日本皮膚科学会に民事訴訟を起こしてみたらどうだろうか?
先日、日本アレルギー学会編の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2012年版」が出版されました。
日本にはアトピー性皮膚炎の診療ガイドラインは2つあります。日本皮膚科学会によるものと、日本アレルギー学会によるものです。歴史的経緯などについては→こちら。
日本皮膚科学会のガイドラインには、ステロイド依存や抵抗性に関する記述は一切ありませんが、日本アレルギー学会のガイドラインには、今回2012年版にも、2009年版同様、「ステロイド不応答性とタキフィラキシー」についての記述が載せられました。
日本皮膚科学会のガイドラインには、ステロイド依存や抵抗性に関する記述は一切ありませんが、日本アレルギー学会のガイドラインには、今回2012年版にも、2009年版同様、「ステロイド不応答性とタキフィラキシー」についての記述が載せられました。
もっとも内容は2009年版と変わっていません(「どこが「最近」なんだと突っ込みたくなる)。のみならず、先回も記したように、「米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology)のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン」は、2009年で失効しているにも関わらず、引用されたままです。
ちなみにこの2004年版のAADのガイドラインにおける引用個所は下記部分になります。
ちなみにこの2004年版のAADのガイドラインにおける引用個所は下記部分になります。
エビデンスのレベル分類は下記です。
現在、少なくともⅢのレベルにはあります。Dr, Rapaport がRed Skin Syndrome のClinical experienceを報告しているし(→こちら)、2006年のJAAD誌の総説でもSteroid addictionが取り上げられていますからね(→こちら)。
ちょっと気になった点は、プロアクティブ療法に関する部分です。これは、今回委員に加わった大矢先生の執筆だと思うのですが、
ちょっと気になった点は、プロアクティブ療法に関する部分です。これは、今回委員に加わった大矢先生の執筆だと思うのですが、
というように図解されています。これは少しおかしい。
ではなく、
のはずです。私が確認したプロアクティブ療法の論文のレジメはすべてこうでした。「週2回外用療法」であり、多少皮疹が出ていてもいなくても、とにかく「週2回」です。漸減法ではありません(→こちら)。
Reactive療法の解説もおかしい。「(ステロイドやプロトピック)外用剤はその日痒かったところに一日一回重ね塗りする」ではありません。濃いピンクと濃いピンクの間の淡いピンクの間は、「外用剤は塗らない(保湿剤のみ)」です。もともとは、欧米など医療費の高い国で、良くなったら薬を塗らなくなってしまう患者たちに対して「週二回でも塗っていれば、大悪化して入院や休職する回数が減って経済的メリットあるんだよ」という医療経済の論文ですから。
なんで、こんなおかしな図解になってしまったのか・・。医師の方々は、くれぐれも、ご自身でプロアクティブ療法のオリジナル論文確認しておいたほうがいいです。(→こちらやこちら)
それでも、日本アレルギー学会のガイドラインは、「ステロイド不応答性とタキフィラキシー」に触れているだけ、日本皮膚科学会のものよりましです。いったい、どうしたら、日皮会のガイドラインにこの点を付記させることが出来るのでしょうか?
以前から考えてはいたのですが、誰か、患者が、日本皮膚科学会に対して民事訴訟を起こしませんか?
私は、こうやってブログでガイドラインの不備の問題点を訴えたり、日本皮膚科学会に内容証明郵便で修正を要望したりしていますが、民事訴訟を起こすことはできません。なんら経済的被害をこうむってはいないからです。
しかし、1)日皮会のガイドラインに従った治療を受け、2)ステロイド外用剤依存となり、3)離脱によってほぼ治癒または軽快した患者においては、ガイドラインの不備によって、健康被害すなわち経済的損失を被ったと言えますから、原告適格があります。
この場合に、皮膚科医または病院を訴えても、「ガイドラインにのっとった治療を行ったのだから責任はない」と言い逃れるでしょう。ですから、ガイドラインの作成元である日皮会を訴えるのが妥当です。
アメリカでは既に医療ガイドライン作成者への訴訟が起きています(→こちら)。
ガイドライン作成者はガイドラインが不適切であってその結果生じた患者の健康障害に対して責任を負います。それ以降、アメリカの医療ガイドラインは、すべて免責(Disclaimer)で始まることとなりました。
しかし、日本ではまだ、ガイドラインに免責宣言は記されていません。ということは、皮膚科医や病院が、日皮会の不備なガイドラインを信用した結果、患者が健康障害をきたしたのなら、日皮会は責任を負うべきです。
訴訟には、弁護士費用がかかります。これは、通常、着手金+訴額の一割くらいです。たとえば、300万円の損害賠償であれば、一割の30万円くらいです。着手金やその他の費用を併せても、全部で100万円くらいで納まるでしょう。私を含め有志でカンパすれば全然手の届かない額ではありません。
一番のポイントは、患者の選定です。標準治療を売りにしている大学病院や中核病院でステロイド外用剤依存に陥り、なおかつそこでの治療記録をメモでもいいですからしっかり残しており、その後離脱時にも、いわゆる脱ステ医のもとを受診して「ステロイド皮膚症」の診断を得ていることが絶対条件です。なおかつ、こういった社会的活動に使命感を抱く人がいいです。
わたしが、こういったことを記すと、「そんな、社会活動みたいなことは、どうでもいい。それより早く治してくれ。」と言う方は多いでしょう。
よく知っています。昔から、患者というのは、そうでした。
しかし、よく考えてみてください。これは、あなたたち全ての経済的利益の問題です。
ステロイド外用剤による依存という副作用が、しっかりと認知されれば、まず、医薬品副作用被害救済制度(→こちら)の対象となります。依存→リバウンドという、辛い離脱の道を歩まざるを得なくなった場合に、医師や医療機関が、それをステロイド外用剤の副作用だと認めれば、製薬会社全体で運営している救済制度から補償を受けられるのです。
先日、2ちゃんねるで、私がステロイド外用剤の依存性を警告し続けていることに対して批判的な、ステロイド外用剤使用中のアトピー患者の、誹謗中傷の書き込みを紹介しました(→こちら)
こういった意見は昔からありました。私の警告をおせっかい・目障りと感じ、苛立つのでしょう。それは、感情論です。よく、合理的に考えてください。「ステロイド外用剤がなかったら、仕事ができない。そうすると食べていけない。」のも事実であり、経済的問題だとするならば、依存という副作用をはっきりさせておくこともまた、患者側利益にかなった経済問題なのです。
依存という副作用を明確にすることで、不利益というか、悲しい思いをする人は誰一人いません。皮膚科医や病院が訴えられるわけでもないし、製薬会社ですら、大きな経済的損失は蒙りません。そのための副作用被害救済制度だからです。
ステロイド訴訟といえば、以前紹介した「川崎ステロイド訴訟」が有名ですが(→こちらとこちらとこちら)、私は、この訴訟のまずかった点は、原告が、ステロイド外用剤を処方し続けた皮膚科医たちに加えて、そこから離脱させようと試みた皮膚科医をも、全て被告として訴えた点だと思います。原告の心情(感情)を察せなくもないのですが、訴訟の作戦としては悪かったです。関係した皮膚科医たちは、全員が一致団結して戦わざるを得なくなったからです。
この訴訟の敗訴のあと、私の知る限り、アトピー性皮膚炎のステロイド訴訟は途絶えました。しかし、民事訴訟というのは、医学的な白黒をはっきりさせる場所ではなくて、あくまで経済的損失の責任の所在を論じるものですから、しっかり作戦を練ってかかれば、成功するはずです。
もし、「自分は原告として適格だと思う」という方いらっしゃいましたら、治療記録などをまとめて当方まで郵送ください。検討させていただきます。
必要なのは、診断書や紹介状、治療や症状のメモ、写真などです。記憶に頼った体験談のような文章だけでは難しいです。
「これならいけそうだ」と判断した場合には、有志と相談のうえ、訴訟費用のカンパ・弁護士手配・医学的助言・鑑定文作成など、全面的に支援いたします。
すみませんが、コメント欄などを通じての、匿名の問い合わせや体験談などは勘弁してください。実名で、資料を郵送でお願いします。有志で回覧の都合上、返却は保証しかねるので、全てコピーでお願いします。また、回覧の途中での紛失などのリスクを考えて、封筒の表書き以外の資料中の個人情報は、あらかじめ黒塗りなどして隠しておいてください。
(郵送先:460-0012 名古屋市中区千代田5-20-6 鶴舞公園クリニック)
※追記 皮膚科医の方から、以下のようなコメントをいただきました。
ーーーーー
片田舎の皮膚科医です。ステロイドが最も皮膚炎に効果があるのは周知の事実です。民事訴訟を煽ることにより、ステロイド外用剤を使うことを医師が躊躇するようにしたいのですか?ステロイド外用剤で何がしかの副作用が出た場合に、多額の賠償金を求められるようでは、皮膚科診療は崩壊します。ステロイド皮膚症の存在は否定しませんが、クリティカルな問題になる例は非常に限られていますし、そもそも軽度なステロイド皮膚症でさえ数少ないものです。先生も元々は皮膚科医だったのですから、華やかではない現場で地道に働いている皮膚科医を絶滅させようとするような行為は厳に謹んでいただけないでしょうか。
ーーーーー
少なからず誤解があると思うので、付記しますが、私はこの先生が危惧しているような「ステロイド外用剤で何がしかの副作用が出た場合に、多額の賠償金を求められる」といった、ステロイド外用剤を処方した医師や医療機関が訴えられるような状況を作り出そうとしているのではありません。逆です。
医薬品副作用被害救済制度というのは、医薬品の通常の使い方をしていて、それにも拘わらず副作用が生じてしまった場合に、医師・医療機関(あるいは製薬会社)と、患者との、紛争を回避するために存在する制度です(→こちら)。
患者が医師・医療機関を訴えようとすれば、過失を証明しなければなくなり、困難です。しかし、救済制度が利用できれば、医薬品との因果関係の証明だけで済みます。かつ、医師や医療機関としても、自分が賠償金を求められるのではありませんから、協力も得やすいはずです。
そのためには、ステロイド依存を、ステロイド外用剤を通常の使用法(医師・医療機関に過失は無いということ)においても、生じうる副作用であることが認知されなければなりません。それには、日本皮膚科学会のガイドラインの不備を訴えるのが一番効果的だ、という考え方です。
くれぐれも誤解の無いようにお願いいたします。
あと、「ステロイド皮膚症の存在は否定しませんが、クリティカルな問題になる例は非常に限られていますし、そもそも軽度なステロイド皮膚症でさえ数少ないものです。」 この認識はどうかなあ?と思います。
依存例・抵抗性例の率や実数は不明といえば不明ですが、少なくとも、90年代後半から2000年代初めにかけて国立名古屋病院で、私が皮膚科臨床に携わっていたときに診ていた数千人の患者の9割以上は依存・抵抗性例でした。そういう患者が集まってきたという特殊な状況であっただろうとは思いますが。
しかし、昨年クロフィブラート外用剤試用に応募していただいた20人の患者をみても、約半数は依存・リバウンド例です。コメントをお寄せいただいた先生が診ている患者のなかに、依存例・抵抗性例が少ないというだけで、全国的にはまだまだ多くの患者が副作用に苦しんでいると察します。
2013.01.12
Reactive療法の解説もおかしい。「(ステロイドやプロトピック)外用剤はその日痒かったところに一日一回重ね塗りする」ではありません。濃いピンクと濃いピンクの間の淡いピンクの間は、「外用剤は塗らない(保湿剤のみ)」です。もともとは、欧米など医療費の高い国で、良くなったら薬を塗らなくなってしまう患者たちに対して「週二回でも塗っていれば、大悪化して入院や休職する回数が減って経済的メリットあるんだよ」という医療経済の論文ですから。
なんで、こんなおかしな図解になってしまったのか・・。医師の方々は、くれぐれも、ご自身でプロアクティブ療法のオリジナル論文確認しておいたほうがいいです。(→こちらやこちら)
それでも、日本アレルギー学会のガイドラインは、「ステロイド不応答性とタキフィラキシー」に触れているだけ、日本皮膚科学会のものよりましです。いったい、どうしたら、日皮会のガイドラインにこの点を付記させることが出来るのでしょうか?
以前から考えてはいたのですが、誰か、患者が、日本皮膚科学会に対して民事訴訟を起こしませんか?
私は、こうやってブログでガイドラインの不備の問題点を訴えたり、日本皮膚科学会に内容証明郵便で修正を要望したりしていますが、民事訴訟を起こすことはできません。なんら経済的被害をこうむってはいないからです。
しかし、1)日皮会のガイドラインに従った治療を受け、2)ステロイド外用剤依存となり、3)離脱によってほぼ治癒または軽快した患者においては、ガイドラインの不備によって、健康被害すなわち経済的損失を被ったと言えますから、原告適格があります。
この場合に、皮膚科医または病院を訴えても、「ガイドラインにのっとった治療を行ったのだから責任はない」と言い逃れるでしょう。ですから、ガイドラインの作成元である日皮会を訴えるのが妥当です。
アメリカでは既に医療ガイドライン作成者への訴訟が起きています(→こちら)。
ガイドライン作成者はガイドラインが不適切であってその結果生じた患者の健康障害に対して責任を負います。それ以降、アメリカの医療ガイドラインは、すべて免責(Disclaimer)で始まることとなりました。
しかし、日本ではまだ、ガイドラインに免責宣言は記されていません。ということは、皮膚科医や病院が、日皮会の不備なガイドラインを信用した結果、患者が健康障害をきたしたのなら、日皮会は責任を負うべきです。
訴訟には、弁護士費用がかかります。これは、通常、着手金+訴額の一割くらいです。たとえば、300万円の損害賠償であれば、一割の30万円くらいです。着手金やその他の費用を併せても、全部で100万円くらいで納まるでしょう。私を含め有志でカンパすれば全然手の届かない額ではありません。
一番のポイントは、患者の選定です。標準治療を売りにしている大学病院や中核病院でステロイド外用剤依存に陥り、なおかつそこでの治療記録をメモでもいいですからしっかり残しており、その後離脱時にも、いわゆる脱ステ医のもとを受診して「ステロイド皮膚症」の診断を得ていることが絶対条件です。なおかつ、こういった社会的活動に使命感を抱く人がいいです。
わたしが、こういったことを記すと、「そんな、社会活動みたいなことは、どうでもいい。それより早く治してくれ。」と言う方は多いでしょう。
よく知っています。昔から、患者というのは、そうでした。
しかし、よく考えてみてください。これは、あなたたち全ての経済的利益の問題です。
ステロイド外用剤による依存という副作用が、しっかりと認知されれば、まず、医薬品副作用被害救済制度(→こちら)の対象となります。依存→リバウンドという、辛い離脱の道を歩まざるを得なくなった場合に、医師や医療機関が、それをステロイド外用剤の副作用だと認めれば、製薬会社全体で運営している救済制度から補償を受けられるのです。
先日、2ちゃんねるで、私がステロイド外用剤の依存性を警告し続けていることに対して批判的な、ステロイド外用剤使用中のアトピー患者の、誹謗中傷の書き込みを紹介しました(→こちら)
こういった意見は昔からありました。私の警告をおせっかい・目障りと感じ、苛立つのでしょう。それは、感情論です。よく、合理的に考えてください。「ステロイド外用剤がなかったら、仕事ができない。そうすると食べていけない。」のも事実であり、経済的問題だとするならば、依存という副作用をはっきりさせておくこともまた、患者側利益にかなった経済問題なのです。
依存という副作用を明確にすることで、不利益というか、悲しい思いをする人は誰一人いません。皮膚科医や病院が訴えられるわけでもないし、製薬会社ですら、大きな経済的損失は蒙りません。そのための副作用被害救済制度だからです。
ステロイド訴訟といえば、以前紹介した「川崎ステロイド訴訟」が有名ですが(→こちらとこちらとこちら)、私は、この訴訟のまずかった点は、原告が、ステロイド外用剤を処方し続けた皮膚科医たちに加えて、そこから離脱させようと試みた皮膚科医をも、全て被告として訴えた点だと思います。原告の心情(感情)を察せなくもないのですが、訴訟の作戦としては悪かったです。関係した皮膚科医たちは、全員が一致団結して戦わざるを得なくなったからです。
この訴訟の敗訴のあと、私の知る限り、アトピー性皮膚炎のステロイド訴訟は途絶えました。しかし、民事訴訟というのは、医学的な白黒をはっきりさせる場所ではなくて、あくまで経済的損失の責任の所在を論じるものですから、しっかり作戦を練ってかかれば、成功するはずです。
もし、「自分は原告として適格だと思う」という方いらっしゃいましたら、治療記録などをまとめて当方まで郵送ください。検討させていただきます。
必要なのは、診断書や紹介状、治療や症状のメモ、写真などです。記憶に頼った体験談のような文章だけでは難しいです。
「これならいけそうだ」と判断した場合には、有志と相談のうえ、訴訟費用のカンパ・弁護士手配・医学的助言・鑑定文作成など、全面的に支援いたします。
すみませんが、コメント欄などを通じての、匿名の問い合わせや体験談などは勘弁してください。実名で、資料を郵送でお願いします。有志で回覧の都合上、返却は保証しかねるので、全てコピーでお願いします。また、回覧の途中での紛失などのリスクを考えて、封筒の表書き以外の資料中の個人情報は、あらかじめ黒塗りなどして隠しておいてください。
(郵送先:460-0012 名古屋市中区千代田5-20-6 鶴舞公園クリニック)
※追記 皮膚科医の方から、以下のようなコメントをいただきました。
ーーーーー
片田舎の皮膚科医です。ステロイドが最も皮膚炎に効果があるのは周知の事実です。民事訴訟を煽ることにより、ステロイド外用剤を使うことを医師が躊躇するようにしたいのですか?ステロイド外用剤で何がしかの副作用が出た場合に、多額の賠償金を求められるようでは、皮膚科診療は崩壊します。ステロイド皮膚症の存在は否定しませんが、クリティカルな問題になる例は非常に限られていますし、そもそも軽度なステロイド皮膚症でさえ数少ないものです。先生も元々は皮膚科医だったのですから、華やかではない現場で地道に働いている皮膚科医を絶滅させようとするような行為は厳に謹んでいただけないでしょうか。
ーーーーー
少なからず誤解があると思うので、付記しますが、私はこの先生が危惧しているような「ステロイド外用剤で何がしかの副作用が出た場合に、多額の賠償金を求められる」といった、ステロイド外用剤を処方した医師や医療機関が訴えられるような状況を作り出そうとしているのではありません。逆です。
医薬品副作用被害救済制度というのは、医薬品の通常の使い方をしていて、それにも拘わらず副作用が生じてしまった場合に、医師・医療機関(あるいは製薬会社)と、患者との、紛争を回避するために存在する制度です(→こちら)。
患者が医師・医療機関を訴えようとすれば、過失を証明しなければなくなり、困難です。しかし、救済制度が利用できれば、医薬品との因果関係の証明だけで済みます。かつ、医師や医療機関としても、自分が賠償金を求められるのではありませんから、協力も得やすいはずです。
そのためには、ステロイド依存を、ステロイド外用剤を通常の使用法(医師・医療機関に過失は無いということ)においても、生じうる副作用であることが認知されなければなりません。それには、日本皮膚科学会のガイドラインの不備を訴えるのが一番効果的だ、という考え方です。
くれぐれも誤解の無いようにお願いいたします。
あと、「ステロイド皮膚症の存在は否定しませんが、クリティカルな問題になる例は非常に限られていますし、そもそも軽度なステロイド皮膚症でさえ数少ないものです。」 この認識はどうかなあ?と思います。
依存例・抵抗性例の率や実数は不明といえば不明ですが、少なくとも、90年代後半から2000年代初めにかけて国立名古屋病院で、私が皮膚科臨床に携わっていたときに診ていた数千人の患者の9割以上は依存・抵抗性例でした。そういう患者が集まってきたという特殊な状況であっただろうとは思いますが。
しかし、昨年クロフィブラート外用剤試用に応募していただいた20人の患者をみても、約半数は依存・リバウンド例です。コメントをお寄せいただいた先生が診ている患者のなかに、依存例・抵抗性例が少ないというだけで、全国的にはまだまだ多くの患者が副作用に苦しんでいると察します。
2013.01.12