クロフィブラート軟膏のパイロットスタディ・無効例への対処
これは、うちのスタッフの子どもさん(といってももう20才過ぎですが)、の肘のアトピーで、クロフィブラート軟膏が効いた例です。以前は、ときどき悪化すると近所でもらったステロイド軟膏を付けていましたが、この1ヶ月くらいは、クロフィブラート軟膏のみで良好です(写真は2ヶ月前と最近)。
もう1人、スタッフの息子で軽いアトピーの人(こちらも20才)がいるのですが、その方も、クロフィブラートが効くようです。
動物実験上、ステロイドと違って依存性がありませんから、クロフィブラートで湿疹が抑えられて、他に副作用も無ければ、長期連用に向きます。その確認のために現在、小規模ながら臨床試験を行っているわけですが。
現在までに6人の試用を終わって、クロフィブラートが効きそうな方が3人、このうち2人は、長期(一年)連用して経過観察したいと考えます。
問題は、クロフィブラートが効かなかった3人の方です。せっかく勇気を出して試験に参加していただいたのに、効きませんでした、で終わりでは少々申し訳ない。私の思いつく限りのアイデアを以下に記します。
3人のうち1人(ケース3→こちら)は、依存・リバウンド例で、あとお二人(ケース4→こちら、と、ケース5→こちら)は、成人再発性のアトピー性皮膚炎の「忌避」例です。現在3人とも、クロフィブラート中止後の経過を2週間みていただいているところなのですが、その後、宅急便でクロフィブラートエマルジョン(スプレー)を送付して、再び2週間ほど試用していただこうかと考えています。
白色ワセリンが合わないために、それによって軽度悪化し、クロフィブラートの効果が隠れてしまった可能性があるからです(実例はの海外のお二人目の方→こちら)。
もし、エマルジョンが効けば、それを長期試用していただけるようであれば、お願いしたしたいです。
一方、エマルジョンも効かなかった場合ですが、次のプログラムとして、「いったんステロイド外用剤で抑え、そのあとで、クロフィブラート軟膏に置き換えて様子を見る」というのもありだと思います。根拠は、何度も引用している波多野先生の動物実験です。PPARリガンド単独では抑えられない強い皮膚炎を、いったんステロイドで抑えたあと、PPARリガンドに置き換えることによって、その後リバウンドを起こすことなく、鎮静化できています(→こちら)。
もっとも、必ずうまくいくと限った話ではないし、そもそもこの三人は、クロフィブラートが効きにくい方なのかもしれませんから、大きな期待は出来ません。かつ、忌避には、それなりのメリットもあります(→こちら)から、ステロイドを使ったこのプログラムは、受け入れ難いかもしれません。
しかし、ケース5のかたは、「依存でなければステロイドを使いたい」とおっしゃってましたから、話に乗ってくるかもしれません。ケース4の方は、判りませんが、提案はしてみます。
具体的なステロイドの使い方は、リアクティブ療法が望ましいと考えます(→こちら)。依存になっていなければ、通常、一週間も外用すれば、かなり落ち着きますから、そのあとクロフィブラート軟膏(またはエマルジョン)に切り替えます。再燃無ければ(無い予定ですが)そのまま、一年くらいクロフィブラートを試用して経過を見たいと考えます。
ケース3の依存・リバウンドの方は、既に、ステロイド再使用せずにもう一年頑張る道を選びました。それはそれで現時点での選択としては良いとおもいます(→こちら)。
まとめますと、下図のようです。
動物実験上、ステロイドと違って依存性がありませんから、クロフィブラートで湿疹が抑えられて、他に副作用も無ければ、長期連用に向きます。その確認のために現在、小規模ながら臨床試験を行っているわけですが。
現在までに6人の試用を終わって、クロフィブラートが効きそうな方が3人、このうち2人は、長期(一年)連用して経過観察したいと考えます。
問題は、クロフィブラートが効かなかった3人の方です。せっかく勇気を出して試験に参加していただいたのに、効きませんでした、で終わりでは少々申し訳ない。私の思いつく限りのアイデアを以下に記します。
3人のうち1人(ケース3→こちら)は、依存・リバウンド例で、あとお二人(ケース4→こちら、と、ケース5→こちら)は、成人再発性のアトピー性皮膚炎の「忌避」例です。現在3人とも、クロフィブラート中止後の経過を2週間みていただいているところなのですが、その後、宅急便でクロフィブラートエマルジョン(スプレー)を送付して、再び2週間ほど試用していただこうかと考えています。
白色ワセリンが合わないために、それによって軽度悪化し、クロフィブラートの効果が隠れてしまった可能性があるからです(実例はの海外のお二人目の方→こちら)。
もし、エマルジョンが効けば、それを長期試用していただけるようであれば、お願いしたしたいです。
一方、エマルジョンも効かなかった場合ですが、次のプログラムとして、「いったんステロイド外用剤で抑え、そのあとで、クロフィブラート軟膏に置き換えて様子を見る」というのもありだと思います。根拠は、何度も引用している波多野先生の動物実験です。PPARリガンド単独では抑えられない強い皮膚炎を、いったんステロイドで抑えたあと、PPARリガンドに置き換えることによって、その後リバウンドを起こすことなく、鎮静化できています(→こちら)。
もっとも、必ずうまくいくと限った話ではないし、そもそもこの三人は、クロフィブラートが効きにくい方なのかもしれませんから、大きな期待は出来ません。かつ、忌避には、それなりのメリットもあります(→こちら)から、ステロイドを使ったこのプログラムは、受け入れ難いかもしれません。
しかし、ケース5のかたは、「依存でなければステロイドを使いたい」とおっしゃってましたから、話に乗ってくるかもしれません。ケース4の方は、判りませんが、提案はしてみます。
具体的なステロイドの使い方は、リアクティブ療法が望ましいと考えます(→こちら)。依存になっていなければ、通常、一週間も外用すれば、かなり落ち着きますから、そのあとクロフィブラート軟膏(またはエマルジョン)に切り替えます。再燃無ければ(無い予定ですが)そのまま、一年くらいクロフィブラートを試用して経過を見たいと考えます。
ケース3の依存・リバウンドの方は、既に、ステロイド再使用せずにもう一年頑張る道を選びました。それはそれで現時点での選択としては良いとおもいます(→こちら)。
まとめますと、下図のようです。
もちろん、いつでも気が変わったり、遠方の方で当クリニックまで通うのは大変になった場合は、中止いただいて構いません。
また、個別のアドバイスで記しておりますような、悪化原因探しは、同時並行でOKです。厳密に研究面を重視すれば、ほかの条件はなるべく変えないほうがいいですが、研究としての厳密さが損なわれるよりも、アトピーが良くなるほうがいいのは、臨床研究である以上、当然です。
以上、ケース3、4、5の方がたへの、連絡をかねた解説でした。お電話で説明するよりも、こうしてまとめたほうが、解りやすいし、他の方たちにも参考になると考えたので。
話は変わりますが、「先生は重症アトピーが完治した人を見たことがありますか?医者はある程度よくなったあとは患者を診る機会がないのにどうしてその後も調子が良いと解るのですか?」と、コメント欄で尋ねられました。
身近なところでは、うちのクリニックの税理士さんは、昔国立病院で私が診ていた脱ステロイドの患者です。複数回の入院歴もあります。開業するときに「ぜひ私を顧問にしてください」と申し出があってお願いしました。もう十年近く毎月お会いしますが、湿疹は治まったままです。
また、私のクリニックのHPを作成・メンテしてくれてる方も、同じく入院歴のある、昔の私の脱ステ患者です(→こちら)。今はWEB製作会社の正社員として社会復帰しています。長くお会いしていませんが、最近のメールによれば、普通におしゃれもできるようになったそうです。
「天は自ら助くる者を助く」と申しますが、希望というのは、抱き続ける限り、そこにあります。希望を見失うことなく、ポジティブ思考に心掛けてください。
2012.08.31
また、個別のアドバイスで記しておりますような、悪化原因探しは、同時並行でOKです。厳密に研究面を重視すれば、ほかの条件はなるべく変えないほうがいいですが、研究としての厳密さが損なわれるよりも、アトピーが良くなるほうがいいのは、臨床研究である以上、当然です。
以上、ケース3、4、5の方がたへの、連絡をかねた解説でした。お電話で説明するよりも、こうしてまとめたほうが、解りやすいし、他の方たちにも参考になると考えたので。
話は変わりますが、「先生は重症アトピーが完治した人を見たことがありますか?医者はある程度よくなったあとは患者を診る機会がないのにどうしてその後も調子が良いと解るのですか?」と、コメント欄で尋ねられました。
身近なところでは、うちのクリニックの税理士さんは、昔国立病院で私が診ていた脱ステロイドの患者です。複数回の入院歴もあります。開業するときに「ぜひ私を顧問にしてください」と申し出があってお願いしました。もう十年近く毎月お会いしますが、湿疹は治まったままです。
また、私のクリニックのHPを作成・メンテしてくれてる方も、同じく入院歴のある、昔の私の脱ステ患者です(→こちら)。今はWEB製作会社の正社員として社会復帰しています。長くお会いしていませんが、最近のメールによれば、普通におしゃれもできるようになったそうです。
「天は自ら助くる者を助く」と申しますが、希望というのは、抱き続ける限り、そこにあります。希望を見失うことなく、ポジティブ思考に心掛けてください。
2012.08.31