中間分子量ヒアルロン酸化粧水の分子量サイズの問題について(その2)
中間分子量ヒアルロン酸は、私が製作販売している化粧品の主成分です。現在のところ、これを使用した化粧 品は日本では他にありません。
製品名を明示すると、ブログ記事が薬事法第86条(未承認医薬品の広告禁止)に抵触するおそれがあるので、製品名を伏して一 般名である「中間分子量ヒアルロン酸」に置き換えて記事を書いています。関心のあるかたは、お手数ですが検索して探してください。
前に(といってもつい先週ですが・・)「Barnes先生らの報告したHAFiは分子量が5~40万であり、中間分子量ヒアルロン酸化粧水は分子量が5~11万(メーカーによればピークは10万くらいとのこと)なので、もしも活性が11~40万のあたりにあったら、中間分子量ヒアルロン酸化粧水はBarnes先生らのデータのようには効かないかもしれない」という不安があることを記しました。
その後、妊娠16週の羊水中(16週前後で胎児の皮膚は形成されます)のヒアルロン酸の分子量ピークが10万くらいという論文を見つけて、生体の合目的性から考えて、10万というのは意味がある数字ではないか、とすると中間分子量ヒアルロン酸化粧水は有効ではないか、と考えてはいたのですが、今日、10万付近でまず間違いない、という別の論文を見つけました。
2013年3月の、それも印刷前のネット上先行報告論文です。生化学の雑誌です(全文が→こちらで読めます)。
The Hyaluronan Receptor for Endocytosis (HARE) activates NF-κB mediated gene expression in response to 40-400 kDa, but not smaller or larger, hyaluronan.
Pandey MS et al, J Biol Chem. 2013 Mar 24. [Epub ahead of print]
まずヒアルロン酸断片を、分子量別に細かく分けています。ヒアルロン酸というのは、とても単純な糖鎖の繰り返し構造の巨大分子なので、単一分子量を精製することはまず無理です。ピーク値を3.6万、8万、10.7万、17.8万、54.9万、96.7万として、これでもかなり細かく分けたほうだと思います(下図)。
実験の概要はやや難しいので省略して、とにかく結果として下図が得られました。
活性のピークは10,7万のあたりにありました。
論文はさらに細かくヒアルロン酸を分子量で区画して、下図のような結果を出しています。
論文はさらに細かくヒアルロン酸を分子量で区画して、下図のような結果を出しています。
活性は4.4~25.4万で認められ、ピークは13.7万です。中間分子量ヒアルロン酸化粧水に活性はありそうです。
ああよかった(^^;。
これで安心して売れます。
しかし、それにしても、この中間分子量ヒアルロン酸断片に関する論文、ここ数ヶ月でいくつも出てきました。
論文が出てくる前には相当な研究期間があっただろうから、個々に研究されていたものが、一気に花開いているのでしょうね。
個々の研究は地道なものなのでしょうが、それらを全体として見渡すと、羊水との関係とか、大変に興味深い生命現象の仕組みが現れてきます。
医学論文って、私にとっては、ほんとうに小説や映画よりよほど面白いし刺激的です。
2013.04.05
ああよかった(^^;。
これで安心して売れます。
しかし、それにしても、この中間分子量ヒアルロン酸断片に関する論文、ここ数ヶ月でいくつも出てきました。
論文が出てくる前には相当な研究期間があっただろうから、個々に研究されていたものが、一気に花開いているのでしょうね。
個々の研究は地道なものなのでしょうが、それらを全体として見渡すと、羊水との関係とか、大変に興味深い生命現象の仕組みが現れてきます。
医学論文って、私にとっては、ほんとうに小説や映画よりよほど面白いし刺激的です。
2013.04.05