を取り除くための取り組みが始まっています!」ってことで終わるのではないかなあ。
ところで、この電話相談、どういう予算でなされているか調べてみました。 まず、この「関節リウマチ・アレルギー性疾患<お助け情報サイト>immune.jp」(→こちら)ですが、これには上位HPがあります(「sympo.jp医療と健康のシンポジウム」→ここ)。
その中の「当サイトについて」には、
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当サイト「健康と医療のシンポジウム」は厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業の一環として、研究成果等の普及・啓発を目的に「アレルギー性疾患」「膠原病特に関節リウマチ」の最新予防・治療情報の提供を行っています。(→こちら)
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という記述がありました。どうも、厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業が関係しているようです。 厚労省の「免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業」の内容については、こちら(→ここ)がわかりやすいです。 このなかから、該当する事業を探してみました。たぶんこれです。
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研究代表者:須甲 松信 東京芸術大学保健管理センター 教授
ユビキタス・インターネットを活用したアレルギー疾患の自己管理および生活環境改善支援システム、遠隔教育システム、患者登録・長期観察システムに関する研究http://www.allergy.go.jp/Research/Shouroku_09/10sukou.pdf
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公益財団法人日本アレルギー協会 http://www.jaanet.org/というところがあるんですが、ここがJAANet stationというサイトを作っていて、そこに 須甲先生の名前がありました。http://www.jaanet.org/station/outline
JAANetの「患者・一般の皆様へ」のところには、「アレルギー電話相談センター」http://www.jaanet.org/pages/wp-content/uploads/soudan.pdf というのがあって、上の「immune.jp」の電話相談先と同じです。http://www.immune.jp/allergy/consult/index.html
immune.jpには、
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電話『アレルギー相談センター』開設(財)日本予防医学協会はアレルギー疾患全般に関する薬や症状、自己管理、日常生活の注意点などのご相談を電話で応じる電話相談「アレルギー相談センター」を開設した。 (10.06.01アレルギー電話相談開設)
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とあります。一方、JAANet stationには、
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平成20年度アレルギー相談事業アレルギー相談センターの実績について(平成20年4月1日(火)から21年3月31日(金)まで 237日間) http://www.jaanet.org/patient/consult/result
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とありますから、公益財団法人日本アレルギー協会のJAANet stationで試験的に行ったあと、管轄を公益財団法人日本予防医学協会のimmune.jpに移したということでしょう。
「アレルギー相談センターQ&Aのまとめ」http://www.jaanet.org/pdf/center_qa.pdfを見ると、たぶん、最終的には質問をパターン分けして、自動応答で済むようなものを目指しているのじゃないかなあ。
ですから、須甲先生が中心となって、日本アレルギー協会と日本予防医学協会の協力を取り付けて、厚労省の研究費でもって、アトピー性皮膚炎のみならずアレルギー全体を対象としてネット環境を整備する一環のはなしのようです。患者がネットで「正しい」情報に辿り着きやすくして差し上げましょう、ってことですね。
下世話な話になりますが、これらの作業に、いくらくらいの厚労省研究費が支給されているんでしょうか?気になって調べてみました。
平成20年度 3640万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-gaiyo08/02-03-12.html
平成21年度 3640万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-koubo14/14.html
平成22年度 3276万円http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/hojokin-koubo16/13.html
うーん・・。 アレルギー患者のために、ユビキタスなネット環境や電話相談システム開発するには、かなりお金がかかるもののようです。 ていうか、この事業の下請けしてるシステム開発会社は、この不況の折に感涙してることでしょうね。
ついでですが、公益財団法人日本アレルギー協会の平成22年度収支予算書総括表 http://www.jaanet.org/pages/wp-content/uploads/yosan.pdf を見ると、
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個人会員会費収入290万円、賛助会員会費収入1490万円、寄付金収入2億1410万円・・・
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この寄付金というのは、たぶん賛助企業(主に製薬会社)からだと思われます。(リストはこちらhttp://www.jaanet.org/about/support)
もっとも支出は「研究助成費2億382万円」がメインなわけですが。啓発活動費882万7500円講演会費340万円とか、たぶんこういうのが、各地での一般向けアレルギーシンポジウムの財源なんでしょう。
日本アレルギー協会というのは、企業から協賛金集めて、医師に研究費配る仕組みなわけです。「協会の概要」にも、
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財団法人日本アレルギー協会(Japan Allergy Foundation)は経団連の援助を受け、昭和42年に厚生省所管の財団法人として設立されました。http://www.jaanet.org/about/outline
ーーーーー
とちゃんと書いてあるし。そこが窓口になってる電話相談ですから、そりゃあ、ステロイド依存の問題覆い隠したい権威筋の皮膚科医たちにとっては、ありがたい隠れ蓑でしょう。喘息や食物性アナフィラキシーなど、ステロイド使用がまったく問題となっていない病態の専門医たちに混ざってしまうのもメリットでしょうしね。
朝日新聞「大人のアトピー」を担当した鈴木彩子記者は、11月23日に「アスパラクラブ」に以下のように追記しています。
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アトピー性皮膚炎について書かれたホームページをひとつご紹介します。
「アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう。」http://www.kyudai-derm.org/atopy/
ここには、どうしてかゆみが起こるのか、薬にはどんな作用と副作用があるのかなどが書かれています。「標準治療」のページには、シャワーのあび方や、薬の塗り方も動画で紹介されています。「EBMとデータ集」には、紫外線療法や漢方、民間療法などについてもQ&A方式でまとめています。
ご参考になさってみてください
ーーーーー
HP表紙には、
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この患者さん向けのインターネットパンフレットは、厚生労働省科学研究「アトピー性皮膚炎の既存治療法の適応と有効性の再評価に関する研究」(1999-2001年度)の一貫として2001年に作成いたしました。その後、厚生労働省科学研究「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」(2002-2004年度)による検討結果も加えて増補版として2003年に追加訂正いたしました。
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とあります。 これはいくらかかったんでしょうか?
「アトピー性皮膚炎の既存治療法の適応と有効性の再評価に関する研究」
平成11年 1850万円http://www1.mhlw.go.jp/topics/kagaku/h11hojo_6/hojo16.html
平成12年 4200万円 http://www1.mhlw.go.jp/topics/kagaku/h12hojo_6/hojo16.html
平成13年 3900万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo01/kenkyu/21.html
「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」
平成14年 3000万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo02/kenkyu/20.html
平成15年 2700万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo03/gaiyo/3e.html
平成16年 3000万円 http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/gaiyo04/02-23.html
でもって、これだけの研究費による総括がこちら。
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アトピー性皮膚炎の既存治療法の EBM による評価と有用な治療法の普及 http://www.allergy.go.jp/Research/Shouroku_04/pdf/16_furue_01.pdf
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これ読むと、やっぱり、この「いっしょに考えましょう」のサイトを構築するのだけに、これだけ必要だったらしいです。
ありがたいホームページだということは良くわかったけど、ガイドラインと同じく、ステロイド依存についてはまったく触れられていないんですよね・・。 (その2に続く)
2010.11.26