日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」改訂作業進行中のようです
「京大アトピー症状改善の化合物発見」の記事で紹介した椛島先生の2014年5月18日のブログに次のような一節が書かれていました。
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デスクワークのほとんどがここしばらくは、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成に関する仕事になっています。
クリニカルクエスチョンに対する文献検索とreviewをしていくわけですが、なかなか大変な作業です
(→こちら)
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ということで、アメリカ皮膚科学会のガイドラインに引き続いて、日本のガイドライン改訂作業も進行中のようです。
アメリカの改訂ガイドラインについての解説は以前記しました(→こちらとこちらとこちら)。私の目に留まった重要な点は以下の二つです。
1)ガイドライン冒頭で、本ガイドラインは標準治療(standard of care)と看做されるべきではないと明言した。
2)ステロイド依存については触れられず、タキフィラキシー(解説は→こちら)については「臨床的に重要な問題となっているというデータは無い(data are lacking to suggest that this is a significant clinical problem)」と記述された。
です。
現在atopicという阪南中央病院の佐藤先生のところで入院治療を行った脱ステロイドの患者たちが中心となって出来た患者団体が、日本皮膚科学会のガイドラインの内容に改訂を求める署名運動を行っています(→こちら)。
私自身、4年前に、有志の日本皮膚科学会会員医師ら6名との連名で、ステロイド依存についての記述を加えるべきであるとの要望書を提出しました(→こちら)。
本ブログを読んでいらっしゃる方々にお願いです。Atopicが進めている署名にご協力ください。6月19日現在、ネット上および紙の署名あわせて、7,190になったそうです。1万に達したら、日本皮膚科学会に提出の予定とのことです。椛澤先生らの進めている改訂作業に、署名提出が遅れてしまっては、時期を逸します。
実際のところ、椛澤先生のブログ記事にあるように、ガイドライン改訂の具体的な作業は、文献、とくに英語医学文献の検索によって進められるでしょうから、今回のatopicの署名提出にどのくらいの効果があるかはわかりません。しかし、4年前の私たち7名の皮膚科医が提出した要望書がそうであるように、事実として記録に残ります。
ステロイド依存・離脱というのは、case series以上のevidenceをもたせて報告することは本質的に困難ですから(無作為割付は出来ないし、そもそも脱ステロイドは副作用報告であって治療ではない)、椛島先生らが現在行っているような医学論文のレビューによっては今後も浮かび上がってくることは無いでしょう。そのような手法でまとめられたガイドラインの不完全さは、結局アメリカのガイドラインで今回記されたように「本ガイドラインは標準治療と看做されるべきではない」という注釈で、明示されるべきです。この点についての自覚を、現在の日本皮膚科学会のガイドライン作成者たちに促すのに、4年前の私たちの要望書、あるいは今回のatopicの署名活動は有用です。
ですから、私は、新しい日本のガイドラインに「ステロイド依存」の記述が無くても、アメリカのガイドライン同様「本ガイドラインの内容は標準治療と看做されるべきではない」と明記されれば、私たちの活動は成功であったと考えます。そしてそれは、現在のガイドライン作成者たちにとっても、受け入れられない話ではないはずです。
2014.06.20
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デスクワークのほとんどがここしばらくは、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成に関する仕事になっています。
クリニカルクエスチョンに対する文献検索とreviewをしていくわけですが、なかなか大変な作業です
(→こちら)
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ということで、アメリカ皮膚科学会のガイドラインに引き続いて、日本のガイドライン改訂作業も進行中のようです。
アメリカの改訂ガイドラインについての解説は以前記しました(→こちらとこちらとこちら)。私の目に留まった重要な点は以下の二つです。
1)ガイドライン冒頭で、本ガイドラインは標準治療(standard of care)と看做されるべきではないと明言した。
2)ステロイド依存については触れられず、タキフィラキシー(解説は→こちら)については「臨床的に重要な問題となっているというデータは無い(data are lacking to suggest that this is a significant clinical problem)」と記述された。
です。
現在atopicという阪南中央病院の佐藤先生のところで入院治療を行った脱ステロイドの患者たちが中心となって出来た患者団体が、日本皮膚科学会のガイドラインの内容に改訂を求める署名運動を行っています(→こちら)。
私自身、4年前に、有志の日本皮膚科学会会員医師ら6名との連名で、ステロイド依存についての記述を加えるべきであるとの要望書を提出しました(→こちら)。
本ブログを読んでいらっしゃる方々にお願いです。Atopicが進めている署名にご協力ください。6月19日現在、ネット上および紙の署名あわせて、7,190になったそうです。1万に達したら、日本皮膚科学会に提出の予定とのことです。椛澤先生らの進めている改訂作業に、署名提出が遅れてしまっては、時期を逸します。
実際のところ、椛澤先生のブログ記事にあるように、ガイドライン改訂の具体的な作業は、文献、とくに英語医学文献の検索によって進められるでしょうから、今回のatopicの署名提出にどのくらいの効果があるかはわかりません。しかし、4年前の私たち7名の皮膚科医が提出した要望書がそうであるように、事実として記録に残ります。
ステロイド依存・離脱というのは、case series以上のevidenceをもたせて報告することは本質的に困難ですから(無作為割付は出来ないし、そもそも脱ステロイドは副作用報告であって治療ではない)、椛島先生らが現在行っているような医学論文のレビューによっては今後も浮かび上がってくることは無いでしょう。そのような手法でまとめられたガイドラインの不完全さは、結局アメリカのガイドラインで今回記されたように「本ガイドラインは標準治療と看做されるべきではない」という注釈で、明示されるべきです。この点についての自覚を、現在の日本皮膚科学会のガイドライン作成者たちに促すのに、4年前の私たちの要望書、あるいは今回のatopicの署名活動は有用です。
ですから、私は、新しい日本のガイドラインに「ステロイド依存」の記述が無くても、アメリカのガイドライン同様「本ガイドラインの内容は標準治療と看做されるべきではない」と明記されれば、私たちの活動は成功であったと考えます。そしてそれは、現在のガイドライン作成者たちにとっても、受け入れられない話ではないはずです。
2014.06.20
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