飛行機内でなぜ皮膚は乾燥するのか
以前少し触れた(→こちら)「海辺の家族」のかたが、沖縄にアトピーの方が療養目的で滞在できる施設を再び作りたいと意欲的で、ちょっと興味もあったんで、急きょ現地に行ってみることにしました。その話はまた後日まとめますが、せっかく飛行機に乗ることだし、気象計(気圧計+温湿度計)と皮膚の水分チェッカーを持ち込んで、機内空気と皮膚水分量の関係を調べてみることにしました。3月17日に思い立って18日に飛行機予約して19日に日帰りで行って帰ってきた話なので、測定機器は18日の昼休みに東急ハンズで買い揃えたものです。やや不恰好ですが、なんとか結果出たので報告です。
気象計(気圧計+温湿度計)は下図のようなものです。
気象計(気圧計+温湿度計)は下図のようなものです。
本来は応接室にでも飾るためのものでおよそ携帯には向きませんが、これしか無かったので仕方が無い。左が気圧(hPa)で、右が温度と相対湿度です。
皮膚水分量は、化粧品コーナーで見つけた「バイオスキン」という製品。
皮膚水分量は、化粧品コーナーで見つけた「バイオスキン」という製品。
説明書は下記のようです。インジケーターは、乾燥・しっとり共に0-5ですが、紛らわしいので、左側の乾燥のほうの数字にはマイナスをつけて、右の数字と区別することにします。
下図は、機内の座席で実際に測っているところ。客室乗務員さんにお願いして撮ってもらいました。客室乗務員のかたが肌が荒れやすいのは有名な話です。カーテンの向こうでしょっちゅうシュッシュッとお顔に水分補給しているそうで、皆さん興味津々でした。
左においてあるのは、以前紹介したUVチェッカー(→こちら)。時刻表示モードがあるのでここでは時計として使っています。
下図は、ひざの上に箱をおいて、機器一式をそろえたところ。これを上からカメラで撮影して、あとで数値を読み取って表にまとめます。
下図は、ひざの上に箱をおいて、機器一式をそろえたところ。これを上からカメラで撮影して、あとで数値を読み取って表にまとめます。
気圧というのは高度が100m上昇すると約12hPa低くなります。機内の気圧はもちろん陽圧をかけて維持されているわけですが、実際にはそれでも上空では機内の気圧は地上よりも低いです。下図は離陸後時間とともに、機内の気圧が低下していく様子です。乗った飛行機は7:40名古屋発10:00那覇着です。7:37(搭乗後離陸前)に1012hPaであった機内の気圧は、8:00には947、8:01には934と、機体の上昇と共にどんどん低下していきます。
気圧が下がるということは空気が薄くなるということですから、皮膚水分量は失われます。高地では水の沸点は100℃よりも低いという話を聞いたことあるでしょう?同じ理屈です。皮膚の水分が気化しやすく空気中に奪われやすくなります。
相対湿度も8:00には38%あったものが、8:18には31%、9:34には18%と低下しています。皮膚が乾くはずです。
相対湿度も8:00には38%あったものが、8:18には31%、9:34には18%と低下しています。皮膚が乾くはずです。
さて、那覇からは車で1時間ほどです。宜野座にあるビーチはこんなところ。動画は→こちら。
ここでも機内と同じ機器で皮膚水分率を測定してみました。
機内ではずっとマイナス(乾燥を示す数字)だったのが、ようやく0とか1とかノーマルな皮膚水分率が出ました。
下はまとめた表です。飛行機は7:40名古屋発10:00那覇着です。ワセリンの保湿効果も確認するため、左腕は何も外用せず、右腕は搭乗前に一回だけワセリンを塗りました。やはりワセリンを塗っておくと、皮膚水分率低下の防止にはなりますね。もっとも、塗ることで、赤ちゃんや脱ステ後の皮膚が、外界の変動に応じた調節機能を獲得していく妨げになる可能性はありますが(→こちら)。
下はまとめた表です。飛行機は7:40名古屋発10:00那覇着です。ワセリンの保湿効果も確認するため、左腕は何も外用せず、右腕は搭乗前に一回だけワセリンを塗りました。やはりワセリンを塗っておくと、皮膚水分率低下の防止にはなりますね。もっとも、塗ることで、赤ちゃんや脱ステ後の皮膚が、外界の変動に応じた調節機能を獲得していく妨げになる可能性はありますが(→こちら)。
宜野座のビーチの35℃で湿度32%というのは、カラっとしてすごし易い感じです。「沖縄で滞在すると良くなる」という方は、こういう温湿度環境が皮膚によいのかもしれません。
念を押しておきますが、沖縄に行くと誰でも良くなるわけではないです。例えば、食事系のアレルギーで出るタイプの湿疹の方は、原因が環境温湿度にあるわけではないですから、そりゃあ沖縄に行ったからといってよくはならないでしょう。
また紫外線の影響もあるかもしれません。紫外線というのはアトピー性皮膚炎に対して抑制的に働きます。実際に紫外線チェッカーで測ってみると、
念を押しておきますが、沖縄に行くと誰でも良くなるわけではないです。例えば、食事系のアレルギーで出るタイプの湿疹の方は、原因が環境温湿度にあるわけではないですから、そりゃあ沖縄に行ったからといってよくはならないでしょう。
また紫外線の影響もあるかもしれません。紫外線というのはアトピー性皮膚炎に対して抑制的に働きます。実際に紫外線チェッカーで測ってみると、
UVAは22W/m2。名古屋の春先の紫外線量ですね。それほど強くはありません。私のクリニック、屋上に紫外線計を設置していてしょっちゅう数字を見ているので解ります。
「海辺の家族」の片山さんは、宜野座にあるコンドミニアムをアトピーの療養施設に出来ないか模索しています。この話については近日別のブログ記事としてまとめたいと思います。
私が作製した中間分子量ヒアルロン酸化粧水「ヒアルプロテクト」のショップはこちら(下の画像をクリック)