「脱ステロイドは皮膚科の良心」+ケース4の続報
「脱ステロイドは皮膚科の良心」というのは、昔、脱ステに理解のある皮膚科の先生が開業するときに、私が色紙に書いて進呈した言葉です。私自身は診療から離れましたが、今もこの考えは変わっていません。
コメント欄を通じて「2ちゃんねるで深谷先生は昔はステロイド絶対反対だったが、最近ステロイド一部容認にシフトしてきたと評されています。もし本当にそうならその理由を教えていただけませんか?」という質問がありました。その方は、下記の書き込みを引用されていました。
コメント欄を通じて「2ちゃんねるで深谷先生は昔はステロイド絶対反対だったが、最近ステロイド一部容認にシフトしてきたと評されています。もし本当にそうならその理由を教えていただけませんか?」という質問がありました。その方は、下記の書き込みを引用されていました。
わたしは、昔から「ステロイド絶対反対」ではありません。一応根拠を示しておきます。下記は、1999年の私の一般向け書籍「ステロイド依存」のp21-22です。
「・・・ここから先はステロイドは絶対使ってはいけないわけではないが、なるべくは頼らず、人それぞれに異なる悪化要因排除に努めて、時にはライフスタイルを大きく見直し、「自然治癒」に向かうような環境設定を心がける必要がある。そもそも、本来アトピー性皮膚炎は自然治癒傾向のある疾患なのだから。」
ですから、私の考えは当時とまったくぶれていません。 そもそも「嘘」や「偽善」が非常に嫌いな人間です。「こっそりステ支持にシフトする」などということは決してしないし、私の子供はアトピーではありませんが、「自分の子(がもしアトピーであったら)にステ塗らない」のはその通りです。ステ使わなければ少なくとも依存にはなりませんからね。それに、医学的証明はされていないですが、ステロイド外用剤が広く使われるようになって以降、アトピー性皮膚炎が難治化し成人例が増加したという状況的不安要素があります。「死んでも」と書いたことはありません。なぜならステ塗らなくて死ぬことはないからです。
「俺は正しいんだと自分に言い聞かせ」ってのは、無い無い。私はすごくドライで合理的な性格です。間違ってたら素直に認めます。だから依存例の存在に気がついた後、脱ステを自分の診療方針に取り入れるのも早かった。
私のキャラを手っ取り早く理解するには、たぶん、私の脳はアメリカ人だと思うのがいいでしょう。実際、わたしは、英語で話しているときのほうが、自分の考えを伝えやすい。わたしの英語力は非常にお粗末でたどたどしい限りですが、それでも脳は英語で話すときのほうが楽です。日本的な、じめじめした遠慮や意地のようなものを一切排除して話せるからです。その辺が風変わりに見えるかもですが、ただただ合理的なだけです。
「良心の呵責」云々については、表題の通りです。なぜ多くの皮膚科医たちが、ステロイド依存症患者を作り上げ、かつ眼をそむけることによって「良心の呵責」を感じないのか、不思議だし、ある意味恐怖ですらあります。恐怖と言うのは、性悪説を彷彿させるからです。
「自分の判断ミスで多くのアトピー患者を地獄に叩き込んだ」という事実は無いです。それどころか、相当数の患者を現実に救ってきたし、今もこのブログを、字句通り、日本語として丁寧に正しく読んでいる患者は、救われているはずです。てか、このレベルの誹謗になると名誉毀損ものですね、実際。
まあ、そんなとこです。2ちゃんねるは匿名掲示板で信びょう性は乏しい、という点は皆さんご承知かとは思いますが、一応誤解を招かないよう反論しておきます。
「脱ステロイドは皮膚科の良心」です。すべての皮膚科医はステロイド外用剤の依存性にもっと眼を向け、警告し、依存に陥った患者を前にしたときには、脱ステロイドに向けて知恵を絞って手を貸すべきです。これは、ステロイド外用剤の全否定ということではありません。お酒を飲んだ人全てがアルコール依存になるわけではないし、タバコを吸う人全てが肺癌になるわけではないのと同じです。医者はお酒やタバコを売るのではなくアルコール依存や肺癌患者を救うのが仕事だってことです。
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さて、先回記したクロフィブラート無効でアイピーディ軟膏有効であったケース4の方のその後です。
アイピーディ軟膏試用前
ですから、私の考えは当時とまったくぶれていません。 そもそも「嘘」や「偽善」が非常に嫌いな人間です。「こっそりステ支持にシフトする」などということは決してしないし、私の子供はアトピーではありませんが、「自分の子(がもしアトピーであったら)にステ塗らない」のはその通りです。ステ使わなければ少なくとも依存にはなりませんからね。それに、医学的証明はされていないですが、ステロイド外用剤が広く使われるようになって以降、アトピー性皮膚炎が難治化し成人例が増加したという状況的不安要素があります。「死んでも」と書いたことはありません。なぜならステ塗らなくて死ぬことはないからです。
「俺は正しいんだと自分に言い聞かせ」ってのは、無い無い。私はすごくドライで合理的な性格です。間違ってたら素直に認めます。だから依存例の存在に気がついた後、脱ステを自分の診療方針に取り入れるのも早かった。
私のキャラを手っ取り早く理解するには、たぶん、私の脳はアメリカ人だと思うのがいいでしょう。実際、わたしは、英語で話しているときのほうが、自分の考えを伝えやすい。わたしの英語力は非常にお粗末でたどたどしい限りですが、それでも脳は英語で話すときのほうが楽です。日本的な、じめじめした遠慮や意地のようなものを一切排除して話せるからです。その辺が風変わりに見えるかもですが、ただただ合理的なだけです。
「良心の呵責」云々については、表題の通りです。なぜ多くの皮膚科医たちが、ステロイド依存症患者を作り上げ、かつ眼をそむけることによって「良心の呵責」を感じないのか、不思議だし、ある意味恐怖ですらあります。恐怖と言うのは、性悪説を彷彿させるからです。
「自分の判断ミスで多くのアトピー患者を地獄に叩き込んだ」という事実は無いです。それどころか、相当数の患者を現実に救ってきたし、今もこのブログを、字句通り、日本語として丁寧に正しく読んでいる患者は、救われているはずです。てか、このレベルの誹謗になると名誉毀損ものですね、実際。
まあ、そんなとこです。2ちゃんねるは匿名掲示板で信びょう性は乏しい、という点は皆さんご承知かとは思いますが、一応誤解を招かないよう反論しておきます。
「脱ステロイドは皮膚科の良心」です。すべての皮膚科医はステロイド外用剤の依存性にもっと眼を向け、警告し、依存に陥った患者を前にしたときには、脱ステロイドに向けて知恵を絞って手を貸すべきです。これは、ステロイド外用剤の全否定ということではありません。お酒を飲んだ人全てがアルコール依存になるわけではないし、タバコを吸う人全てが肺癌になるわけではないのと同じです。医者はお酒やタバコを売るのではなくアルコール依存や肺癌患者を救うのが仕事だってことです。
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さて、先回記したクロフィブラート無効でアイピーディ軟膏有効であったケース4の方のその後です。
アイピーディ軟膏試用前
2週間後(改善したところ)
4週間後
腕は下写真のようです。 アイピーディ軟膏試用前
2週間後(改善したところ)
4週間後
2週間目時点では著効を奏し、このまま一気によくなってくれるか?と思ったのですが、4週間目では、歩留まりのようです。
「よくなったら一度アイピーディ軟膏を中止して、再燃までの日数を確認してみよう」と思ったのですが、歩留まりとなり、ここで中止するのもちょっとためらわれるので、アイピーディ軟膏は続行して、エパディール軟膏(EPA軟膏→こちら)を併用開始してもらいました。年内にもう一度来てもらって、併用効果を確認します。
なお、以前にも記しましたが、この方は依存には陥っていない「古典的アトピー性皮膚炎」です。肘膝に強いという皮疹の分布から判断容易です。
この方には、「あなたは依存・リバウンド例ではないから、ステロイド外用剤で抑えるという選択肢もある」ということは、当たり前ですが、お伝えしています。
しかし、彼は彼自身の判断で、ステロイド忌避を現在は選択しています。QOLがどーたらこーたらと他人がいうのは、大きなお世話で、それは彼自身が決めることです。
普通に会社勤めして、その上で遠方毎回時間をかけて、なかなか(彼の場合は)うまくいかない私の実験的治療に付き合って下さっていますが、それは彼自身の価値判断です。私を含めほかの人がとやかく言うことではありません。
以上のような私の診療スタイルは、昔から変わっていません。脱ステロイドに関して「良心の呵責」を感じたことなど、ただの一度もこれまでにありません。
誇りとも思っていません。だって、普通に考えて当たり前のことだからです。
2012.12.05
「よくなったら一度アイピーディ軟膏を中止して、再燃までの日数を確認してみよう」と思ったのですが、歩留まりとなり、ここで中止するのもちょっとためらわれるので、アイピーディ軟膏は続行して、エパディール軟膏(EPA軟膏→こちら)を併用開始してもらいました。年内にもう一度来てもらって、併用効果を確認します。
なお、以前にも記しましたが、この方は依存には陥っていない「古典的アトピー性皮膚炎」です。肘膝に強いという皮疹の分布から判断容易です。
この方には、「あなたは依存・リバウンド例ではないから、ステロイド外用剤で抑えるという選択肢もある」ということは、当たり前ですが、お伝えしています。
しかし、彼は彼自身の判断で、ステロイド忌避を現在は選択しています。QOLがどーたらこーたらと他人がいうのは、大きなお世話で、それは彼自身が決めることです。
普通に会社勤めして、その上で遠方毎回時間をかけて、なかなか(彼の場合は)うまくいかない私の実験的治療に付き合って下さっていますが、それは彼自身の価値判断です。私を含めほかの人がとやかく言うことではありません。
以上のような私の診療スタイルは、昔から変わっていません。脱ステロイドに関して「良心の呵責」を感じたことなど、ただの一度もこれまでにありません。
誇りとも思っていません。だって、普通に考えて当たり前のことだからです。
2012.12.05