cam_engl氏の「普通に読めば、自分と同じ解釈になる」という思い込み
cam_engl氏がブログ記事を更新した(→こちら)。
元論文を購入して確認してみて、驚いた。
cam_engl氏は今回、明らかに意図的に論文の趣旨を捻じ曲げて発信している。・・それにしても、ここまで歪めるか??
とりあえず、氏が→こちらに記しているフレーズ
他人の論文を都合よく利用している方達の手法に、不愉快さを感じると同時に、あきれている次第だ。
を、あらためて私から氏に進呈したい。
cam_engl氏が、ブログ記事で引用している部分は、論文最後のdiscussion中にあった(↓の青線部分)。
cam_engl氏は今回、明らかに意図的に論文の趣旨を捻じ曲げて発信している。・・それにしても、ここまで歪めるか??
とりあえず、氏が→こちらに記しているフレーズ
他人の論文を都合よく利用している方達の手法に、不愉快さを感じると同時に、あきれている次第だ。
を、あらためて私から氏に進呈したい。
cam_engl氏が、ブログ記事で引用している部分は、論文最後のdiscussion中にあった(↓の青線部分)。
論文著者の主張は、赤線部のほうにある。訳すと、「ステロイド外用や全身投与は、単純ヘルペスウイルス感染のリスクであり、広範なステロイド療法はカポジ(EH)の原因なると一般には考えられている。」「われわれの調査では、ステロイド治療とカポジ発症との関連性は無く、アトピー発症年齢とIgE値がリスク因子であった。」である。
だから、この著者は、「カポジはステロイドによる免疫抑制で発症してくると考えられているが、どうもそうでもなさそうだ」、という結論を導いたということだ。
今回の記事に関して、cam_engl氏は確信犯だろう。なぜなら、氏の引用しているのは、Pubmedなどで閲覧することの出来る要約からではなくて、論文の本文から抜いたフレーズであるからだ。
それにしても悪意の確信犯としても幼稚だ。私のような論文好きが、原著を確認しないとでも思ったのだろうか???
もしも、cam_engl氏が稚拙な悪者でないのなら、とんでもなく論文読解力のない人だということになるが、そんな人が存在するということ自体、ちょっと信じられない。
だから、この著者は、「カポジはステロイドによる免疫抑制で発症してくると考えられているが、どうもそうでもなさそうだ」、という結論を導いたということだ。
今回の記事に関して、cam_engl氏は確信犯だろう。なぜなら、氏の引用しているのは、Pubmedなどで閲覧することの出来る要約からではなくて、論文の本文から抜いたフレーズであるからだ。
それにしても悪意の確信犯としても幼稚だ。私のような論文好きが、原著を確認しないとでも思ったのだろうか???
もしも、cam_engl氏が稚拙な悪者でないのなら、とんでもなく論文読解力のない人だということになるが、そんな人が存在するということ自体、ちょっと信じられない。
データを確認してみよう。論文では、カポジ(EH)を発症して入院した患者を、ほぼ同数のプロファイルの似たアトピー患者(カポジではなくアトピーそのものの悪化で入院した患者と思われる)と比較していた。
この図に対応する本文は↓こちら。
棒グラフをみると、若干カポジ群(EH)のほうが、ステロイドを使用していなかった患者の率が高いようにも見えるが、「統計的有意差は無かった」と記されている。
統計的有意差は、ステロイド使用の有無ではなく、アトピーの発症年齢やIgE値で確認された。たとえば↓
統計的有意差は、ステロイド使用の有無ではなく、アトピーの発症年齢やIgE値で確認された。たとえば↓
カポジ群は、アトピーの発症年齢が若い傾向があることが、Mann-WhitneyUtestで確認された。
追記1( cam_engl氏の嘘の上塗り)
cam_engl氏が嘘の上塗りを追記した(→こちら)。誤魔化される人がいるといけないので解説しておく。
cam_engl氏が嘘の上塗りを追記した(→こちら)。誤魔化される人がいるといけないので解説しておく。
The majority of EH occurs in patients with untreated AD(大多数のカポジは未治療のアトピーで発症している)と、a role for topical corticosteroids in the development of EH(カポジの発症におけるステロイド外用剤の役割)をつなぐ前置詞がarguing against(~に反して)でることに注目してほしい。
もし、cam_engl氏が主張するように著者が「未治療のアトピー性皮膚炎は、カポジ水痘様発疹症の合併を増加させる」と考えてこの文章を記したなら、ここは in favor of(~を支持して)でなければならない。arguing againstでつながっているということは、ステロイド外用剤がカポジを発症しやすくしていると仮定があって、その仮定に否定的な事実として、「大多数のカポジは未治療のアトピーで発症している」ということだ。
たぶん氏は、このことに気が付いている。なぜなら、この文章のarguing以下の部分をあえて和訳していないからだ。コンマでつながるone phraseであるにも関わらずである。英語を読めないブログ読者だけでも、なんとか煙に巻こうと考えたのだろう。
私は、この論文の著者に反論しているのではない。忠実に論旨を和訳解説している。
「以前もこのブログに書いたが、著者の主張を歪めるような論文の引用はいけない」とあるのは、これはもう、完全に印象操作だろう。繰り返し同じことを書いていると、中には信用してしまう人も出てくる。どこかの国が領土を主張するのと同じ手法だ。
私も負けずに言い返しておこうと思う。
嘘つきcam_engl氏は、自ら「いけない」と警告する「著者の主張を歪めるような論文の引用」を意図的に行っている。なおかつ、それを指摘されると、開き直って嘘の上塗りを記すほどの恥知らずだ。
たぶん、氏が匿名なのは、平気でこういう嘘が書けるからだろう。実名なら、恥ずかしくて書けるわけがない。
追記2(もうほとんど支離滅裂)
cam_engl氏は、さらに以下のように記している。
もし、cam_engl氏が主張するように著者が「未治療のアトピー性皮膚炎は、カポジ水痘様発疹症の合併を増加させる」と考えてこの文章を記したなら、ここは in favor of(~を支持して)でなければならない。arguing againstでつながっているということは、ステロイド外用剤がカポジを発症しやすくしていると仮定があって、その仮定に否定的な事実として、「大多数のカポジは未治療のアトピーで発症している」ということだ。
たぶん氏は、このことに気が付いている。なぜなら、この文章のarguing以下の部分をあえて和訳していないからだ。コンマでつながるone phraseであるにも関わらずである。英語を読めないブログ読者だけでも、なんとか煙に巻こうと考えたのだろう。
私は、この論文の著者に反論しているのではない。忠実に論旨を和訳解説している。
「以前もこのブログに書いたが、著者の主張を歪めるような論文の引用はいけない」とあるのは、これはもう、完全に印象操作だろう。繰り返し同じことを書いていると、中には信用してしまう人も出てくる。どこかの国が領土を主張するのと同じ手法だ。
私も負けずに言い返しておこうと思う。
嘘つきcam_engl氏は、自ら「いけない」と警告する「著者の主張を歪めるような論文の引用」を意図的に行っている。なおかつ、それを指摘されると、開き直って嘘の上塗りを記すほどの恥知らずだ。
たぶん、氏が匿名なのは、平気でこういう嘘が書けるからだろう。実名なら、恥ずかしくて書けるわけがない。
追記2(もうほとんど支離滅裂)
cam_engl氏は、さらに以下のように記している。
「ちなみに、医師がこの論文を読めば、普通は『脱ステロイド中はカポジ水痘様発疹症に罹患しやすくなる可能性が高い』と認識するのが普通だ。たとえば・・」とあるが、このフレーズは全く意味不明だ。というのは、このMedscape Today Newsの記事はDermatitis. 2005;16(2):78-79の“Eczema Herpeticum Complicating Parthenium Dermatitis”というインドの先生が書いた論文についての評論であって、上のドイツの先生の論文とは、何の関係もないからだ。
次に、氏が黄色でマークしている”during the course of corticosteroid withdrawal” の個所だが、原文では、
次に、氏が黄色でマークしている”during the course of corticosteroid withdrawal” の個所だが、原文では、
のように[1-5]と引用文献が示されている。1-5のうち5番が“corticosteroid withdrawal”に合併したカポジ水痘様発疹症だが、これは一例報告で、どんな内容かというと「68才の紅皮症(元は老人性湿疹)の患者がステロイド離脱中にカポジを併発したが、その部(両脇)の皮疹は、ほかの部位よりもはやく良くなってしまった。」という非常に特異なものだ(→こちら)。別の意味で興味深い。
Medscape Today Newsの記事は、あくまで、ステロイド離脱中の紅皮症でカポジが生じることがあるという引用に過ぎない。アトピーではなく、老人性湿疹のステロイド離脱中の紅皮症だ。アトピーでカポジが発症することは、あまりに当たり前すぎるので、ここでは記載されていない。「脱ステロイド中にカポジ水痘様発疹症が発症するリスクに言及」などされていない。実に笑わせてくれる、というか、嘲笑するしかないですね。
その3 (論文というのは文章で書かれた数式である)
氏はまた、以下のようにも記している。
Medscape Today Newsの記事は、あくまで、ステロイド離脱中の紅皮症でカポジが生じることがあるという引用に過ぎない。アトピーではなく、老人性湿疹のステロイド離脱中の紅皮症だ。アトピーでカポジが発症することは、あまりに当たり前すぎるので、ここでは記載されていない。「脱ステロイド中にカポジ水痘様発疹症が発症するリスクに言及」などされていない。実に笑わせてくれる、というか、嘲笑するしかないですね。
その3 (論文というのは文章で書かれた数式である)
氏はまた、以下のようにも記している。
「In conclusion以下の文章」は、上に記した通り、
ーーーーー
”In conclusion,we did not see an increased incidence of EH in our patients with AD, nor did we find an apparent relation to corticosteroid treatment, but we have identified an early onset of AD and a high total serum IgE as risk factors. Patient with AD and severe, untreated lesions may have EH develop more easily than patients with well-controlled disease”.
(まとめると、我々の患者においては、ステロイド治療はアトピー患者でのカポジ発症率を上昇させておらず、ステロイド治療との明らかな関連性を認めなかった。ステロイドではなくて、アトピー発症年齢とIgE値とがリスク因子として確認された(有意差があった)。重症で未治療のアトピー患者は、コントロール良好な患者よりもカポジを発症しやすいということなのかもしれない。)
-----
である。著者がこの論文の結論としてまとめているのは、前段部分である。氏が注目する後半部分は、私はこれを著者の主張でないなどと言ってはいない。結論部に記されてはいるが、結論ではなくて推論だと言っている(mayがついている)。
なおかつ、著者の言う「重症で未治療のアトピー患者」と「コントロール良好の患者」の違いが、ステロイド使用の有無を指していると読むべきではない。もし、これをそう読んだら、前段と後段の文章が、論理的に矛盾してしまうからだ。そうではなく、ステロイド治療の有無に関わらず、皮疹の悪化と関連があるのではないか?というのが著者の推論である。氏が主張する「脱ステロイドで治療をしないことは、カポジ水痘様発疹症に罹患しやすくなる」とは似て非なる話だ。ステロイドを用いずとも、その患者にとって他に皮疹をコントロールする有効な方法が見つかれば良い(たとえば明確な食物アレルギーにおける食事制限など)。
氏の頭の中ではどうも、絶対的に「コントロール良好の患者」=「ステロイド使用する患者」らしいが、決してそんなことはない。氏がそのような患者を知らないだけだ。
論理的な構造で言うと、著者は、カポジを発症したアトピー患者を、アトピーが悪化して入院した患者群をコントロールとして比較した。なぜ、コントロールをそのようにとったかというと、ドイツのアトピー患者全体の、ステロイド使用・非使用の率が不明であったからだ。それで、悪化して入院してきたアトピー患者が、これを代表していると仮定した。
しかし、統計的比較の結果、有意差が出なかった。この解釈として
(1)そのまま結果を認める→前段。
(2)アトピー悪化入院患者群をコントロールとして採ったのが誤っていた(ドイツのアトピー患者全体を代表してはいなかった)→後段。 この場合、悪化して入院してきたアトピー患者と、ステロイド使用・非使用の率が似ていたわけだから、ステロイド使用・非使用に関わらず、皮疹が悪化した患者の一定率がカポジを発症するのではないか?という仮説(推論)が成り立つ。
というのが、著者の思考だろう。
論文と言うのは、文章であるから、普通にエッセイや小説を読むように読めばいいと思うかもしれないが、実のところ重要なのは、その構成となっている論理展開である。文字で書かれた数式のようなものだ。氏は、その解釈能力が非常に弱い。・・ひょっとしたら、本当に「普通に読めば、自分と同じ解釈になる」と思っているのかもしれない。
2013.02.25
ーーーーー
”In conclusion,we did not see an increased incidence of EH in our patients with AD, nor did we find an apparent relation to corticosteroid treatment, but we have identified an early onset of AD and a high total serum IgE as risk factors. Patient with AD and severe, untreated lesions may have EH develop more easily than patients with well-controlled disease”.
(まとめると、我々の患者においては、ステロイド治療はアトピー患者でのカポジ発症率を上昇させておらず、ステロイド治療との明らかな関連性を認めなかった。ステロイドではなくて、アトピー発症年齢とIgE値とがリスク因子として確認された(有意差があった)。重症で未治療のアトピー患者は、コントロール良好な患者よりもカポジを発症しやすいということなのかもしれない。)
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である。著者がこの論文の結論としてまとめているのは、前段部分である。氏が注目する後半部分は、私はこれを著者の主張でないなどと言ってはいない。結論部に記されてはいるが、結論ではなくて推論だと言っている(mayがついている)。
なおかつ、著者の言う「重症で未治療のアトピー患者」と「コントロール良好の患者」の違いが、ステロイド使用の有無を指していると読むべきではない。もし、これをそう読んだら、前段と後段の文章が、論理的に矛盾してしまうからだ。そうではなく、ステロイド治療の有無に関わらず、皮疹の悪化と関連があるのではないか?というのが著者の推論である。氏が主張する「脱ステロイドで治療をしないことは、カポジ水痘様発疹症に罹患しやすくなる」とは似て非なる話だ。ステロイドを用いずとも、その患者にとって他に皮疹をコントロールする有効な方法が見つかれば良い(たとえば明確な食物アレルギーにおける食事制限など)。
氏の頭の中ではどうも、絶対的に「コントロール良好の患者」=「ステロイド使用する患者」らしいが、決してそんなことはない。氏がそのような患者を知らないだけだ。
論理的な構造で言うと、著者は、カポジを発症したアトピー患者を、アトピーが悪化して入院した患者群をコントロールとして比較した。なぜ、コントロールをそのようにとったかというと、ドイツのアトピー患者全体の、ステロイド使用・非使用の率が不明であったからだ。それで、悪化して入院してきたアトピー患者が、これを代表していると仮定した。
しかし、統計的比較の結果、有意差が出なかった。この解釈として
(1)そのまま結果を認める→前段。
(2)アトピー悪化入院患者群をコントロールとして採ったのが誤っていた(ドイツのアトピー患者全体を代表してはいなかった)→後段。 この場合、悪化して入院してきたアトピー患者と、ステロイド使用・非使用の率が似ていたわけだから、ステロイド使用・非使用に関わらず、皮疹が悪化した患者の一定率がカポジを発症するのではないか?という仮説(推論)が成り立つ。
というのが、著者の思考だろう。
論文と言うのは、文章であるから、普通にエッセイや小説を読むように読めばいいと思うかもしれないが、実のところ重要なのは、その構成となっている論理展開である。文字で書かれた数式のようなものだ。氏は、その解釈能力が非常に弱い。・・ひょっとしたら、本当に「普通に読めば、自分と同じ解釈になる」と思っているのかもしれない。
2013.02.25
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