ステロイドを使用しないアトピー性皮膚炎の経過調査にご協力ください(2)
すでに、過去記事で記しました通り(→こちらとこちら)、平成27年1月1日から半年間の予定で、7人の皮膚科・小児科の医師が協力して、上記調査を行います。
バナー用の画像作りました。HPやブログをお持ちの皆様、ぜひお持ち帰りいただき、本記事にリンクするなどして広めてください。よろしくお願いいたします。
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どういった趣旨・目的かと言うと、2003年に九大の古江先生らによる「ステロイド外用剤を6ヶ月間使用した患者の経過調査」の報告とまったく同様のプロトコールでもって、ステロイドを使用しない患者の6か月間前後の症状を比較してみよう、ということです。
古江先生らの報告では、「思春期・成人」における「改善以上」は37%でした(→こちら)。ステロイドを用いずに医師が患者をケアした場合はどうなのか?もしも同等、すなわち37%程度で「改善以上」であれば、6ヶ月と言うスパンで見たときには、ステロイドを使っていてもいなくても、変わらないということになります。
ステロイドを使用しない患者と言うのは、とかく治療放棄しているのではないか、変な民間療法にはまっているのではないか、と白い目で見られがちです。今回の調査で上記の点が確認されて、医学論文としてまとめられれば、職場や学校などで、ステロイドを使わない選択肢と言うのは医学的根拠があるのだ、と堂々と主張できます。
ここで注意しなくてはならないのは、今回の私たちの調査は「脱ステロイド」の奏効率を調べるものではないという点です。脱ステロイドの医療機関での奏効率の報告は、これまでにいくつか出ていますが、だいたい6ヶ月で60%くらいです(→こちら)。
脱ステロイドの経過報告の場合は、ステロイドを使用していて効かなくなってきた、すなわち依存現象が疑われる患者を対象にしますから、「奏効率」は高いですが、今回の調査は単に「ステロイドを使わない」6ヶ月です。この中には、ステロイドを止めて何年も経つけれども未だ芳しくない、という患者も含むことになるでしょう。ですから、6カ月前後で「改善以上」の率は、過去の脱ステロイドの奏効率の報告よりも低くなるはずです。
言い換えると、古江先生らの報告は、ステロイド依存の患者群を含んでおり、それゆえに「コントロール不良」を19%含んでいましたが、今回の私たちの調査は、ステロイド依存ではない、単なるステロイド忌避の患者をも含むでしょう。そういった患者は6ヶ月間での変化は少ないかもしれません。そういった患者群をも含め、とにかく6ヶ月間のステロイド不使用で症状の変化を比較しようということです。
さらに念のために付言すると、6か月間で症状が不変な患者が即、忌避患者であるとも言えません。依存からの回復に数年かかることはまったくもって珍しいことでは無いからです。この関係は、古江先生らの論文の19%のコントロール不良群がそのまま依存患者であるとは言えない点に似ています。
この調査は、古江先生らの37%という「改善以上」の数字を超えよう、ステロイドを用いないほうが診療態度として優れているのだ、ということを証明しようと考えてなされるものでもありません。古江先生らの数字よりも高かろうが低かろうが、一人でも6ヶ月後に軽快する人がいるのであれば、選択肢としての「ステロイドを用いない」の正当性は証明されたことになります。依存に陥りにくいタイプの人は確かにいますから、そういう人は自分の判断でステロイドを使い続けてもいいだろうし、不幸にも依存に陥った患者は辛くてもステロイドを止めてリバウンドを乗り越えていくしかありません。「ステロイドを使う場合は6ヶ月後の改善率は37%で、使わない場合は○%だ。だから、ステロイドを(使う・使わない)べきだ。」といった数字の比較で、私たちのデータを用いるのは間違っています。個々の患者への診療態度は、個々の患者において決められなければなりません。この点は最初に釘を刺しておきます。
以下に「同意書」を掲示しておきます。
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「アトピー性皮膚炎にステロイド外用剤を用いない治療における臨床経過観察」研究へのご協力のお願い
アトピー性皮膚炎の治療において、多くの問題点があるにもかかわらず、ステロイド外用剤によるいわゆる標準治療が主座を占めるとされています。その一方でアトピー性皮膚炎には自然治癒傾向があることも良く知られています。またステロイド外用剤の副作用を心配して、あるいは副作用を生じたために、これを用いない治療を希望する患者さんも多数存在します。
アトピー性皮膚炎を臨床医が治療するにあたって、ステロイド外用剤は必須のものでしょうか?私たちはこれを検証するために、ステロイド外用剤を使用しないでアトピー性皮膚炎を治療する患者を登録し、6ヶ月毎に経過観察することにいたしました。どうか本研究にご協力ください。
ご登録いただくと、担当医が、患者さんの性別・年齢・重症度などのデータを集計担当者へ送ります。お願いしたい内容は臨床情報の提供の御了解です。このほかに通常の診察以外の患者さんの負担はありません。
また、途中でステロイド外用剤による治療を希望された場合には、その時点で終了となります。途中で終了するかどうかは、まったく患者さんの自由意思によります。研究にご参加頂くことによって、ステロイド外用剤の不使用を強要するものでは決してありません。
6ヶ月後に医療機関を受診して頂き(研究に参加している医療機関であれば、先回と異なる医療機関でも構いません)、視診による重症度の再判定(これにより6カ月前後での改善の有無を見ます)と、その間にカポジ水痘様発疹症や伝染性膿痂疹などの感染症が起きたかどうかを問診します。
本研究は、研究参加医師たちによる自発的なもので、いかなる企業・団体などからも、資金提供を受けていません。結果は集計して医学雑誌に投稿する予定です。よろしくお願いいたします。
集計担当者 名古屋市中区千代田5-20-6 鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継 TEL 052-264-0212
本研究の内容を理解し、臨床情報の提供に同意します。
年 月 日 氏名
(未成年者の場合) 保護者氏名
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また、「次回(6ヶ月後)のご案内」も掲示しておきます。
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この調査のために、次回御来院いただく日時は
年 月 日 時 分 です。
診察のための次回再診日とは異なります。御注意ください。
6ヶ月後ですが、前後1カ月の幅を設けます(5ヶ月後から7ヶ月後)。もしもご都合の悪い場合にはお電話でご連絡ください。
6ヶ月後も、同じ医療機関に受診して頂くことが望ましいですが、遠方の場合は別の研究参加医師を受診することもできます。その場合、調査票を転送しておきますので、ご連絡ください。
研究参加医師
深谷元継 鶴舞公園クリニック 名古屋市中区千代田5-20-6 TEL 052-264-0212
佐藤美津子 佐藤小児科 大阪府堺市中区堀上町123番地 TEL 072-281-0215
佐藤健二 山田貴博 阪南中央病院 大阪府松原市南新町3丁目3−28 TEL072-333-2100
木俣肇 木俣肇クリニック 大阪府寝屋川市早子町2-21早子町オオヨドビル3階 TEL 072-812-1160
藤澤重樹 藤澤皮膚科 東京都練馬区東大泉1丁目37−14 TEL03-3925-8947
堂園晴彦 堂園メディカルハウス 鹿児島県鹿児島市上之園町3−1 TEL099-254-1864
吉澤潤 吉澤皮膚科 神奈川県横浜市中区石川町1-1 TEL045-662-5005
水口聡子 上尾二ッ宮クリニック 埼玉県上尾市二ッ宮954-1 TEL 048-773-4994
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最後に申し訳ないことですが、私(深谷)は集計を担当しますが、初回の診察には加わりません。本ブログを最初から読んでくださっている方であれば、私の個人的な事情はご承知かと存じます。この機会に私の診察・助言を受けてみたい、という患者さんもいらっしゃるかもしれませんがすみません。
ただし、この研究の企画にあたって、阪南中央病院の佐藤先生が、「うちの患者は遠方から入院してくる患者が多く、6ヶ月目に症状チェックのためだけに来院してもらうのは難しいかもしれない」と危惧されたので、私が「名古屋近郊の患者であれば、判定だけであれば、私が対応します」と申し入れました。ですから「これから佐藤先生のところに入院する予定で、研究に参加する意志はあるが、6ヶ月後の判定には通えないかもしれない」という方はご連絡ください。入院前にお立ち寄り頂ければ、初回の判定も私がします。
古江先生らの報告では、「思春期・成人」における「改善以上」は37%でした(→こちら)。ステロイドを用いずに医師が患者をケアした場合はどうなのか?もしも同等、すなわち37%程度で「改善以上」であれば、6ヶ月と言うスパンで見たときには、ステロイドを使っていてもいなくても、変わらないということになります。
ステロイドを使用しない患者と言うのは、とかく治療放棄しているのではないか、変な民間療法にはまっているのではないか、と白い目で見られがちです。今回の調査で上記の点が確認されて、医学論文としてまとめられれば、職場や学校などで、ステロイドを使わない選択肢と言うのは医学的根拠があるのだ、と堂々と主張できます。
ここで注意しなくてはならないのは、今回の私たちの調査は「脱ステロイド」の奏効率を調べるものではないという点です。脱ステロイドの医療機関での奏効率の報告は、これまでにいくつか出ていますが、だいたい6ヶ月で60%くらいです(→こちら)。
脱ステロイドの経過報告の場合は、ステロイドを使用していて効かなくなってきた、すなわち依存現象が疑われる患者を対象にしますから、「奏効率」は高いですが、今回の調査は単に「ステロイドを使わない」6ヶ月です。この中には、ステロイドを止めて何年も経つけれども未だ芳しくない、という患者も含むことになるでしょう。ですから、6カ月前後で「改善以上」の率は、過去の脱ステロイドの奏効率の報告よりも低くなるはずです。
言い換えると、古江先生らの報告は、ステロイド依存の患者群を含んでおり、それゆえに「コントロール不良」を19%含んでいましたが、今回の私たちの調査は、ステロイド依存ではない、単なるステロイド忌避の患者をも含むでしょう。そういった患者は6ヶ月間での変化は少ないかもしれません。そういった患者群をも含め、とにかく6ヶ月間のステロイド不使用で症状の変化を比較しようということです。
さらに念のために付言すると、6か月間で症状が不変な患者が即、忌避患者であるとも言えません。依存からの回復に数年かかることはまったくもって珍しいことでは無いからです。この関係は、古江先生らの論文の19%のコントロール不良群がそのまま依存患者であるとは言えない点に似ています。
この調査は、古江先生らの37%という「改善以上」の数字を超えよう、ステロイドを用いないほうが診療態度として優れているのだ、ということを証明しようと考えてなされるものでもありません。古江先生らの数字よりも高かろうが低かろうが、一人でも6ヶ月後に軽快する人がいるのであれば、選択肢としての「ステロイドを用いない」の正当性は証明されたことになります。依存に陥りにくいタイプの人は確かにいますから、そういう人は自分の判断でステロイドを使い続けてもいいだろうし、不幸にも依存に陥った患者は辛くてもステロイドを止めてリバウンドを乗り越えていくしかありません。「ステロイドを使う場合は6ヶ月後の改善率は37%で、使わない場合は○%だ。だから、ステロイドを(使う・使わない)べきだ。」といった数字の比較で、私たちのデータを用いるのは間違っています。個々の患者への診療態度は、個々の患者において決められなければなりません。この点は最初に釘を刺しておきます。
以下に「同意書」を掲示しておきます。
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「アトピー性皮膚炎にステロイド外用剤を用いない治療における臨床経過観察」研究へのご協力のお願い
アトピー性皮膚炎の治療において、多くの問題点があるにもかかわらず、ステロイド外用剤によるいわゆる標準治療が主座を占めるとされています。その一方でアトピー性皮膚炎には自然治癒傾向があることも良く知られています。またステロイド外用剤の副作用を心配して、あるいは副作用を生じたために、これを用いない治療を希望する患者さんも多数存在します。
アトピー性皮膚炎を臨床医が治療するにあたって、ステロイド外用剤は必須のものでしょうか?私たちはこれを検証するために、ステロイド外用剤を使用しないでアトピー性皮膚炎を治療する患者を登録し、6ヶ月毎に経過観察することにいたしました。どうか本研究にご協力ください。
ご登録いただくと、担当医が、患者さんの性別・年齢・重症度などのデータを集計担当者へ送ります。お願いしたい内容は臨床情報の提供の御了解です。このほかに通常の診察以外の患者さんの負担はありません。
また、途中でステロイド外用剤による治療を希望された場合には、その時点で終了となります。途中で終了するかどうかは、まったく患者さんの自由意思によります。研究にご参加頂くことによって、ステロイド外用剤の不使用を強要するものでは決してありません。
6ヶ月後に医療機関を受診して頂き(研究に参加している医療機関であれば、先回と異なる医療機関でも構いません)、視診による重症度の再判定(これにより6カ月前後での改善の有無を見ます)と、その間にカポジ水痘様発疹症や伝染性膿痂疹などの感染症が起きたかどうかを問診します。
本研究は、研究参加医師たちによる自発的なもので、いかなる企業・団体などからも、資金提供を受けていません。結果は集計して医学雑誌に投稿する予定です。よろしくお願いいたします。
集計担当者 名古屋市中区千代田5-20-6 鶴舞公園クリニック 院長 深谷元継 TEL 052-264-0212
本研究の内容を理解し、臨床情報の提供に同意します。
年 月 日 氏名
(未成年者の場合) 保護者氏名
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また、「次回(6ヶ月後)のご案内」も掲示しておきます。
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この調査のために、次回御来院いただく日時は
年 月 日 時 分 です。
診察のための次回再診日とは異なります。御注意ください。
6ヶ月後ですが、前後1カ月の幅を設けます(5ヶ月後から7ヶ月後)。もしもご都合の悪い場合にはお電話でご連絡ください。
6ヶ月後も、同じ医療機関に受診して頂くことが望ましいですが、遠方の場合は別の研究参加医師を受診することもできます。その場合、調査票を転送しておきますので、ご連絡ください。
研究参加医師
深谷元継 鶴舞公園クリニック 名古屋市中区千代田5-20-6 TEL 052-264-0212
佐藤美津子 佐藤小児科 大阪府堺市中区堀上町123番地 TEL 072-281-0215
佐藤健二 山田貴博 阪南中央病院 大阪府松原市南新町3丁目3−28 TEL072-333-2100
木俣肇 木俣肇クリニック 大阪府寝屋川市早子町2-21早子町オオヨドビル3階 TEL 072-812-1160
藤澤重樹 藤澤皮膚科 東京都練馬区東大泉1丁目37−14 TEL03-3925-8947
堂園晴彦 堂園メディカルハウス 鹿児島県鹿児島市上之園町3−1 TEL099-254-1864
吉澤潤 吉澤皮膚科 神奈川県横浜市中区石川町1-1 TEL045-662-5005
水口聡子 上尾二ッ宮クリニック 埼玉県上尾市二ッ宮954-1 TEL 048-773-4994
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最後に申し訳ないことですが、私(深谷)は集計を担当しますが、初回の診察には加わりません。本ブログを最初から読んでくださっている方であれば、私の個人的な事情はご承知かと存じます。この機会に私の診察・助言を受けてみたい、という患者さんもいらっしゃるかもしれませんがすみません。
ただし、この研究の企画にあたって、阪南中央病院の佐藤先生が、「うちの患者は遠方から入院してくる患者が多く、6ヶ月目に症状チェックのためだけに来院してもらうのは難しいかもしれない」と危惧されたので、私が「名古屋近郊の患者であれば、判定だけであれば、私が対応します」と申し入れました。ですから「これから佐藤先生のところに入院する予定で、研究に参加する意志はあるが、6ヶ月後の判定には通えないかもしれない」という方はご連絡ください。入院前にお立ち寄り頂ければ、初回の判定も私がします。
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