アトピー性皮膚炎のステロイド外用剤離脱
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AVANDIA(ロシグリタゾン, PPARγリガンド)軟膏の作り方

 Avandia(rosiglitazone)は糖尿病の内服薬として製剤化されていますが、日本では未発売なので、海外から個人輸入で入手する必要があります。私は、香港の知人医師にお願いして送ってもらいました。ちなみに価格は4mg錠の場合、1 box (28 tablets) で468香港ドル(4680円くらい)です。一錠あたり170円くらいですね。
 
 五角形の少し変わった形の錠剤です。
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乳鉢で細かく磨り潰します。
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 簡単に細かい粉末になります。
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 これを白色ワセリンに混ぜて軟膏にしてやれば、一番単純なのですが、実際作ってみると、若干ですが、ざらつき・チクチク感があります。一部ワセリンに溶解せずに残っているようです。
 
 調べてみると、Rosiglitazoneは溶けにくい物質のようで、培養実験に用いる場合などには、まずDMSOという液体に溶かしてからバッファーと混ぜるようです。DMSOというのは、およそ大抵のものを溶かしてくれる便利な物質です(→こちら) 。
 
 DMSOの安全性についてですが、これはもともと皮膚科では、アミロイドーシスの治療の外用薬として伝統的に使用されていました。私が大学にいた頃は、皮膚科の教授がアミロイドーシスが専門であったので、大学病院の院内処方のメニューにありました。また、アメリカでは、ドラッグストアでスキンケア用品として販売されているようでもあり、問題は無さそうです。 
 
 RosiglitazoneのDMSOへの溶解度は34mg/mlです。1錠あたり4mgですから、0.12mlのDMSOで溶解し、このあと精製水でも、白色ワセリンでも好きなものに混ぜればいい理屈です。
 しかし、実際の錠剤は4mgよりはるかに重さがあります。賦形剤などがかなり混ざっているのでしょう。
 実際にDMSOを加えてみると、白く濁って完全には溶けません下は、一錠に1mlのDMSOを加えてみたところです。
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 0.12mlで溶けるはずのところ、1ml加えていますから、DMSOの量としては十分なはずです。
 一晩おいて、軽く遠心分離してみます。
遠心分離前。
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遠心分離後の上清。
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 白濁していたのは、たぶん賦形剤としてよく用いられるタルク(滑石の粉末)と考えられます。RosiglitazoneのDMSOへの溶解度から考えると、一錠4mg分のrosiglitazoneはこの中に全量溶けているはずです。
 
 念のために、AVANDIA一錠を、DMSO1mlと4mlにそれぞれ溶かしたのち、遠心分離して沈査を確認してみました。
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 赤矢印に示されている沈殿の量は、目視でDMSO 1mlの場合も4mlの場合も変わりません。ということは、これ以上DMSOを増やしても、この沈殿は溶けないであろう、ということです。DMSOで溶けないということは、これはおそらくタルク(滑石の粉末)でしょう。
 ですから、AVANDIAからRosigritazoneの軟膏を作る場合には、
 
1) 多少のざらつき感が気にならなければ、粉末をそのまま白色ワセリンで調整する。
 
2) ざらつき感が気になるようであれば、1錠あたり1mlのDMSOで溶かして、これを遠心して沈査(タルク)を除いた上清を、白色ワセリンと混ぜる。
 
3) スプレータイプのものを作る場合には、2)を精製水に混和して用いる。
 

となりそうです。
 
 AVANDIAの外用を試みる方には、上記1)~3)を差し上げて、好きなもの(使い心地のいいもの)を使っていただこうと考えています。
 濃度は、以前計算したように(→こちら)、1錠を軟膏100gあるいは精製水100mlに混和します。DMSOに溶解してから用いる場合は、上記の通り1錠あたりDMSO1mlです。
  
 下が完成品の3点セット。
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 試用対象は、クロフィブラートの試験で無効であった方々です。結果はまたここに逐次報告していきます。
2012.10.07
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