「ステロイドは悪魔の薬」というイメージは、竹原先生がアトピービジネス批判の過程で作り上げた。
金沢大学の竹原和彦先生が著した「アトピービジネス」という本があります。Amazonのサイト(→ここ)を見ると、「出版社/著者からの内容紹介」として、
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「ステロイド=悪魔の薬」──民間治療法という名の「ビジネス」がメディアと手を結んだ時、平凡な慢性皮膚炎は突如奇怪な難病と化した
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とあります。
竹原先生の、この「アトピービジネス」シリーズは、1998年の「アトピービジネス私論―皮膚科医による検証」に始まりますが、彼は、一貫して「ステロイド=悪魔の薬」というイメージが、民間療法によって広められた、と主張しています。
わたしは、はじめて、これを読んだとき、非常な違和感を覚えました。なぜなら、それまで、「ステロイド=悪魔の薬」と言っていた「アトピービジネス」を、私は知らなかったからです。
「ステロイドは両刃の剣」という言葉はありました。しかし、「ステロイド=悪魔の薬」というフレーズには、私は、竹原先生の著書で初めて遭遇しました。
私が、アトピー性皮膚炎の民間療法に、疎かったわけではありません。その証拠に、1996年の「正論」という月刊誌に私が記した記事をpdfにして、リンクしておきます。
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「ステロイド=悪魔の薬」──民間治療法という名の「ビジネス」がメディアと手を結んだ時、平凡な慢性皮膚炎は突如奇怪な難病と化した
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とあります。
竹原先生の、この「アトピービジネス」シリーズは、1998年の「アトピービジネス私論―皮膚科医による検証」に始まりますが、彼は、一貫して「ステロイド=悪魔の薬」というイメージが、民間療法によって広められた、と主張しています。
わたしは、はじめて、これを読んだとき、非常な違和感を覚えました。なぜなら、それまで、「ステロイド=悪魔の薬」と言っていた「アトピービジネス」を、私は知らなかったからです。
「ステロイドは両刃の剣」という言葉はありました。しかし、「ステロイド=悪魔の薬」というフレーズには、私は、竹原先生の著書で初めて遭遇しました。
私が、アトピー性皮膚炎の民間療法に、疎かったわけではありません。その証拠に、1996年の「正論」という月刊誌に私が記した記事をpdfにして、リンクしておきます。
(画像または→ここをクリック)
わたしは、いわゆる民間療法の類の情報収集には熱心でした。患者とのコミュニケーションのために患者よりも詳しく知っておく必要があったし、また、ほとんどは役に立たないものであっても、その中には、何か新しい治療のヒントになる考えがあるかもしれない、とくにアトピー性皮膚炎のような患者数も多く原因不明で、医者の手に余るような疾患においては、民間療法といえど、まったく無視するべきではないと考え、「正論」の記事に記したような問い合わせを繰り返していたからです。
ですから、民間療法のひとたちが、どのようなことを言っていたのか、については、少なくとも1996年の時点では、竹原先生よりは詳しかったはずです。
そういう私が、「ステロイド=悪魔の薬」と、民間療法が形容しているのを見たことが無かったのです。竹原先生の著書で初めてこのフレーズに遭遇しました。
わたしは、これも結局、竹原先生の頭の中での「論理の飛躍」あるいは、妄想の類ではなかったか?と思います。先日紹介した1996年の玉置先生の講演内容について「全部の患者さんに使うべきでないというような論理の飛躍がある」とか、「マスコミ等で先生のご意見が紹介されるときには、ステロイドを絶対に使ってはいけないという根拠とされることがある」と、発言しているように、です。実際には、玉置先生の講演内容は、全例ステロイドを使うべきではない」というものではないし、マスコミが「ステロイドを絶対に使ってはいけない」などと報道した記録はひとつも残っていません。
ひょっとしたら、わたしの知らない民間療法が、「ステロイド=悪魔の薬」と強く宣伝していた事実があって、竹原先生がそれを知っていたのかもしれません。しかし、仮にそうだったとしても、それは稀な例であり、一般的には、少なくとも1996年当時までのほとんどの民間療法は、そのようなことを言ってはいませんでした。
2011年の現在、「ステロイド」「悪魔の薬」で検索すると、実に多くのサイトがヒットします。このイメージは、実は、竹原先生ご自身が作り上げ、広めたものだろうと、私は考えます。
なんだか、風車をドラゴンに見立てて挑んだドン・キホーテのようです。ドン・キホーテとの違いは、存在しない敵と戦って見せるパフォーマンスによって、竹原先生は多くの患者や一般のひとを煙に巻くことに成功した、という点でしょうか。
2011.11.02
わたしは、いわゆる民間療法の類の情報収集には熱心でした。患者とのコミュニケーションのために患者よりも詳しく知っておく必要があったし、また、ほとんどは役に立たないものであっても、その中には、何か新しい治療のヒントになる考えがあるかもしれない、とくにアトピー性皮膚炎のような患者数も多く原因不明で、医者の手に余るような疾患においては、民間療法といえど、まったく無視するべきではないと考え、「正論」の記事に記したような問い合わせを繰り返していたからです。
ですから、民間療法のひとたちが、どのようなことを言っていたのか、については、少なくとも1996年の時点では、竹原先生よりは詳しかったはずです。
そういう私が、「ステロイド=悪魔の薬」と、民間療法が形容しているのを見たことが無かったのです。竹原先生の著書で初めてこのフレーズに遭遇しました。
わたしは、これも結局、竹原先生の頭の中での「論理の飛躍」あるいは、妄想の類ではなかったか?と思います。先日紹介した1996年の玉置先生の講演内容について「全部の患者さんに使うべきでないというような論理の飛躍がある」とか、「マスコミ等で先生のご意見が紹介されるときには、ステロイドを絶対に使ってはいけないという根拠とされることがある」と、発言しているように、です。実際には、玉置先生の講演内容は、全例ステロイドを使うべきではない」というものではないし、マスコミが「ステロイドを絶対に使ってはいけない」などと報道した記録はひとつも残っていません。
ひょっとしたら、わたしの知らない民間療法が、「ステロイド=悪魔の薬」と強く宣伝していた事実があって、竹原先生がそれを知っていたのかもしれません。しかし、仮にそうだったとしても、それは稀な例であり、一般的には、少なくとも1996年当時までのほとんどの民間療法は、そのようなことを言ってはいませんでした。
2011年の現在、「ステロイド」「悪魔の薬」で検索すると、実に多くのサイトがヒットします。このイメージは、実は、竹原先生ご自身が作り上げ、広めたものだろうと、私は考えます。
なんだか、風車をドラゴンに見立てて挑んだドン・キホーテのようです。ドン・キホーテとの違いは、存在しない敵と戦って見せるパフォーマンスによって、竹原先生は多くの患者や一般のひとを煙に巻くことに成功した、という点でしょうか。
2011.11.02