中間分子量ヒアルロン酸の若返り効果の検証が論文になりました
中間分子量ヒアルロン酸は、私が製作販売している化粧品の主成分です。現在のところ、これを使用した化粧 品は日本では他にありません。製品名を明示すると、ブログ記事が薬事法第86条(未承認医薬品の広告禁止)に抵触するおそれがあるので、製品名を伏して一 般名である「中間分子量ヒアルロン酸」に置き換えて記事を書いています。関心のあるかたは、お手数ですが検索して探してください。
中間分子量ヒアルロン酸化粧水の製造販売を開始して1年になります。とくに高齢の方の若返り効果が期待できるはずですが、実際にどの程度の効果が出るものなのかを、検証してみました。
中間分子量ヒアルロン酸化粧水の製造販売を開始して1年になります。とくに高齢の方の若返り効果が期待できるはずですが、実際にどの程度の効果が出るものなのかを、検証してみました。
(画像をクリックするとジャーナルのサイトに飛びます。Open access journalなので、全文無料でダウンロードできます)
以下、かいつまんで、内容を解説します。例によって、やや専門的なお話になりますが、ご容赦ください。
65才以上の方10人に御協力いただき(主にスタッフたちの両親やそのお友達です)、中間分子量ヒアルロン酸化粧水を首に一日2回、2週間外用してもらいました。その前後で皮膚小片を採取し、免疫組織染色と言う手法で、どのような変化が生じているかを確認しました。
結果は表の通りでした。前後で染色が弱くなっている場合は > 強くなっている場合は < 変わらない場合は = で表現しています。
以下、かいつまんで、内容を解説します。例によって、やや専門的なお話になりますが、ご容赦ください。
65才以上の方10人に御協力いただき(主にスタッフたちの両親やそのお友達です)、中間分子量ヒアルロン酸化粧水を首に一日2回、2週間外用してもらいました。その前後で皮膚小片を採取し、免疫組織染色と言う手法で、どのような変化が生じているかを確認しました。
結果は表の通りでした。前後で染色が弱くなっている場合は > 強くなっている場合は < 変わらない場合は = で表現しています。
PCNAというのは細胞の分裂増殖のマーカーで、filaggrinは角層のバリアを構成する主要タンパク質です。11βHSD1はステロイドを活性化する酵素、11βHSD2は不活性化する酵素です。 なぜ11βHSD1と2を調べたかと言うと、表皮細胞はステロイドを自ら産生しており、それによって厚さや分化を自己調節していることが近年明らかにされているからです(→こちら)。
11βHSD1/2比が増加すると、表皮は自らの産生するステロイド過剰に陥り、萎縮につながると考えられます。加齢による表皮の萎縮が、11βHSD1/2バランスと関係していそうかを推測するために、いわば「おまけ」の実験として染色してみました。
実際の染色像は、たとえばcase1の場合、下図のようでした。
11βHSD1/2比が増加すると、表皮は自らの産生するステロイド過剰に陥り、萎縮につながると考えられます。加齢による表皮の萎縮が、11βHSD1/2バランスと関係していそうかを推測するために、いわば「おまけ」の実験として染色してみました。
実際の染色像は、たとえばcase1の場合、下図のようでした。
a: PCNA、b: filaggrin、c: 11βHSD1、d: 11βHSD2、それぞれ上が外用前で下が外用二週間後。PCNAは陽性細胞(核が茶色に染まった細胞)の密度が増えており、filaggrinは増加している。11βHSD1は不変で、11βHSD2は基底層付近で濃くなっている。上の表は、これをPCNA <、filaggrin <、11βHSD1 =、11βHSD2 < というように数学記号を用いて表現したということです。
表を見直すと、PCNA < は10例中8例、filaggrin < は10例中6例、11βHSD1 > あるいは11βHSD2 < は10例中8例で確認出来ました。
以上から、ヒアルプロテクトは、(1)PCNA 細胞陽性やfilaggrinを増加させること(=萎縮した表皮を回復させること)、(2)そのメカニズムとして11βHSD1/2のバランスを介している可能性があること、の2点が言えると考えられました。
免疫染色などにかかわる費用は私が負担しましたが、論文著者は、私ではありません。私は化粧品の製造販売者ですから、私が著者となったのでは、説得力が低下しますからね。外部研究の評価を受け付けている名古屋市内の総合病院の倫理委員会で承認してもらって、そこの病院に勤務している先生に評価と執筆をお願いしました。
これだけ、組織学的にもはっきりと、皮膚の若返り効果が確認された化粧品って、ほかに私は知りません。真面目な話、かなり画期的なんですよ。
ところで、主成分である10万ダルトン付近の分子量のヒアルロン酸が、「老化による皮膚萎縮」と、「ステロイドによる皮膚萎縮」の双方を改善させるということは、よく考えてみると、ステロイドによる皮膚萎縮というのは、老化による皮膚萎縮にメカニズム的に近い、すなわち、
ステロイドを外用するということは、皮膚を人工的に老化させているようなもの
という見方もできるわけです。ただし、ステロイドによる萎縮の場合は、中止により回復しうるという意味で可逆的ではありますし、メカニズムの上でも、ステロイドによる表皮の萎縮は11βHSD1/2ではなくもっと上流(cyp11A1?)かもしれないという点は、先日記した通りですが(→こちら)。
煽動的だ、ステロイドを外用してコントロール出来ている自分にとっては聞きたくもない話だ、と反感を買うのはうんざりです。決してそういう方の心情を逆なでするためにこのブログを書いているわけではありません。せっかくこういう商品がありますので、経済的に余裕の無い方は仕方も無いのですが、多少の余裕がある方は、ステロイド使用時には重ね塗りしておくと、この皮膚の萎縮が食い止められますよ、と情報提供しています。
一儲けしようとか、そんな気も毛頭ありません。私は美容外科医として十分成功しています。このブログに関わる一連のことは、私にとって趣味でありボランティアであり、純粋に知的好奇心を満たすための研究です。収益よりも支出の方が大きいです。しかしやめるつもりはありません。
依存に陥っている・いないに関わらず、すべてのステロイドユーザーに呼びかけます。ステロイド使用時には、もし経済的に多少の余裕があるならば、この中間分子量ヒアルロン酸を少量重ね塗りしておくといいですよ。
【追記】 少し前になりますが、コメント欄を通じて下記のようなユーザーからの連絡がありました。
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○○と申します。先日商品を購入したものです。遅くなりましたが、ご報告いたします。私はステロイド軟こうと一緒に使用したのですが、赤くなって悪化しました。私には合わなかったようです。
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実際、以前行った使用調査でも、同様の刺激を訴えて中止した方はいらっしゃいました。このような場合、ヒアルロン酸自体はおよそ刺激やアレルギーの原因になるとは考えにくいので、保存料などの添加物が原因なのかもしれません。
以前にも書きましたが、添加物を加えないヒアルロン酸だけの水溶液も用意はあります。ただし、これは化粧品として通販することは出来ません。化粧品として登録する際には、細菌やかびの生え易い状況に一定期間放置して、品質が変化しないことを確認して申請しなければならないからです。
ただし、これもまたクロフィブラート軟膏と同様、クリニックまで来て頂いてカルテを作成さえすれば、診察の上医師の判断による処方という形で販売することは出来ます。
ただし、最初から無添加のヒアルロン酸をということではなくて、まず通常の製品を購入して使ってみてください。その上で、上記のように「どうも合わない」ということで、なおかつ無添加のものを試してみたいという場合には、052-264-0213までお電話の上、クリニックまでお越しください。無添加のものを通常の製品と同価格で販売いたします(ただし、長期保存の品質の保証は出来かねますので、冷蔵庫保存のうえ、清潔に扱ってください)。
2014.05.28
表を見直すと、PCNA < は10例中8例、filaggrin < は10例中6例、11βHSD1 > あるいは11βHSD2 < は10例中8例で確認出来ました。
以上から、ヒアルプロテクトは、(1)PCNA 細胞陽性やfilaggrinを増加させること(=萎縮した表皮を回復させること)、(2)そのメカニズムとして11βHSD1/2のバランスを介している可能性があること、の2点が言えると考えられました。
免疫染色などにかかわる費用は私が負担しましたが、論文著者は、私ではありません。私は化粧品の製造販売者ですから、私が著者となったのでは、説得力が低下しますからね。外部研究の評価を受け付けている名古屋市内の総合病院の倫理委員会で承認してもらって、そこの病院に勤務している先生に評価と執筆をお願いしました。
これだけ、組織学的にもはっきりと、皮膚の若返り効果が確認された化粧品って、ほかに私は知りません。真面目な話、かなり画期的なんですよ。
ところで、主成分である10万ダルトン付近の分子量のヒアルロン酸が、「老化による皮膚萎縮」と、「ステロイドによる皮膚萎縮」の双方を改善させるということは、よく考えてみると、ステロイドによる皮膚萎縮というのは、老化による皮膚萎縮にメカニズム的に近い、すなわち、
ステロイドを外用するということは、皮膚を人工的に老化させているようなもの
という見方もできるわけです。ただし、ステロイドによる萎縮の場合は、中止により回復しうるという意味で可逆的ではありますし、メカニズムの上でも、ステロイドによる表皮の萎縮は11βHSD1/2ではなくもっと上流(cyp11A1?)かもしれないという点は、先日記した通りですが(→こちら)。
煽動的だ、ステロイドを外用してコントロール出来ている自分にとっては聞きたくもない話だ、と反感を買うのはうんざりです。決してそういう方の心情を逆なでするためにこのブログを書いているわけではありません。せっかくこういう商品がありますので、経済的に余裕の無い方は仕方も無いのですが、多少の余裕がある方は、ステロイド使用時には重ね塗りしておくと、この皮膚の萎縮が食い止められますよ、と情報提供しています。
一儲けしようとか、そんな気も毛頭ありません。私は美容外科医として十分成功しています。このブログに関わる一連のことは、私にとって趣味でありボランティアであり、純粋に知的好奇心を満たすための研究です。収益よりも支出の方が大きいです。しかしやめるつもりはありません。
依存に陥っている・いないに関わらず、すべてのステロイドユーザーに呼びかけます。ステロイド使用時には、もし経済的に多少の余裕があるならば、この中間分子量ヒアルロン酸を少量重ね塗りしておくといいですよ。
【追記】 少し前になりますが、コメント欄を通じて下記のようなユーザーからの連絡がありました。
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○○と申します。先日商品を購入したものです。遅くなりましたが、ご報告いたします。私はステロイド軟こうと一緒に使用したのですが、赤くなって悪化しました。私には合わなかったようです。
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実際、以前行った使用調査でも、同様の刺激を訴えて中止した方はいらっしゃいました。このような場合、ヒアルロン酸自体はおよそ刺激やアレルギーの原因になるとは考えにくいので、保存料などの添加物が原因なのかもしれません。
以前にも書きましたが、添加物を加えないヒアルロン酸だけの水溶液も用意はあります。ただし、これは化粧品として通販することは出来ません。化粧品として登録する際には、細菌やかびの生え易い状況に一定期間放置して、品質が変化しないことを確認して申請しなければならないからです。
ただし、これもまたクロフィブラート軟膏と同様、クリニックまで来て頂いてカルテを作成さえすれば、診察の上医師の判断による処方という形で販売することは出来ます。
ただし、最初から無添加のヒアルロン酸をということではなくて、まず通常の製品を購入して使ってみてください。その上で、上記のように「どうも合わない」ということで、なおかつ無添加のものを試してみたいという場合には、052-264-0213までお電話の上、クリニックまでお越しください。無添加のものを通常の製品と同価格で販売いたします(ただし、長期保存の品質の保証は出来かねますので、冷蔵庫保存のうえ、清潔に扱ってください)。
2014.05.28