アトピービジネス「日本オムバス」の台頭
先回、1)1988年ころには、皮膚科の外来で、それまでの教科書的な皮疹とは異なる成人アトピー性皮膚炎が増えてきていたこと、2)1991年のテレビ番組では、まだ、アトピーと言えば子供の病気で食事療法についての報道が中心であったこと、を示しました(→こちら)。
それでは、現在問題となっているような、全身性のステロイド皮膚症や、離脱・リバウンドを引き起こすケースは、この頃には、まだ無かったのか?というとそうではありません。
それでは、現在問題となっているような、全身性のステロイド皮膚症や、離脱・リバウンドを引き起こすケースは、この頃には、まだ無かったのか?というとそうではありません。
これは、日本オムバスの小川秀夫氏が、1990年に著した本ですが、この本には、すでに、
ーーーーー(ここから引用)-----
自宅温泉湯治開始に当たっては、薬の強弱にかかわらず、ステロイド使用者は、そのステロイドを完全に断ち切ってもらう事になりますが、今までその薬で抑えられていた症状が一気に表面に出てくるため、離脱症状は激しく現れ、瞑眩現象も重なり、大変つらい状態になります。しかし、そこで根負けして、ステロイドを塗ったり、入浴をやめてしまうと、ふたたび元の状態に戻ってしまうことになります。
その離脱症状と瞑眩現象は、二週間から一ヶ月くらい、人によっては二ヶ月間くらい続くこともあります。
ーーーーー(ここまで引用)-----
と依存→リバウンドらしき記述があり、写真での例示があります。
ーーーーー(ここから引用)-----
自宅温泉湯治開始に当たっては、薬の強弱にかかわらず、ステロイド使用者は、そのステロイドを完全に断ち切ってもらう事になりますが、今までその薬で抑えられていた症状が一気に表面に出てくるため、離脱症状は激しく現れ、瞑眩現象も重なり、大変つらい状態になります。しかし、そこで根負けして、ステロイドを塗ったり、入浴をやめてしまうと、ふたたび元の状態に戻ってしまうことになります。
その離脱症状と瞑眩現象は、二週間から一ヶ月くらい、人によっては二ヶ月間くらい続くこともあります。
ーーーーー(ここまで引用)-----
と依存→リバウンドらしき記述があり、写真での例示があります。
写真右は、典型的なリバウンド(離脱疹)です。紅斑が全身に拡大し、最終的に手甲・足背でくっきりと境界を記すように止まります。手掌・足底には至りません。古典的な成人アトピー性皮膚炎の皮疹としては考えにくいものです。湯治後、すなわちステロイド離脱後60日の写真ですが、90日目には早くも左の写真のように回復してきています。比較的軽度で単純な「脱ステロイド」と言えます。
私にも覚えがありますが、治療の初めの頃に、こういう典型かつ軽度の症例に当たると、その後の治療に自信が付きます。
小川氏は医師でも何でもないし、お会いしたこともありませんが、彼の炯眼というか、正しかったところは、これを「温泉の効能」ではなく、それに先立つステロイド外用剤の副作用であるのだろう、と考え、そう著書に記したことだと思います。もっとも、それが後年「ステロイドを悪魔の薬に仕立て上げた」と、竹原先生らに非難されることにつながるのですが。
その後1992年11月第一刷の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」
私にも覚えがありますが、治療の初めの頃に、こういう典型かつ軽度の症例に当たると、その後の治療に自信が付きます。
小川氏は医師でも何でもないし、お会いしたこともありませんが、彼の炯眼というか、正しかったところは、これを「温泉の効能」ではなく、それに先立つステロイド外用剤の副作用であるのだろう、と考え、そう著書に記したことだと思います。もっとも、それが後年「ステロイドを悪魔の薬に仕立て上げた」と、竹原先生らに非難されることにつながるのですが。
その後1992年11月第一刷の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」
には、この年放映された久米弘のニュースステーションの番組についての裏話のようなことが記されています。
ーーーーー(ここから引用)-----
この番組が放映される1カ月前のある日、ニュースステーション製作担当から、「現在、企画中の段階なのだが資料を提供してもらえないだろうか」という依頼と取材の申込みがあった。ステロイドに対する問題が表面化してきているので、ぜひ、取り上げたいのだが、病院に行っても、アトピー性皮膚炎患者の実態、ステロイドの副作用に関する資料は提供してもらえず、ましてや製薬会社はもちろんの事、そのような資料は外部に出さない。また、厚生省にもそれらの資料はない。
結局は、そのような状況のために資料が集められないというのである。そこで、私の著書を見ての申し出であった。今までの番組のように、そのような副作用の事例は出しても、結局最後には、医者が登場して、「上手に使えば問題はない」というのであれば、お断りするつもりであった。しかし、番組の趣旨は、客観的にステロイドとアトピー性皮膚炎を捉えていくという構成であったため、写真等資料の提供を行ったのである。」
ーーーーー(ここまで引用)-----
実は、後年、この個所を読んだ私は、それならば、日本オムバスに、この番組の特集部分の録画ビデオが残っているだろうと考えて、お貸しいただけないかと問い合わせたことがあります。しかし、日本オムバスにも、残念ながら番組の録画は残っていませんでした。
1992年7月のニュースステーション報道の後、1992年11月に、日本オムバスは、上記の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」を出版します。・・この流れからは、テレビ朝日のプロデューサーまたはディレクター、あるいは、下請けの番組制作会社が、日本オムバスと通じていて、意図的に温泉宅配会社のビジネスのために仕掛けたのではないか?だから11月に本も出版されたのではないか?と、疑うことも出来ます。実際に私は、他のアトピービジネス関連の健康食品で、そのような流れ・意図での番組作成がなされた実例を知っています。おそらく金沢大の竹原先生も、そう推測したのでしょう。
しかし、このときのニュースステーションの番組が、そのような意図のもとに作られたとは、どうも考えにくいです。なぜなら、もし日本オムバスが、自分のビジネスのために、番組関係者と共謀して作成した番組であれば、宅配温泉水の効能などが、もっと強調されてもよいからです。
ここを確認したくて、昔から、何とかのこの番組を入手して内容を確認したいと思っているのですが、残念ながら、まだ見つかっていません。
今のところ私は、番組関係者が、街の本屋で1990年出版のの小川氏の著書をたまたま見たか、その本に登場するようなステロイド離脱成功例の患者が身近にいて、番組を制作したというだけの経緯ではなかったか?と推測しています。
「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」は、1992年の版のサブタイトルが「1700人の症例が示す温泉療法の実績」ですが
1994年の版のサブタイトルは、「ステロイド禍から救われた自然治癒3500人の証言」
ーーーーー(ここから引用)-----
この番組が放映される1カ月前のある日、ニュースステーション製作担当から、「現在、企画中の段階なのだが資料を提供してもらえないだろうか」という依頼と取材の申込みがあった。ステロイドに対する問題が表面化してきているので、ぜひ、取り上げたいのだが、病院に行っても、アトピー性皮膚炎患者の実態、ステロイドの副作用に関する資料は提供してもらえず、ましてや製薬会社はもちろんの事、そのような資料は外部に出さない。また、厚生省にもそれらの資料はない。
結局は、そのような状況のために資料が集められないというのである。そこで、私の著書を見ての申し出であった。今までの番組のように、そのような副作用の事例は出しても、結局最後には、医者が登場して、「上手に使えば問題はない」というのであれば、お断りするつもりであった。しかし、番組の趣旨は、客観的にステロイドとアトピー性皮膚炎を捉えていくという構成であったため、写真等資料の提供を行ったのである。」
ーーーーー(ここまで引用)-----
実は、後年、この個所を読んだ私は、それならば、日本オムバスに、この番組の特集部分の録画ビデオが残っているだろうと考えて、お貸しいただけないかと問い合わせたことがあります。しかし、日本オムバスにも、残念ながら番組の録画は残っていませんでした。
1992年7月のニュースステーション報道の後、1992年11月に、日本オムバスは、上記の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」を出版します。・・この流れからは、テレビ朝日のプロデューサーまたはディレクター、あるいは、下請けの番組制作会社が、日本オムバスと通じていて、意図的に温泉宅配会社のビジネスのために仕掛けたのではないか?だから11月に本も出版されたのではないか?と、疑うことも出来ます。実際に私は、他のアトピービジネス関連の健康食品で、そのような流れ・意図での番組作成がなされた実例を知っています。おそらく金沢大の竹原先生も、そう推測したのでしょう。
しかし、このときのニュースステーションの番組が、そのような意図のもとに作られたとは、どうも考えにくいです。なぜなら、もし日本オムバスが、自分のビジネスのために、番組関係者と共謀して作成した番組であれば、宅配温泉水の効能などが、もっと強調されてもよいからです。
ここを確認したくて、昔から、何とかのこの番組を入手して内容を確認したいと思っているのですが、残念ながら、まだ見つかっていません。
今のところ私は、番組関係者が、街の本屋で1990年出版のの小川氏の著書をたまたま見たか、その本に登場するようなステロイド離脱成功例の患者が身近にいて、番組を制作したというだけの経緯ではなかったか?と推測しています。
「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」は、1992年の版のサブタイトルが「1700人の症例が示す温泉療法の実績」ですが
1994年の版のサブタイトルは、「ステロイド禍から救われた自然治癒3500人の証言」
で、97年の版のサブタイトルは「8000人が体験した自然療法の実績」です。
2000年の「「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本2」のサブタイトルは「50000人のデータが示す克服の条件」となります。
オムバスの温泉宅配にかかる費用は、だいたい一年で200万円弱であったはずですから、単純計算すると、200万×50,000=10,000,000万=1千億円の売上です。約10年間で割ると年商100億円、原価は、温泉水ですから、利益率はずいぶんと高いことでしょう。これらは、すべて、アトピー患者および家族の「治したい」という気持ちとの引き換えでした。弱者の立場につけこんだ、おいしいビジネスであったとは言えます。
しかし、私は、この小川秀夫氏および日本オムバスという会社に対して、悪徳アトピービジネス業者、というレッテルを貼ることがどうしてもできません。小川氏は一貫して、アトピー性皮膚炎はステロイド皮膚症を伴っていることが多いとして、ステロイド薬害を訴えています(「薬害」という語は1992年の版から登場します)。
もし、小川氏のいう薬害が存在しなかったなら、これは本当にインチキ商法ですが、薬害は存在しました。宅配温泉水での湯治は、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアの一つの手法として、間違っているとは言えません。一年200万円弱という出費は、患者や家族にとっては厳しいでしょうが、電話でのカウンセリングや精神的サポートの対価として、含めて考えたとき、犯罪的に高額だ、とも言い切れないです。
言いかえると、日本オムバスの問題点は、純粋に消費者問題、金銭に関わる民事的問題です。商品そのものに問題があるというよりも、「ちょっとぼったくってはいませんか?」ということです。
以前紹介した(→こちら)、「正論」1996年9月号に私が執筆した文章の一部を引用します。基本的にこの見解は、今もまったく変わっていません。
ーーーーー(ここから引用)-----
日本オムバスという温泉の宅配による治療を勧めていることで、我々アトピーに関わっている医師の間では有名な会社がある。経営者の小川秀夫という人はステロイドの使い過ぎ・頼り過ぎによる副作用に早くから気付き警告してきた一人で、その意味では尊敬に値すると私は思う。しかし日本オムバス自体は我々皮膚科医の間では必ずしも評判は良くない。それは脱ステロイド療法がいけないということではなく、温泉宅配にかかる費用が高い点にある。
前述したように温泉治療自体は、スキンケアの一法として正しく指導されれば決して悪いことではない。皮膚病の治療としては歴史が古い。大正時代の皮膚科雑誌に既にその効用についての論文がある。
スキンケアはアトピーの基本であるので、継続して延々と続ける必要がある。そのうちに体内の自然治癒機転が働いて(アトピーは元々自然治癒傾向を持った病気である)治るのを待とうということなので、如何に安価に無理なく行うかは大きなポイントである。大手化粧品会社もこぞってアトピー用のスキンケア製品を販売する傾向にあるが、どうしても高価になる。スキンケア関係については(期待される効果)/(費用)を常に念頭に置いて考えなければならない。
ーーーーー(ここまで引用)-----
「『ステロイドは悪魔の薬』というイメージは、竹原先生がアトピービジネス批判の過程で作り上げた。」という記事を以前書きましたが、これをUPするに当たって、念のために小川秀夫氏の著書に一通り目を通しました。日本オムバスは、脱ステ系のアトピービジネスの典型で、規模も最大であったからです。「魔」薬という表現はありましたが、「悪魔」という語は使われていませんでした。「悪」がつくかどうかは、大きな違いです。
もっとも、このような話もあります。日本オムバスは、付属の診療所を経営していて、そこに勤務していた医師から直接聞いたのですが、彼は、温泉水が本当に有効なのか確認するために、温泉水と普通の水道水とをdouble-blindで一定数の患者に振り分けて使用させて、回復効果に有意差があるかどうかを確認してみよう、と小川氏に提案したのだそうです。あっさり断られました。
それはそうでしょう、もし、効果に有意差が出なければ、ビジネスそのものに存在意義が無くなり、オムバスには何のメリットもありません。そういう利益追求の割り切った面もあります。
小川氏は2000年の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本2」の後書きで、
ーーーーー(ここから引用)-----
本書においては、現在のアトピー性皮膚炎に対する医学界の治療の是非および、それを取り巻く環境(マスコミ等)の是非について述べてきた。しかし、現在の医学界及びマスコミと全面的な対決をするために本書を出版したわけではない。
私もマスコミや現在のステロイド剤に重点を置く医師達と対決したいのではなく、本当ならば逆に手を結んで、患者の実態と意見を十分に聞き入れながら、ケースバイケースによる治療法の確立ができる事、そして患者側に、より選択肢が増えることが、患者の本来望むべき治療につながるものと信じている
-----(ここまで引用)-----
と記しています。竹原先生が、アトピービジネス批判をマスコミに積極的にリリースしていた頃です。この後、小川氏は、アトピー関係の著作を止めたようで、「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」は、現在は絶版です。日本オムバスの温泉宅配事業はまだ続いていますし、小川氏は最近では、がん患者に対して湯治を勧める本を出版しています。こちらのほうが叩かれにくくて無難だと考えたのでしょう。もともと薬害を訴える市民団体でもない、一温泉宅配事業者に過ぎないのですから、あまりに叩かれすぎて事業としてやりにくい、リスクが高いとなれば、方向を変えるのは当たり前です。
私は、小川氏は、たまたま気がついたステロイド皮膚症という薬害を、世間に訴えるべきだと考えた点において、やや潔癖なところのある一企業家だと思います。恥ずべきは、そのような民間療法者からの指摘を受けながらも、なお、ステロイド依存・薬害に気がつかずに、あるいは気がつかない振りをし続けて、日本の若手皮膚科医に対する情報操作を続けている、金沢大の竹原先生たち一部の皮膚科学会上層部でしょう。
2011.11.09
しかし、私は、この小川秀夫氏および日本オムバスという会社に対して、悪徳アトピービジネス業者、というレッテルを貼ることがどうしてもできません。小川氏は一貫して、アトピー性皮膚炎はステロイド皮膚症を伴っていることが多いとして、ステロイド薬害を訴えています(「薬害」という語は1992年の版から登場します)。
もし、小川氏のいう薬害が存在しなかったなら、これは本当にインチキ商法ですが、薬害は存在しました。宅配温泉水での湯治は、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアの一つの手法として、間違っているとは言えません。一年200万円弱という出費は、患者や家族にとっては厳しいでしょうが、電話でのカウンセリングや精神的サポートの対価として、含めて考えたとき、犯罪的に高額だ、とも言い切れないです。
言いかえると、日本オムバスの問題点は、純粋に消費者問題、金銭に関わる民事的問題です。商品そのものに問題があるというよりも、「ちょっとぼったくってはいませんか?」ということです。
以前紹介した(→こちら)、「正論」1996年9月号に私が執筆した文章の一部を引用します。基本的にこの見解は、今もまったく変わっていません。
ーーーーー(ここから引用)-----
日本オムバスという温泉の宅配による治療を勧めていることで、我々アトピーに関わっている医師の間では有名な会社がある。経営者の小川秀夫という人はステロイドの使い過ぎ・頼り過ぎによる副作用に早くから気付き警告してきた一人で、その意味では尊敬に値すると私は思う。しかし日本オムバス自体は我々皮膚科医の間では必ずしも評判は良くない。それは脱ステロイド療法がいけないということではなく、温泉宅配にかかる費用が高い点にある。
前述したように温泉治療自体は、スキンケアの一法として正しく指導されれば決して悪いことではない。皮膚病の治療としては歴史が古い。大正時代の皮膚科雑誌に既にその効用についての論文がある。
スキンケアはアトピーの基本であるので、継続して延々と続ける必要がある。そのうちに体内の自然治癒機転が働いて(アトピーは元々自然治癒傾向を持った病気である)治るのを待とうということなので、如何に安価に無理なく行うかは大きなポイントである。大手化粧品会社もこぞってアトピー用のスキンケア製品を販売する傾向にあるが、どうしても高価になる。スキンケア関係については(期待される効果)/(費用)を常に念頭に置いて考えなければならない。
ーーーーー(ここまで引用)-----
「『ステロイドは悪魔の薬』というイメージは、竹原先生がアトピービジネス批判の過程で作り上げた。」という記事を以前書きましたが、これをUPするに当たって、念のために小川秀夫氏の著書に一通り目を通しました。日本オムバスは、脱ステ系のアトピービジネスの典型で、規模も最大であったからです。「魔」薬という表現はありましたが、「悪魔」という語は使われていませんでした。「悪」がつくかどうかは、大きな違いです。
もっとも、このような話もあります。日本オムバスは、付属の診療所を経営していて、そこに勤務していた医師から直接聞いたのですが、彼は、温泉水が本当に有効なのか確認するために、温泉水と普通の水道水とをdouble-blindで一定数の患者に振り分けて使用させて、回復効果に有意差があるかどうかを確認してみよう、と小川氏に提案したのだそうです。あっさり断られました。
それはそうでしょう、もし、効果に有意差が出なければ、ビジネスそのものに存在意義が無くなり、オムバスには何のメリットもありません。そういう利益追求の割り切った面もあります。
小川氏は2000年の「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本2」の後書きで、
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本書においては、現在のアトピー性皮膚炎に対する医学界の治療の是非および、それを取り巻く環境(マスコミ等)の是非について述べてきた。しかし、現在の医学界及びマスコミと全面的な対決をするために本書を出版したわけではない。
私もマスコミや現在のステロイド剤に重点を置く医師達と対決したいのではなく、本当ならば逆に手を結んで、患者の実態と意見を十分に聞き入れながら、ケースバイケースによる治療法の確立ができる事、そして患者側に、より選択肢が増えることが、患者の本来望むべき治療につながるものと信じている
-----(ここまで引用)-----
と記しています。竹原先生が、アトピービジネス批判をマスコミに積極的にリリースしていた頃です。この後、小川氏は、アトピー関係の著作を止めたようで、「アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本」は、現在は絶版です。日本オムバスの温泉宅配事業はまだ続いていますし、小川氏は最近では、がん患者に対して湯治を勧める本を出版しています。こちらのほうが叩かれにくくて無難だと考えたのでしょう。もともと薬害を訴える市民団体でもない、一温泉宅配事業者に過ぎないのですから、あまりに叩かれすぎて事業としてやりにくい、リスクが高いとなれば、方向を変えるのは当たり前です。
私は、小川氏は、たまたま気がついたステロイド皮膚症という薬害を、世間に訴えるべきだと考えた点において、やや潔癖なところのある一企業家だと思います。恥ずべきは、そのような民間療法者からの指摘を受けながらも、なお、ステロイド依存・薬害に気がつかずに、あるいは気がつかない振りをし続けて、日本の若手皮膚科医に対する情報操作を続けている、金沢大の竹原先生たち一部の皮膚科学会上層部でしょう。
2011.11.09