クロフィブラート軟膏のパイロットスタディ・ケース4
4週間の試用を終えた4例目の方のケースレポートです。 20才台男性、ステロイド外用歴15年、中止後4年。
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【経過】ステロイド使用歴の申告は「15年」だが、実際には中学高校と調子よく、大学時代に一年未満の外用歴あり。ただし、その後中止とともにリバウンドはあった。中止後4年は、大きな悪化の波はなく、ゆっくりと治まる傾向。
【診断】依存・リバウンドではなく、通常の成人再発型のアトピー性皮膚炎。
【使用した軟膏】
0 week →2 weeks 白色ワセリン25g
2 weeks →4 weeksクロフィブラート入り軟膏60g
【VAS判定】
患者側 0 week : 60、 2 week : 55、 4 week : 45
医師側 0 week :25、 2 week : 25、 4 week : 25
【総合判定】
不変(クロフィブラート奏効ぜす)
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写真の経過は下のようです。多少の変化(赤みが退いたり、面積的に拡大したり)はありますが、はっきり「良くなった」「悪くなった」と言えるほどのものではありません。
皮疹は、肘膝を中心とした古典的なアトピー性皮膚炎像です。
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【経過】ステロイド使用歴の申告は「15年」だが、実際には中学高校と調子よく、大学時代に一年未満の外用歴あり。ただし、その後中止とともにリバウンドはあった。中止後4年は、大きな悪化の波はなく、ゆっくりと治まる傾向。
【診断】依存・リバウンドではなく、通常の成人再発型のアトピー性皮膚炎。
【使用した軟膏】
0 week →2 weeks 白色ワセリン25g
2 weeks →4 weeksクロフィブラート入り軟膏60g
【VAS判定】
患者側 0 week : 60、 2 week : 55、 4 week : 45
医師側 0 week :25、 2 week : 25、 4 week : 25
【総合判定】
不変(クロフィブラート奏効ぜす)
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写真の経過は下のようです。多少の変化(赤みが退いたり、面積的に拡大したり)はありますが、はっきり「良くなった」「悪くなった」と言えるほどのものではありません。
皮疹は、肘膝を中心とした古典的なアトピー性皮膚炎像です。
ただ、この方で気になるのは、「最初のよりも2番目に渡された軟膏のほうが効いた感じがする」と、二重盲験の中身を当てた点です。患者側VASの数字も、それを反映して低下しています。ですから、何かクロフィブラートの効果の感触があるのかもしれません。
この点気になるので、治験上は無効例ですが、ご同意の上、2週間の洗い出し(短期使用中止後のリバウンド悪化の有無確認)のあと、クロフィブラートのエマルジョンスプレーの試用に再度チャレンジしていただくことにしました。白色ワセリンのべたつく感じを合わないと感じているようなので。
この方の場合、ステロイド使用歴および現在の皮疹から考えて、離脱・依存の関与のあまり無い、いわゆる成人再発型のアトピー性皮膚炎で、ステロイド忌避に当たると私は考えます。現在は会社の社員寮に住んでおり、転居で悪化した既往はありません。
確認しておきたい点がひとつあります。「昔、卵を食べた後で蕁麻疹が出たが、最近は食べても問題なくなった」と、問診票に記していらっしゃいました。ひょっとしたらですが、卵などの「隠れアレルゲン」が関与した、食物アレルギー系の方である可能性はあります(→こちら)。もし、食物アレルギー系のアトピー性皮膚炎であれば、皮膚側から軟膏で抑えようとしても効きにくいかもしれません。
「隠れアレルゲン」の探し方は、食事日記をつけてみて、「好きで毎日のように食べているもの」をまず洗い出します。次に、それらをひとつずつ、1ヶ月くらい断ってみます。その上で、例えば卵なら、卵一個を食べてみて、その後湿疹が悪化するようなら、卵が「隠れアレルゲン」です。これを候補食材につき順に試します。自分で出来ることなので、一度確認してみてください。
もし、明らかな改善も悪化も無いようなら、それは、昔の食物アレルギーが自然治癒した、ということです。卵は現在のアトピー性皮膚炎に関与していないので、普通に食べて構いません。
ところで、結果のまとめ方ですが、
1) 0週→2週の二重盲験で、まず、「クロフィブラート軟膏は効くか?」を確認します。20例集める予定ですが、10例は白色ワセリンで、10例はクロフィブラート軟膏なので、t検定を行えば、有意差が確認できます。
2) 次いで、0週→2週が白色ワセリンであった10例のうち、2週→4週のクロフィブラート軟膏が有効であった例数がいくつあったか?を算出して、有効率を出します。症例数が少ないですから、誤差は大きいかもしれませんが、だいたいはわかるはずです。
3) 0週→2週が白色ワセリンで、2週→4週のクロフィブラート軟膏が有効であった例をケースごとに検討して、どのような例でクロフィブラート軟膏は効きやすいのか?をまとめます。
こんな感じです。
現時点では、1)の白色ワセリンが3例(全例無効)、クロフィブラートが1例(有効)、2)は3例のうちクロフィブラート有効が1例(有効率1/3)、ということになります。
ご参考までに。
追記)
海外の簡易バージョンの治験の2例目の方から、写真が届きました。
この方は、白色ワセリン基剤のクロフィブラート軟膏が奏功しませんでした。「昔からワセリンを塗るとかゆみが増す」という ことだったので、水中油エマルジョンスプレーを送付して再試用してもらっていました。
「今回は効くようです」との評価でした。
クロフィブラーと(エマルジョン)使用前
この点気になるので、治験上は無効例ですが、ご同意の上、2週間の洗い出し(短期使用中止後のリバウンド悪化の有無確認)のあと、クロフィブラートのエマルジョンスプレーの試用に再度チャレンジしていただくことにしました。白色ワセリンのべたつく感じを合わないと感じているようなので。
この方の場合、ステロイド使用歴および現在の皮疹から考えて、離脱・依存の関与のあまり無い、いわゆる成人再発型のアトピー性皮膚炎で、ステロイド忌避に当たると私は考えます。現在は会社の社員寮に住んでおり、転居で悪化した既往はありません。
確認しておきたい点がひとつあります。「昔、卵を食べた後で蕁麻疹が出たが、最近は食べても問題なくなった」と、問診票に記していらっしゃいました。ひょっとしたらですが、卵などの「隠れアレルゲン」が関与した、食物アレルギー系の方である可能性はあります(→こちら)。もし、食物アレルギー系のアトピー性皮膚炎であれば、皮膚側から軟膏で抑えようとしても効きにくいかもしれません。
「隠れアレルゲン」の探し方は、食事日記をつけてみて、「好きで毎日のように食べているもの」をまず洗い出します。次に、それらをひとつずつ、1ヶ月くらい断ってみます。その上で、例えば卵なら、卵一個を食べてみて、その後湿疹が悪化するようなら、卵が「隠れアレルゲン」です。これを候補食材につき順に試します。自分で出来ることなので、一度確認してみてください。
もし、明らかな改善も悪化も無いようなら、それは、昔の食物アレルギーが自然治癒した、ということです。卵は現在のアトピー性皮膚炎に関与していないので、普通に食べて構いません。
ところで、結果のまとめ方ですが、
1) 0週→2週の二重盲験で、まず、「クロフィブラート軟膏は効くか?」を確認します。20例集める予定ですが、10例は白色ワセリンで、10例はクロフィブラート軟膏なので、t検定を行えば、有意差が確認できます。
2) 次いで、0週→2週が白色ワセリンであった10例のうち、2週→4週のクロフィブラート軟膏が有効であった例数がいくつあったか?を算出して、有効率を出します。症例数が少ないですから、誤差は大きいかもしれませんが、だいたいはわかるはずです。
3) 0週→2週が白色ワセリンで、2週→4週のクロフィブラート軟膏が有効であった例をケースごとに検討して、どのような例でクロフィブラート軟膏は効きやすいのか?をまとめます。
こんな感じです。
現時点では、1)の白色ワセリンが3例(全例無効)、クロフィブラートが1例(有効)、2)は3例のうちクロフィブラート有効が1例(有効率1/3)、ということになります。
ご参考までに。
追記)
海外の簡易バージョンの治験の2例目の方から、写真が届きました。
この方は、白色ワセリン基剤のクロフィブラート軟膏が奏功しませんでした。「昔からワセリンを塗るとかゆみが増す」という ことだったので、水中油エマルジョンスプレーを送付して再試用してもらっていました。
「今回は効くようです」との評価でした。
クロフィブラーと(エマルジョン)使用前
一週間使用後
使用前
一週間使用後
確かに、若干ですが効いているようです。ですから、白色ワセリン基剤で効果だいまひとつだったケース3.4の方も、エマルジョンだと効く可能性はあります。
ちなみに、海外2例目の方は、経過などを細かく教えていただいて無いのですが、腕のほうは古典的なアトピー性皮膚炎で(依存・リバウンドではない)、顔から首にかけては、ステロイド皮膚症(離脱・リバウンド)のように見えます。
2012.08.26
ちなみに、海外2例目の方は、経過などを細かく教えていただいて無いのですが、腕のほうは古典的なアトピー性皮膚炎で(依存・リバウンドではない)、顔から首にかけては、ステロイド皮膚症(離脱・リバウンド)のように見えます。
2012.08.26