クロフィブラート軟膏のパイロットスタディ・ケース2
4週間の試用を終えた2例目の方のケースレポートです。 20才台男性、ステロイド外用歴10年、中止後10ヶ月。
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【経過】思春期よりアトピーでステロイド外用開始。ステロイドの効きが悪くなってきたと感じて離脱、リバウンドがあった。
【診断】ステロイド依存・リバウンドの可能性あり。
【使用した軟膏】
0 week →2 weeks クロフィブラート入り軟膏110g
2 weeks →4 weeksクロフィブラート入り軟膏120g
【VAS判定】
患者側 0 week : 20、 2 week : 10、 4 week : 5
医師側 0 week : 32、 2 week : 20、 4 week : 10
【総合判定】
改善(クロフィブラート奏効)
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【経過】思春期よりアトピーでステロイド外用開始。ステロイドの効きが悪くなってきたと感じて離脱、リバウンドがあった。
【診断】ステロイド依存・リバウンドの可能性あり。
【使用した軟膏】
0 week →2 weeks クロフィブラート入り軟膏110g
2 weeks →4 weeksクロフィブラート入り軟膏120g
【VAS判定】
患者側 0 week : 20、 2 week : 10、 4 week : 5
医師側 0 week : 32、 2 week : 20、 4 week : 10
【総合判定】
改善(クロフィブラート奏効)
この方は、経過から考えて、ステロイド依存・リバウンドの可能性のある方です。もっとも、皮疹的には、現在の皮疹は、リバウンドに特有なものではなく、通常のアトピー性皮膚炎様です。その意味では、今後の経過を見なければ、断定はできません。
この方のケースで興味深かったことは、「最初の軟膏は白色ワセリンで、次のはクロフィブラート入りだと思う」と、感想を述べられた点です。実際には、両方ともクロフィブラート軟膏でした。写真を見直しても、VAS値でも、0週→2週と、2週→4週、どちらも改善傾向であったにも関わらずです。
実は、「その6」に紹介した第1例目の方も、「最初の軟膏と2番目の軟膏の違いはよくわからない」という感想でした。第一例目の方の場合は、最初が白色ワセリンで次がクロフィブラート入りと、異なっており、皮疹の変化も、0週→2週と、2週→4週とでは、明らかに異なっていたのにです。
おそらく、クロフィブラート軟膏の効き方は、非常にゆっくりなので、本人的には判りにくいのだろう、と思います。
この方の場合も、引き続き来院可能ということなので、いったんクロフィブラート軟膏の使用を中止し、リバウンドの有無を確認します。そのあと、第一例めの方と同様、クロフィブラート軟膏を再開し、4週使用→2週休薬を繰り返して、1年くらい長期経過をみたいと考えています。
もし、彼の湿疹が、依存・リバウンドの遷延であるのならば、うまくいけば、このまま治まってしまう可能性もあります。あるいは、仮に再燃したとしても、クロフィブラート軟膏再開→休薬をくりかえしていくうちに、ゆっくりと軽減していくといいと思います。
また、海外のかたの、その後の写真が届きました。クロフィブラート軟膏2週間外用後、1週間中止したところです。
この方のケースで興味深かったことは、「最初の軟膏は白色ワセリンで、次のはクロフィブラート入りだと思う」と、感想を述べられた点です。実際には、両方ともクロフィブラート軟膏でした。写真を見直しても、VAS値でも、0週→2週と、2週→4週、どちらも改善傾向であったにも関わらずです。
実は、「その6」に紹介した第1例目の方も、「最初の軟膏と2番目の軟膏の違いはよくわからない」という感想でした。第一例目の方の場合は、最初が白色ワセリンで次がクロフィブラート入りと、異なっており、皮疹の変化も、0週→2週と、2週→4週とでは、明らかに異なっていたのにです。
おそらく、クロフィブラート軟膏の効き方は、非常にゆっくりなので、本人的には判りにくいのだろう、と思います。
この方の場合も、引き続き来院可能ということなので、いったんクロフィブラート軟膏の使用を中止し、リバウンドの有無を確認します。そのあと、第一例めの方と同様、クロフィブラート軟膏を再開し、4週使用→2週休薬を繰り返して、1年くらい長期経過をみたいと考えています。
もし、彼の湿疹が、依存・リバウンドの遷延であるのならば、うまくいけば、このまま治まってしまう可能性もあります。あるいは、仮に再燃したとしても、クロフィブラート軟膏再開→休薬をくりかえしていくうちに、ゆっくりと軽減していくといいと思います。
また、海外のかたの、その後の写真が届きました。クロフィブラート軟膏2週間外用後、1週間中止したところです。
Before→1 week→2 weeksとクロフィブラート軟膏外用によって皮疹は軽快しましたが、一週間中止したあとの3 weeksでは再燃しています。しかしbeforeよりは悪化していません。
この方は、たしか離脱後2~3年ですが、それに先立つステロイド使用が数十年と長いので、リバウンドの勢いが強いのだろうと推測します。この方にも引き続きクロフィブラート軟膏の間欠投与を勧めてみる予定です。
クロフィブラート外用の長期経過観察の目的は、1)クロフィブラート軟膏の長期連用中止後のリバウンドの有無の確認(動物実験上はステロイドと異なりリバウンドは起きない)のほかにもうひとつあります。それは、2)依存から離脱後の「過敏性の亢進」の時期(→こちら)における、外部からの刺激に対し、抵抗性が獲得されるか?の確認です。ステロイド離脱後は、一定期間(数年)、アレルゲンなどの外的刺激に反応しやすい過敏な皮膚の状態が続きます。クロフィブラート軟膏が、これを抑えてくれるかどうか?です。
ステロイド離脱後、いったん皮膚が良くなっても、皮膚の過敏性は亢進した状態がしばらく続きます。特に季節的な周期性悪化のため、断念して再びステロイドに戻る人は多いでしょう。実のところ、そのような悪化時期に限ってステロイドを外用する、でも、依存に陥りにくいステロイドの使い方として正解ではあるのですが、現実には、ステロイドを止めていた(忌避)方が、再びステロイドを使うと、今度はステロイドを再び中止するのが非常に怖くなるようで、延々と年中使い続けてしまうことも多いです。依存に理解の無いお医者さんは「ときどき止めましょう」とは言ってくれないでしょうしね。クロフィブラート軟膏が、このような、ステロイド離脱後の悪化を予防してくれるようなら、心強いことと思います。
2012.08.17
この方は、たしか離脱後2~3年ですが、それに先立つステロイド使用が数十年と長いので、リバウンドの勢いが強いのだろうと推測します。この方にも引き続きクロフィブラート軟膏の間欠投与を勧めてみる予定です。
クロフィブラート外用の長期経過観察の目的は、1)クロフィブラート軟膏の長期連用中止後のリバウンドの有無の確認(動物実験上はステロイドと異なりリバウンドは起きない)のほかにもうひとつあります。それは、2)依存から離脱後の「過敏性の亢進」の時期(→こちら)における、外部からの刺激に対し、抵抗性が獲得されるか?の確認です。ステロイド離脱後は、一定期間(数年)、アレルゲンなどの外的刺激に反応しやすい過敏な皮膚の状態が続きます。クロフィブラート軟膏が、これを抑えてくれるかどうか?です。
ステロイド離脱後、いったん皮膚が良くなっても、皮膚の過敏性は亢進した状態がしばらく続きます。特に季節的な周期性悪化のため、断念して再びステロイドに戻る人は多いでしょう。実のところ、そのような悪化時期に限ってステロイドを外用する、でも、依存に陥りにくいステロイドの使い方として正解ではあるのですが、現実には、ステロイドを止めていた(忌避)方が、再びステロイドを使うと、今度はステロイドを再び中止するのが非常に怖くなるようで、延々と年中使い続けてしまうことも多いです。依存に理解の無いお医者さんは「ときどき止めましょう」とは言ってくれないでしょうしね。クロフィブラート軟膏が、このような、ステロイド離脱後の悪化を予防してくれるようなら、心強いことと思います。
2012.08.17