痒疹タイプのアトピー性皮膚炎にはステロイドよりもUVB(エキシマレーザー)のほうが効く
Excimer laser vs. clobetasol propionate 0•05% ointment in prurigo form of atopic dermatitis: a randomized controlled trial, a pilot. Brenninkmeijer EE,et al. Br J Dermatol. 2010 Oct;163(4):823-31.
痒疹タイプのアトピー性皮膚炎は、ステロイド外用剤に抵抗性なことが多く(→こちらやこちら)、また、光線療法が有効な場合があることは、昔から知られていました。
また、痒疹タイプのアトピー性皮膚炎の多くは、ステロイド抵抗性であると同時に依存に陥っており、中止と共にリバウンドを生じ、その経過も長いことは、脱ステロイドに携わる医師の間の共通認識と言っていいと思います(私の解説は→こちら)。
先回、患者からの問い合わせで、最近の光線療法(とくにナローバンドUVB)について調べている過程で、10人の痒疹タイプの患者に左右でエキシマレーザー(UVB波長のレーザー、ナローバンドUVBの光を純化したものと考えてください。エネルギー値が同じなら、ナローバンドUVBと臨床的意義はほぼ同じ)と、ステロイド外用剤(デルモベート)とを使い分けて、改善具合を比較した論文を見つけました。
痒疹タイプのアトピー性皮膚炎は、ステロイド外用剤に抵抗性なことが多く(→こちらやこちら)、また、光線療法が有効な場合があることは、昔から知られていました。
また、痒疹タイプのアトピー性皮膚炎の多くは、ステロイド抵抗性であると同時に依存に陥っており、中止と共にリバウンドを生じ、その経過も長いことは、脱ステロイドに携わる医師の間の共通認識と言っていいと思います(私の解説は→こちら)。
先回、患者からの問い合わせで、最近の光線療法(とくにナローバンドUVB)について調べている過程で、10人の痒疹タイプの患者に左右でエキシマレーザー(UVB波長のレーザー、ナローバンドUVBの光を純化したものと考えてください。エネルギー値が同じなら、ナローバンドUVBと臨床的意義はほぼ同じ)と、ステロイド外用剤(デルモベート)とを使い分けて、改善具合を比較した論文を見つけました。
ELがエキシマレーザー側、CPがステロイド(デルモベート)側です。治療開始14週以降は、エキシマレーザーのほうがステロイドよりも有意に治療効果が高いです。
この論文におけるエキシマレーザーの照射エネルギー量はかなり強いです。全例でMEDを確認した後、1MEDから開始し、週二回照射、毎週1MEDずつ上げていくというやり方です。当然途中で、次回照射時にまだ赤みが退かない状況がでてきますが、そのときのみ照射エネルギーを下げます。
ハワイなどで強い紫外線を浴びて、日焼けで真っ赤になって水ぶくれができるほどになった後、一定期間アトピーが治まってしまった、という経験のある方いるでしょう。この論文の著者は、たぶん、その発想から、あえて強いエネルギー照射を、痒疹部位のみに限局して行い、効果を確認したということだと思います。最強光線療法と最強ステロイド外用剤のガチンコ対決ですね。
写真も出ていました。
この論文におけるエキシマレーザーの照射エネルギー量はかなり強いです。全例でMEDを確認した後、1MEDから開始し、週二回照射、毎週1MEDずつ上げていくというやり方です。当然途中で、次回照射時にまだ赤みが退かない状況がでてきますが、そのときのみ照射エネルギーを下げます。
ハワイなどで強い紫外線を浴びて、日焼けで真っ赤になって水ぶくれができるほどになった後、一定期間アトピーが治まってしまった、という経験のある方いるでしょう。この論文の著者は、たぶん、その発想から、あえて強いエネルギー照射を、痒疹部位のみに限局して行い、効果を確認したということだと思います。最強光線療法と最強ステロイド外用剤のガチンコ対決ですね。
写真も出ていました。
この例は、ほとんど痒疹のみというタイプですが、週数を重ねる毎に、エキシマレーザー照射範囲が茶色く日焼けし、中央部の痒疹が消退していく様子がよくわかります。
これは、VTRACといって、レーザーではないのですがエキシマランプを用いた光線治療器です。VTRACはナローバンドよりははるかに強い光量を短時間で照射できます。UVB治療の場合、レーザー(単一波長)にこだわる必然性はあまりなく、むしろ照射範囲や機械の価格を考えると、VTRACが現在本邦ではもっとも普及している機械だろうと考えられます。1回の照射面積は狭いですが(それでもレーザーよりは広い)、短時間で照射が終わるので、結果的に治療時間の短縮になります。
また、病医院で行われるナローバンドUVB治療の場合、一番の問題は、やけどなどの副作用ではなく、管球から離れて照射することによる、照射エネルギーの不足ではないか?と私は考えます。紫外線、とくにUVBのような短波長のものは、空気に吸収されて減衰しやすく(距離の二乗に反比例)、照射エネルギーを測定・記録しているところも少ないでしょう。それに比べると、先回紹介した、通販の小型器械や、VTRACなどは、皮膚に押し当てて使うので、照射量不足になりにくいです。
健康保険が使えるようで、3割負担で1050円、1割負担で350円のようです。それでも週二回の通院となると、なかなか時間的にも負担が厳しいかと思いますが、難治な痒疹タイプの方は、近場の皮膚科でやっているところを探して、受けてみてよいかもしれません。また、通販の小型器械でも、照射時間を延ばせば同じ結果が得られる理屈です。先回の計算(→こちら)によれば、家庭用小型器だと、1MED照射に60分くらいかかってしまいますが、これを週二回ということは、一日20分を毎日照射すればほぼ同じエネルギー量です(60×2÷7=17分)。効果が出るのに個人差はあるだろうから、有効なひとにはエネルギー量少なくても効果は出るだろうし、気長に続けるのもいいかもしれません。皮膚がんのリスクについては、ハワイに移住するよりははるかに少ないでしょう。リバウンドが心配な方はこちらの記事お読みください→「紫外線(UVB)療法ではなぜリバウンドが起きにくいか?」。
ところで、先回の記事で記したナローバンドUVBの管球ですが、オランダのPhilips社製のもののほかに、ドイツのWaldmann社製のものもあるようです。
それぞれの仕様が記されたサイトは、Philips→こちら、Waldmann→こちら。
Philips社製の直管型のものは、口金が通常の蛍光灯のG13ではなく、特殊な形になっているものが多いようです・・たぶん、普通の蛍光灯の傘につけることができると、1)器械本体が売れなくなる、2)間違って照明用に使われたら危ない、からなんでしょうね。
まだ製品は出ていないようですが、紫外線領域のLEDランプも開発中のようで、いずれ、LEDを用いた安価で管球が切れる心配のないナローバンド治療器も出るかもです。
追記:光線療法受けている人のために、換算表作ってみました。
また、病医院で行われるナローバンドUVB治療の場合、一番の問題は、やけどなどの副作用ではなく、管球から離れて照射することによる、照射エネルギーの不足ではないか?と私は考えます。紫外線、とくにUVBのような短波長のものは、空気に吸収されて減衰しやすく(距離の二乗に反比例)、照射エネルギーを測定・記録しているところも少ないでしょう。それに比べると、先回紹介した、通販の小型器械や、VTRACなどは、皮膚に押し当てて使うので、照射量不足になりにくいです。
健康保険が使えるようで、3割負担で1050円、1割負担で350円のようです。それでも週二回の通院となると、なかなか時間的にも負担が厳しいかと思いますが、難治な痒疹タイプの方は、近場の皮膚科でやっているところを探して、受けてみてよいかもしれません。また、通販の小型器械でも、照射時間を延ばせば同じ結果が得られる理屈です。先回の計算(→こちら)によれば、家庭用小型器だと、1MED照射に60分くらいかかってしまいますが、これを週二回ということは、一日20分を毎日照射すればほぼ同じエネルギー量です(60×2÷7=17分)。効果が出るのに個人差はあるだろうから、有効なひとにはエネルギー量少なくても効果は出るだろうし、気長に続けるのもいいかもしれません。皮膚がんのリスクについては、ハワイに移住するよりははるかに少ないでしょう。リバウンドが心配な方はこちらの記事お読みください→「紫外線(UVB)療法ではなぜリバウンドが起きにくいか?」。
ところで、先回の記事で記したナローバンドUVBの管球ですが、オランダのPhilips社製のもののほかに、ドイツのWaldmann社製のものもあるようです。
それぞれの仕様が記されたサイトは、Philips→こちら、Waldmann→こちら。
Philips社製の直管型のものは、口金が通常の蛍光灯のG13ではなく、特殊な形になっているものが多いようです・・たぶん、普通の蛍光灯の傘につけることができると、1)器械本体が売れなくなる、2)間違って照明用に使われたら危ない、からなんでしょうね。
まだ製品は出ていないようですが、紫外線領域のLEDランプも開発中のようで、いずれ、LEDを用いた安価で管球が切れる心配のないナローバンド治療器も出るかもです。
追記:光線療法受けている人のために、換算表作ってみました。
たとえば、照射時に、皮膚表面と同じ距離で測定して2.3W/m2であった場合、10分間治療(照射)を受けたときの照射量は0.138J/cm2です。これを週二回行えば、毎週0.138×2=0.276J/cm2で、4週間続ければ0.276×4=1.104J/cm2の総照射量です。どのくらいの照射量でどのくらいの効果があるかは個人差がありますが、照射量が少なくて効いていないのを「私にはUVBは効かない」と早合点したのでは勿体無いです。治療を受ける際には紫外線チェッカーを持参して治療毎の照射量を記録してみましょう。
2013.05.07
2013.05.07
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