ステロイドを使用しないアトピー性皮膚炎の経過調査にご協力ください(1)
2015年1月1日から、ステロイドを用いないアトピー性皮膚炎治療に理解のある医師が協力して、6か月間の経過調査を行います。
どういう趣旨かというと、2003年と2004年に古江先生らが企画した、ステロイド(およびプロトピック)を用いた6か月間の経過調査があるのですが(→こちらとこちら)、これとまったく同じプロトコールで、ステロイド(およびプロトピック)を用いない場合の、アトピー性皮膚炎の6か月間の臨床経過を確認しようということです。
アトピー性皮膚炎には、そもそも自然鎮静傾向があります。これに加えてステロイド依存に陥っているケースでは、ステロイド外用剤を中止すること自体で良くなってしまいます。そのため、厳密に(すなわちステロイドを用いずに)ある薬剤の症例対照試験を行った場合、プラセボである脱ステロイド群においても有効という結果が出てしまうことは、本ブログでもゾレアという生物学的製剤についての臨床研究の解説のところで示しました(→こちら)。
ステロイド外用剤は、短期、すなわち2週間程度のスパンでは、有効性ははっきり確認できるでしょうが、6ヶ月以上の長期になると、ステロイドを使用しない群でもかなりの改善率がみられるのだろう、とすると、ステロイド外用剤の6ヶ月以上の有効性というのは実は非常にあいまいなものではないだろうか?そういった疑問に答えるための調査です。
さて、この研究を企画するにあたって、古江先生らの論文を読み直していて、一点重要なことに気が付きました。
下表は、調査対象となった患者群の、Teleangiectasia on cheeks(頬の血管拡張)、skin atrophy of antecubital fossae(肘窩の皮膚萎縮)、skin atrophy of popliteal fossae(膝窩の皮膚萎縮)の率です。2003年の論文では6ヶ月後、2004年の論文は成人へのプロトピック使用の調査なので、6ヶ月の前後で調べられています。
アトピー性皮膚炎には、そもそも自然鎮静傾向があります。これに加えてステロイド依存に陥っているケースでは、ステロイド外用剤を中止すること自体で良くなってしまいます。そのため、厳密に(すなわちステロイドを用いずに)ある薬剤の症例対照試験を行った場合、プラセボである脱ステロイド群においても有効という結果が出てしまうことは、本ブログでもゾレアという生物学的製剤についての臨床研究の解説のところで示しました(→こちら)。
ステロイド外用剤は、短期、すなわち2週間程度のスパンでは、有効性ははっきり確認できるでしょうが、6ヶ月以上の長期になると、ステロイドを使用しない群でもかなりの改善率がみられるのだろう、とすると、ステロイド外用剤の6ヶ月以上の有効性というのは実は非常にあいまいなものではないだろうか?そういった疑問に答えるための調査です。
さて、この研究を企画するにあたって、古江先生らの論文を読み直していて、一点重要なことに気が付きました。
下表は、調査対象となった患者群の、Teleangiectasia on cheeks(頬の血管拡張)、skin atrophy of antecubital fossae(肘窩の皮膚萎縮)、skin atrophy of popliteal fossae(膝窩の皮膚萎縮)の率です。2003年の論文では6ヶ月後、2004年の論文は成人へのプロトピック使用の調査なので、6ヶ月の前後で調べられています。
2004年の調査の対象となった患者群でのPre-treatment(6ヶ月治療前)のTeleangiectasia on cheeksは34.9%です。これに対して、2003年のadolescent and adult(思春期および成人)のPost-treatment(6ヶ月治療後)は13.3%です。2003年の調査は6ヶ月間のステロイド使用によるものなので、Pre-treatmentの数字はこれと同じかそれよりも小さいはずです。
ということは、2004年のプロトピック併用効果の調査がなされた患者群は、2003年に比べて、ステロイドの副作用が強く現れていた患者群であった、ということです。
何が言いたいかというと、2004年の改善率が、2003年よりもよかったのは、プロトピックを併用した効果に加えて、ステロイド依存患者の率が高く、結果として脱ステロイドの効果をみている可能性があるということです。
今回の私たちの調査にも、6カ月前後のTeleangiectasia on cheeks(頬の血管拡張)、skin atrophy of antecubital fossae(肘窩の皮膚萎縮)、skin atrophy of popliteal fossae(膝窩の皮膚萎縮)の有無を加えます。Pre-treatmentの数字が2003年、2004年の古江先生らの調査に比べて多いのか少ないのかはまだ判りませんが、Post-treatmentの数字はたぶん低くなるでしょう。ほかにも、ステロイド外用歴の長さと6ヶ月間の改善傾向との関連など、いろいろな観点から確認してみようと考えています。
決して古江先生らの改善率と競おうとしているわけではありません。ステロイド(およびプロトピック)の使用群と、非使用群とで、率を競ったところで意味がありません。競技会じゃないですからね。ステロイド非使用群で一定の改善率があることが確認されれば、患者側に、それを堂々と選択する根拠が保証されます。ちなみに、前に何度も書いていますが、過去の脱ステロイドの論文では6ヶ月の改善率はだいたい60%くらいです(→こちら)。今回は多施設研究ですから、施設間のばらつきがあまり無いという結果が出るのが、いちばん説得力があります。一年後に結果を集計するのが今から楽しみです。
もし、ここを見ている皮膚科医・小児科医の方で、私たちの調査に参加しよう、という方がもしいらっしゃったらご連絡ください。途中参加を受け付けています。施設や医師の数は多いほどいいです。よろしくお願いいたします。
2014.12.05
ということは、2004年のプロトピック併用効果の調査がなされた患者群は、2003年に比べて、ステロイドの副作用が強く現れていた患者群であった、ということです。
何が言いたいかというと、2004年の改善率が、2003年よりもよかったのは、プロトピックを併用した効果に加えて、ステロイド依存患者の率が高く、結果として脱ステロイドの効果をみている可能性があるということです。
今回の私たちの調査にも、6カ月前後のTeleangiectasia on cheeks(頬の血管拡張)、skin atrophy of antecubital fossae(肘窩の皮膚萎縮)、skin atrophy of popliteal fossae(膝窩の皮膚萎縮)の有無を加えます。Pre-treatmentの数字が2003年、2004年の古江先生らの調査に比べて多いのか少ないのかはまだ判りませんが、Post-treatmentの数字はたぶん低くなるでしょう。ほかにも、ステロイド外用歴の長さと6ヶ月間の改善傾向との関連など、いろいろな観点から確認してみようと考えています。
決して古江先生らの改善率と競おうとしているわけではありません。ステロイド(およびプロトピック)の使用群と、非使用群とで、率を競ったところで意味がありません。競技会じゃないですからね。ステロイド非使用群で一定の改善率があることが確認されれば、患者側に、それを堂々と選択する根拠が保証されます。ちなみに、前に何度も書いていますが、過去の脱ステロイドの論文では6ヶ月の改善率はだいたい60%くらいです(→こちら)。今回は多施設研究ですから、施設間のばらつきがあまり無いという結果が出るのが、いちばん説得力があります。一年後に結果を集計するのが今から楽しみです。
もし、ここを見ている皮膚科医・小児科医の方で、私たちの調査に参加しよう、という方がもしいらっしゃったらご連絡ください。途中参加を受け付けています。施設や医師の数は多いほどいいです。よろしくお願いいたします。
2014.12.05
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