クロフィブラート軟膏のパイロットスタディ・補足2
先日来、すすめております、クロフィブラート軟膏のパイロットスタディですが、その後申し込みはなく、現在相変わらず5人のままです。
当初、年齢・性のペアが成立するのを待って連絡することにしていましたが、あまりお待たせするのも申し訳ないので、とりあえず5人について開始します。年齢・性のマッチングが悪くなりますが、仕方ないです。 引き続き、応募をお待ちしております。FAXにてご連絡ください。
(注:試験は終了しました。現在は募集していません)
軟膏のダブルブラインド(患者側にも治療者側にも真薬と偽薬どちらか判らないようにすること)の受け渡し方法について説明します。
軟膏は、青キャップと白キャップのどちらかです。一つが約30g入りです。どちらかがクロフィブラート入りです。
当初、年齢・性のペアが成立するのを待って連絡することにしていましたが、あまりお待たせするのも申し訳ないので、とりあえず5人について開始します。年齢・性のマッチングが悪くなりますが、仕方ないです。 引き続き、応募をお待ちしております。FAXにてご連絡ください。
(注:試験は終了しました。現在は募集していません)
軟膏のダブルブラインド(患者側にも治療者側にも真薬と偽薬どちらか判らないようにすること)の受け渡し方法について説明します。
軟膏は、青キャップと白キャップのどちらかです。一つが約30g入りです。どちらかがクロフィブラート入りです。
これを4個お渡しします(約120g)。1FTU(指先一すくい=約0.5gを手の平2枚分=体表の約2%に外用する)の考え方によれば、2週間で120gは1日17g=1日34%に相当します。全身湿疹という方もいらっしゃるかもしれませんが、まずはこのくらいの面積に外用してみてください。
軟膏は下写真のように銀色のビニル袋に包んだものを複数用意します。
軟膏は下写真のように銀色のビニル袋に包んだものを複数用意します。
複数の銀色の包みの中から、どれか一つを選んでください。
袋の中には、青か白かどちらかが入っていますが、ここでご注意いただきたいのは、ご自身が青のキャップのものを使っているか、白のキャップのものを使っているかは、試用終了(4週間後の3回目の診察の終了)まで、決して、私にも他の患者にも、言わないでください。また、ツイッターや掲示板・ブログなどでも、参加していることや、その経過や症状・効果についての書き込みは可ですが、使用している軟膏のキャップの色は、決して明かさないでください。次に参加する患者の先入観となる怖れがあるからです。この点くれぐれもよろしくお願い致します。
2週間後、再診時に、残りの軟膏とキャップを、同じ銀色の袋につつんで、その上からマジックで名前を記してご持参ください。試験終了後に開封します。このとき初めて、患者のかたが青色を使っていたか、白色を使っていたかが、判定者である私に明かされる、という流れです。また、このとき残っていた軟膏の重量を測って、2週間で何g使用したかも記録します。ですので、容器は空になったものも含めて、4つ全部お持ちください。
袋の中には、青か白かどちらかが入っていますが、ここでご注意いただきたいのは、ご自身が青のキャップのものを使っているか、白のキャップのものを使っているかは、試用終了(4週間後の3回目の診察の終了)まで、決して、私にも他の患者にも、言わないでください。また、ツイッターや掲示板・ブログなどでも、参加していることや、その経過や症状・効果についての書き込みは可ですが、使用している軟膏のキャップの色は、決して明かさないでください。次に参加する患者の先入観となる怖れがあるからです。この点くれぐれもよろしくお願い致します。
2週間後、再診時に、残りの軟膏とキャップを、同じ銀色の袋につつんで、その上からマジックで名前を記してご持参ください。試験終了後に開封します。このとき初めて、患者のかたが青色を使っていたか、白色を使っていたかが、判定者である私に明かされる、という流れです。また、このとき残っていた軟膏の重量を測って、2週間で何g使用したかも記録します。ですので、容器は空になったものも含めて、4つ全部お持ちください。
軟膏は基剤が白色ワセリンです。白色ワセリンを使用したことがある方はご存知かと思いますが、外用した直後は多少べたつき、痒みを感じるかもしれません(多くのかたは、これを「白色ワセリンは合わない」と言う)。しかし、これは、100%油脂製軟膏に普通のことで、いわゆる「使い心地」の範疇です。かぶれとは異なります。多少使い心地が悪く感じても、外用続行してください。
かぶれの場合は、明らかに赤みやむくみ、ときには浸出液が増加します。その場合はご自身で写真を撮ったうえで中止し、当方までご連絡(052-264-0213)ください。
さて、現在進行中の、クロフィブラート軟膏の試用は、
1)海外の患者での試用→2名
2)上記の小規模のダブルブラインド試用→5名
ですが、もうひとつ、別バージョンを考えてみました。
それは、ステロイドを離脱して、リバウンドに見舞われているが、いったんステロイドを外用して押さえても良い、という方を対象にした、ステロイド外用後→クロフィブラート軟膏に変更→リバウンドを抑えながら離脱を図る、というものです。
先日来繰り返し紹介しておりますように、クロフィブラート軟膏は、強い湿疹を抑える力はありませんが、弱い湿疹は抑えます。そして、動物実験上は、強い湿疹を、ステロイド外用→クロフィブラート軟膏→中止と段階を追った場合には、リバウンドが起きない、というデータがあります。
具体的な手順としては、わたしのところに来ていただき、ステロイド外用剤を処方します(顔はロコイド軟膏、体はフルメタ軟膏)。数日外用して、ある程度治まったところで、クロフィブラート軟膏に移行します。これで、リバウンドが抑えられるかどうか?の確認です。
この場合は、クロフィブラート軟膏は偽薬ではなく真薬をお渡しします。論理上、ここでダブルブラインドにすることも出来ますし、エビデンスは上がりますが、さすがに、ここで偽薬に当たった方はお気の毒なので・・。
ですから、この試験のエビデンスレベルはケースレポート、あるいはケースシリーズということになります。
クロフィブラート軟膏が効かない可能性はあります。その場合、元の状態(リバウンド)に戻るでしょう。しかし、数日のステロイド外用で、依存が深まって前よりも酷いリバウンドに見舞われるということはありません。仮にクロフィブラート軟膏が効かなくても、単に元に戻るだけのはずです。
もっとも、ステロイド外用前に、黄色ブドウ球菌による「ステロイド抵抗性」の問題を解除しておく必要があります。ステロイド抵抗性によっても、「ステロイドの効きが悪くなった」ように感じられますし、その状態のままステロイドを外用しても、治まらない可能性があるからです。具体的には、イソジン液や強酸性水などで、2週間程度消毒療法を行い、皮表の黄色ブドウ球菌をある程度除菌してから、ステロイドで抑える、という作業を、前に加えることになるでしょう。
この消毒療法のお話は、後日稿をあらためてまとめます。
2012.07.15
かぶれの場合は、明らかに赤みやむくみ、ときには浸出液が増加します。その場合はご自身で写真を撮ったうえで中止し、当方までご連絡(052-264-0213)ください。
さて、現在進行中の、クロフィブラート軟膏の試用は、
1)海外の患者での試用→2名
2)上記の小規模のダブルブラインド試用→5名
ですが、もうひとつ、別バージョンを考えてみました。
それは、ステロイドを離脱して、リバウンドに見舞われているが、いったんステロイドを外用して押さえても良い、という方を対象にした、ステロイド外用後→クロフィブラート軟膏に変更→リバウンドを抑えながら離脱を図る、というものです。
先日来繰り返し紹介しておりますように、クロフィブラート軟膏は、強い湿疹を抑える力はありませんが、弱い湿疹は抑えます。そして、動物実験上は、強い湿疹を、ステロイド外用→クロフィブラート軟膏→中止と段階を追った場合には、リバウンドが起きない、というデータがあります。
具体的な手順としては、わたしのところに来ていただき、ステロイド外用剤を処方します(顔はロコイド軟膏、体はフルメタ軟膏)。数日外用して、ある程度治まったところで、クロフィブラート軟膏に移行します。これで、リバウンドが抑えられるかどうか?の確認です。
この場合は、クロフィブラート軟膏は偽薬ではなく真薬をお渡しします。論理上、ここでダブルブラインドにすることも出来ますし、エビデンスは上がりますが、さすがに、ここで偽薬に当たった方はお気の毒なので・・。
ですから、この試験のエビデンスレベルはケースレポート、あるいはケースシリーズということになります。
クロフィブラート軟膏が効かない可能性はあります。その場合、元の状態(リバウンド)に戻るでしょう。しかし、数日のステロイド外用で、依存が深まって前よりも酷いリバウンドに見舞われるということはありません。仮にクロフィブラート軟膏が効かなくても、単に元に戻るだけのはずです。
もっとも、ステロイド外用前に、黄色ブドウ球菌による「ステロイド抵抗性」の問題を解除しておく必要があります。ステロイド抵抗性によっても、「ステロイドの効きが悪くなった」ように感じられますし、その状態のままステロイドを外用しても、治まらない可能性があるからです。具体的には、イソジン液や強酸性水などで、2週間程度消毒療法を行い、皮表の黄色ブドウ球菌をある程度除菌してから、ステロイドで抑える、という作業を、前に加えることになるでしょう。
この消毒療法のお話は、後日稿をあらためてまとめます。
2012.07.15