PRP(多血小板血漿)注射を行った部位は湿疹が出なくなる(追記あり)
私は現在、美容(プチ整形)のクリニックをやっています。アトピーそのものは診ていませんが、アトピーの方が首のしわ・萎縮の改善目的でいらっしゃることもたまにはあります。今日いらっしゃったお客さんが、
「PRPをしたところは、本当に湿疹が出なくなるんです。今日は、首のしわではなくて、アトピーの残っている別の場所に打ってもらってもいいでしょうか?」
とおっしゃいました。
症例は少ないですが、私も以前から同じことを感じていて、このブログにも記しています(→こちら)。
この方の経過写真を並べてみましょう。
初診時、PRP一回目施術前。
「PRPをしたところは、本当に湿疹が出なくなるんです。今日は、首のしわではなくて、アトピーの残っている別の場所に打ってもらってもいいでしょうか?」
とおっしゃいました。
症例は少ないですが、私も以前から同じことを感じていて、このブログにも記しています(→こちら)。
この方の経過写真を並べてみましょう。
初診時、PRP一回目施術前。
8ヵ月後、PRP二回目施術前。
1年6ヵ月後、PRP3回目施術前。
2年5ヶ月後。
PRPの効果で首の横じわが目立たなくなって、鳥肌のようなぶつぶつ(毛孔など皮膚付属器)の間がコラーゲンで埋まってなだらかな質感になってきていますが、同時にはっきりと湿疹が弱くなってきています。
くりかえしますが、症例はまだ少ないです(記憶にあるのは3例、しかし3例とも湿疹が改善しました)。ですから「アトピーが良くなるかもしれない」という名目で、この施術をクリニックのメニューに掲げるつもりはまだありません。あくまでプチ整形としての、加齢やステロイドによって萎縮してしまった皮膚の美容的改善目的の施術です。
ただ、非常に興味深い話だと思うので、供覧しました。
いずれ10人くらい集めて、前後で皮膚の生検も行って確認してみたいと思います。そのときはまたアナウンスしますのでご協力ください。
・・記事UPしてから思ったけど、東京でアトピー向けのPRP専門クリニックそのうち誰かが立ち上げるかもしれませんね。あるいは、既にPRPやってる美容クリニックが「アトピーにも効きます!」って言い始めるかも。
安価ならいいんですが、結構高額な施術です。慎重に判断してください。
(H28/11/13記)
(11/14追記)さっそくブログ見た患者から問い合わせありました。患者がすがる思いで東京のどっかの美容クリニックで高額なPRP施術受けるのも気の毒だし、それで味しめた誰かがビジネス化しちゃったら良くないので、取り急ぎ研究計画書き出してみました。
特に問題なければ、また近所の病院の倫理委員会に提出してOKもらいます。次の委員会12月のはずだから、年明け開始くらいかなあ。また告知します。
=====
研究計画
深谷元継(鶴舞公園クリニック)
表題
PRP(多血小板血漿)によるアトピー性皮膚炎の治療
背景
アトピー性皮膚炎は患者数の多い疾患だが、ステロイド外用剤を始めとした標準的な治療で難渋する症例も多い。PRP(多血小板血漿)は加齢による小じわや皮膚の萎縮に対する治療であるが、美容目的でこの施術を行った患者から「PRPを注射した部位の湿疹が出なくなった」という感想を聞くことがある。
そこで、PRP注射した部位が本当に湿疹が出にくくなるのか、10人ほどの患者を募って確認してみたい。
対象
肘部に湿疹病変のあるアトピー性皮膚炎の成人患者10名。
方法
片側の肘部にPRPを3か月に一回、計4回注射して、対側と比較する。最後の注射から1年後まで観察する。
PRPの作成法は、深谷の方法(A New Economic Method for Preparing Platelet-rich Plasma. Fukaya M, Ito A. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2014 Jul 9;2(6):e162)による。すなわち末梢血約30mlから遠心機などを用いて約1mlのPRP液を調整し、これを湿疹病変に皮内または浅い皮下注射する。
施術は鶴舞公園クリニック手術室内で行う。鶴舞公園クリニックおよび鶴舞公園クリニック手術室は、再生医療安全確保法に基づく届出・認定を済ませた施設であり(細胞培養加工施設番号 FC4140002、再生医療提供計画番号 PC4150001)、PRPの調整、施術が可能である。
評価は、施術前と最初の施術後6か月、1年、2年の毎の4回の皮膚病変の観察と、血液検査(TARC),皮膚生検による。
費用および報酬
患者に費用は請求しない。また、患者にもメリットが期待できるものであることから、報酬も特に定めない。
リスクとインフォームドコンセント
PRP施術の合併症としては、針刺入に伴う内出血、施術後の一過性の腫脹などがある。とくに重篤な合併症の報告はない。
予測しなかった合併症が生じることはありうる。その場合の治療費などについては、患者の自己負担とする。
以上につき、参加者に説明の上同意を求める。
論文報告について
10例について1年間経過観察した時点で、結果をまとめて、有用性が確認された場合には、皮膚科系の英文誌に投稿する。
くりかえしますが、症例はまだ少ないです(記憶にあるのは3例、しかし3例とも湿疹が改善しました)。ですから「アトピーが良くなるかもしれない」という名目で、この施術をクリニックのメニューに掲げるつもりはまだありません。あくまでプチ整形としての、加齢やステロイドによって萎縮してしまった皮膚の美容的改善目的の施術です。
ただ、非常に興味深い話だと思うので、供覧しました。
いずれ10人くらい集めて、前後で皮膚の生検も行って確認してみたいと思います。そのときはまたアナウンスしますのでご協力ください。
・・記事UPしてから思ったけど、東京でアトピー向けのPRP専門クリニックそのうち誰かが立ち上げるかもしれませんね。あるいは、既にPRPやってる美容クリニックが「アトピーにも効きます!」って言い始めるかも。
安価ならいいんですが、結構高額な施術です。慎重に判断してください。
(H28/11/13記)
(11/14追記)さっそくブログ見た患者から問い合わせありました。患者がすがる思いで東京のどっかの美容クリニックで高額なPRP施術受けるのも気の毒だし、それで味しめた誰かがビジネス化しちゃったら良くないので、取り急ぎ研究計画書き出してみました。
特に問題なければ、また近所の病院の倫理委員会に提出してOKもらいます。次の委員会12月のはずだから、年明け開始くらいかなあ。また告知します。
=====
研究計画
深谷元継(鶴舞公園クリニック)
表題
PRP(多血小板血漿)によるアトピー性皮膚炎の治療
背景
アトピー性皮膚炎は患者数の多い疾患だが、ステロイド外用剤を始めとした標準的な治療で難渋する症例も多い。PRP(多血小板血漿)は加齢による小じわや皮膚の萎縮に対する治療であるが、美容目的でこの施術を行った患者から「PRPを注射した部位の湿疹が出なくなった」という感想を聞くことがある。
そこで、PRP注射した部位が本当に湿疹が出にくくなるのか、10人ほどの患者を募って確認してみたい。
対象
肘部に湿疹病変のあるアトピー性皮膚炎の成人患者10名。
方法
片側の肘部にPRPを3か月に一回、計4回注射して、対側と比較する。最後の注射から1年後まで観察する。
PRPの作成法は、深谷の方法(A New Economic Method for Preparing Platelet-rich Plasma. Fukaya M, Ito A. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2014 Jul 9;2(6):e162)による。すなわち末梢血約30mlから遠心機などを用いて約1mlのPRP液を調整し、これを湿疹病変に皮内または浅い皮下注射する。
施術は鶴舞公園クリニック手術室内で行う。鶴舞公園クリニックおよび鶴舞公園クリニック手術室は、再生医療安全確保法に基づく届出・認定を済ませた施設であり(細胞培養加工施設番号 FC4140002、再生医療提供計画番号 PC4150001)、PRPの調整、施術が可能である。
評価は、施術前と最初の施術後6か月、1年、2年の毎の4回の皮膚病変の観察と、血液検査(TARC),皮膚生検による。
費用および報酬
患者に費用は請求しない。また、患者にもメリットが期待できるものであることから、報酬も特に定めない。
リスクとインフォームドコンセント
PRP施術の合併症としては、針刺入に伴う内出血、施術後の一過性の腫脹などがある。とくに重篤な合併症の報告はない。
予測しなかった合併症が生じることはありうる。その場合の治療費などについては、患者の自己負担とする。
以上につき、参加者に説明の上同意を求める。
論文報告について
10例について1年間経過観察した時点で、結果をまとめて、有用性が確認された場合には、皮膚科系の英文誌に投稿する。
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