クロフィブラート軟膏のパイロットスタディ・ケース2(その2)
4週間の試用を終えて、クロフィブラート軟膏が有効であった、ケース2の方のその後の経過です。2週間の休薬期間を経て、本日来院されました。
休薬後、悪化(再燃)はありませんでした。
休薬後、悪化(再燃)はありませんでした。
この方は、ステロイド外用歴10年で、離脱後10ヶ月です。診断としては、「依存・リバウンドの可能性あり」です。治験の最初の2週間が、白色ワセリンではなくクロフィブラート軟膏でしたので、白色ワセリン(基剤)による保湿効果の鑑別は出来ていませんでしたが、この2週間は「何も塗っていない」状態だそうですので、保湿効果による改善では無さそうです。もし、保湿効果であるならば、白色ワセリン(基剤)を外用しなければ、すみやかに悪化してくるだろうからです。
一方、クロフィブラートの効果は、「ペリオスチン経路の悪循環を断ち切る」(→こちら)にありますから、純粋なリバウンドすなわちステロイド外用剤中止に伴う悪循環の空回りであったなら、これを抑えたあとは、中止しても再燃しないことは予想されます。この方の経過は、まさにその予想通りでした。
血液検査上、TARC値も、0 week : 1713 pg/ml → 2 weeks : 238 → 4 weeks : 218、と著減しています。クロフィブラート軟膏を使用することで、リバウンドをショートカットしたような経過となっています。
同じく、クロフィブラート奏功例でも、ケース1の方(→こちら)は、中止後すぐに再燃しました。外的な悪化因子が継続している場合には、ケース2の方のようにはいかないということなのでしょう。
リバウンドで「クロフィブラート奏功」の方は、ほかにもケース7の方(→こちら)がいますが、彼の場合も、TARC値は、0 week : 4158 pg/ml → 2 weeks : 2387、と低下しています。ケース2の方から類推すると、ケース7の場合も、4週目のTARC値は低下して、さらに休薬2週間後の再燃もない、という予想が立ちますが、そこはまだ予想の段階です(外れるかもしれません)。
追記) ケース7の方の4週目のTARCは1648と低下していました。
もし、以上の仮説というか私の予想が正しければ、ステロイド依存からの離脱・リバウンドが遷延する患者の一部(クロフィブラート奏功群)では、クロフィブラートによって、悪循環(vicious cycle)を断ち切り、ショートカットの道が開かれます。
まだまだ1例2例では、覆る可能性も大きいですが、希望はあります。また、クロフィブラートが効かないタイプの方では、PPARαリガンドではない、ほかの薬剤が向いているかもしれません(たとえばPPARγ→こちら)
「クロフィブラート軟膏でリバウンドは起きないのか?」と心配する人もいるかもしれませんが、そもそもステロイド外用剤のような「リバウンドを起こす薬剤」のほうが珍しいのです(→こちら)。リバウンドというのが、ひとつの病態である以上、これをストップさせる薬剤というのは、当然ありうるわけで、クロフィブラートがその一つであってくれれば、大変にラッキーなのですが。
追記) 香港の知人の医者に問い合わせたら、香港ではPPARγアゴニスト(AVANDIA)入手可能のようなので、送ってもらうことにしました。クロフィブラート(PPARαリガンド)が効きにくいタイプの方に、試用していただこうと考えています。
2012.09.03
一方、クロフィブラートの効果は、「ペリオスチン経路の悪循環を断ち切る」(→こちら)にありますから、純粋なリバウンドすなわちステロイド外用剤中止に伴う悪循環の空回りであったなら、これを抑えたあとは、中止しても再燃しないことは予想されます。この方の経過は、まさにその予想通りでした。
血液検査上、TARC値も、0 week : 1713 pg/ml → 2 weeks : 238 → 4 weeks : 218、と著減しています。クロフィブラート軟膏を使用することで、リバウンドをショートカットしたような経過となっています。
同じく、クロフィブラート奏功例でも、ケース1の方(→こちら)は、中止後すぐに再燃しました。外的な悪化因子が継続している場合には、ケース2の方のようにはいかないということなのでしょう。
リバウンドで「クロフィブラート奏功」の方は、ほかにもケース7の方(→こちら)がいますが、彼の場合も、TARC値は、0 week : 4158 pg/ml → 2 weeks : 2387、と低下しています。ケース2の方から類推すると、ケース7の場合も、4週目のTARC値は低下して、さらに休薬2週間後の再燃もない、という予想が立ちますが、そこはまだ予想の段階です(外れるかもしれません)。
追記) ケース7の方の4週目のTARCは1648と低下していました。
もし、以上の仮説というか私の予想が正しければ、ステロイド依存からの離脱・リバウンドが遷延する患者の一部(クロフィブラート奏功群)では、クロフィブラートによって、悪循環(vicious cycle)を断ち切り、ショートカットの道が開かれます。
まだまだ1例2例では、覆る可能性も大きいですが、希望はあります。また、クロフィブラートが効かないタイプの方では、PPARαリガンドではない、ほかの薬剤が向いているかもしれません(たとえばPPARγ→こちら)
「クロフィブラート軟膏でリバウンドは起きないのか?」と心配する人もいるかもしれませんが、そもそもステロイド外用剤のような「リバウンドを起こす薬剤」のほうが珍しいのです(→こちら)。リバウンドというのが、ひとつの病態である以上、これをストップさせる薬剤というのは、当然ありうるわけで、クロフィブラートがその一つであってくれれば、大変にラッキーなのですが。
追記) 香港の知人の医者に問い合わせたら、香港ではPPARγアゴニスト(AVANDIA)入手可能のようなので、送ってもらうことにしました。クロフィブラート(PPARαリガンド)が効きにくいタイプの方に、試用していただこうと考えています。
2012.09.03