cam_engl氏のブログの誤り・その3
cam_engl氏がブログでコメントを追記した。→こちら
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質問者は確かに、「ステロイド依存の話よりもステロイドでコントロール出来ない人が多くいる事実を重視すべきと考えます」、と前振りをしているが、問い質したいのは、その下に続く「ス剤を中止し保湿剤の外用のみで軽快した」症例および「ス薬の長期使用が皮膚を萎縮させ乾燥させる結果として、その強力な抗炎症作用にもかかわらず、ADの病態を悪化させうることは広く認識すべきであろう」という塩原先生のコメントを、cam_engl氏がどう考えるかだろう。
なぜ、塩原先生の例示した「ス剤を中止し保湿剤の外用のみ」という選択肢が無視され、「免疫抑制剤・光線治療が次の選択肢になる」という回答になるのだろう?
ついで、
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質問者は確かに、「ステロイド依存の話よりもステロイドでコントロール出来ない人が多くいる事実を重視すべきと考えます」、と前振りをしているが、問い質したいのは、その下に続く「ス剤を中止し保湿剤の外用のみで軽快した」症例および「ス薬の長期使用が皮膚を萎縮させ乾燥させる結果として、その強力な抗炎症作用にもかかわらず、ADの病態を悪化させうることは広く認識すべきであろう」という塩原先生のコメントを、cam_engl氏がどう考えるかだろう。
なぜ、塩原先生の例示した「ス剤を中止し保湿剤の外用のみ」という選択肢が無視され、「免疫抑制剤・光線治療が次の選択肢になる」という回答になるのだろう?
ついで、
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とある。
「問題点のところだけ取り出して『脱ステロイド』を正当化していく」ことがなぜいけないのだろうか?塩原先生の症例提示およびコメントはまさにそういうことも必要だと訴えている。
私は繰り返し記すように、ステロイド外用剤を全否定などしてはいないが、cam_engl氏は、どうしても「脱ステロイド」を全否定したいようだ。
【追記1】
cam_engl氏のブログに追記があった(→こちら)。
とある。
「問題点のところだけ取り出して『脱ステロイド』を正当化していく」ことがなぜいけないのだろうか?塩原先生の症例提示およびコメントはまさにそういうことも必要だと訴えている。
私は繰り返し記すように、ステロイド外用剤を全否定などしてはいないが、cam_engl氏は、どうしても「脱ステロイド」を全否定したいようだ。
【追記1】
cam_engl氏のブログに追記があった(→こちら)。
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このロジック(あるいはトリック)を破るのは簡単だ。cam_engl氏は「drug addiction」や「drug dependence」について記しているが、英語の「drug」にはそもそも麻薬や向精神薬という意味がある(日本語の「ドラッグ」と同じ)。したがって検索すれば当然その種の薬物依存の解説となる。
私が「Drug addictionはDrug dependenceよりも広い意味として用いられている。しかし、日本語に訳せば、どちらも『薬物依存』だ。」と記したので、こういう反論をしているのだろうが、WHOによるdependence とaddictionの語義の違いの説明のために記したものだ。こういう反論の仕方を「揚げ足取り」と言う。
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このロジック(あるいはトリック)を破るのは簡単だ。cam_engl氏は「drug addiction」や「drug dependence」について記しているが、英語の「drug」にはそもそも麻薬や向精神薬という意味がある(日本語の「ドラッグ」と同じ)。したがって検索すれば当然その種の薬物依存の解説となる。
私が「Drug addictionはDrug dependenceよりも広い意味として用いられている。しかし、日本語に訳せば、どちらも『薬物依存』だ。」と記したので、こういう反論をしているのだろうが、WHOによるdependence とaddictionの語義の違いの説明のために記したものだ。こういう反論の仕方を「揚げ足取り」と言う。
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私は、Anabolic androgenic steroidによる依存患者を実際に診たことが無いし、知識も十分ではない。しかし精神症状は伴うこともあるだろうが必須ではないはずだ。
また、Topical steroid addictionという語を初めて用いた皮膚科医のBurryは、論文でまさに「副作用に陥ってもそれを抑えるためにステロイドを止められなくなる」患者の精神状態を報告している(→こちら)。ステロイド酒さで抑うつになる患者もいるだろう。
cam_engl氏は両者の精神症状の違いを説明できるのだろうか?
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私は、Anabolic androgenic steroidによる依存患者を実際に診たことが無いし、知識も十分ではない。しかし精神症状は伴うこともあるだろうが必須ではないはずだ。
また、Topical steroid addictionという語を初めて用いた皮膚科医のBurryは、論文でまさに「副作用に陥ってもそれを抑えるためにステロイドを止められなくなる」患者の精神状態を報告している(→こちら)。ステロイド酒さで抑うつになる患者もいるだろう。
cam_engl氏は両者の精神症状の違いを説明できるのだろうか?
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これは、文言だけを追うと「まとも」な意見だ。
しかしcam_engl氏は「ステロイド外用剤依存」という現象を全く認めない、存在しない、という立場からブログを記している。
私のブログは、ステロイドの「欠点」や脱ステロイドの「利点」に焦点を絞ってはいるが、ステロイド外用剤を全否定するものではないことは、繰り返し記している。
ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)という現象は、それをどう表現・定義するかという問題の難しさはあるが、Kligman、Burry、Rapaport、Cork、日本では、須貝、榎本といった、皮膚科医・小児科医たちのパイオニアたちによって、医学論文で繰り返しその存在が指摘されてきている。医学常識として「存在」する。
私が、本ブログで主張しているのは、日本皮膚科学会は、これをステロイド外用剤の副作用と認識して、ガイドラインに記すべきだということだが、そのガイドラインにしても、「触れられていない」というだけで、「存在しない」などと書かれてはいない。
「ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)が存在しない」という趣旨の主張を、医師としてあるいは医師を推測させるような形で、これだけ明確に発信することは、「ステロイド外用剤は危険であって、決して使ってはならない。」という主張と同じくらい偏っている。
cam_engl氏は「脱ステロイドで不幸な目に合う患者のために」という大義名分を掲げているが、「ステロイド依存で不幸な目に合う」かもしれない患者の存在を一顧だにしていない。ここがとても危険だ。 実際には依存に陥ってしまっているが、あるいは依存に陥りやすいタイプであるにも関わらず、氏の「ステロイド外用剤は依存しない」という主張にすがって塗り続けて、依存が進む患者がいるだろう、ということだ。
cam_engl氏が、ステロイド依存(この語がどうしても受け入れられなければ、榎本先生の「ステロイド外用剤によるSteroid Withdrawal Syndrome 様症状」(→こちら)が、氏にとって一番受け入れられやすいと思う)の存在(あるいは存在の可能性)を認めて、その上で脱ステロイドの弊害というか、依存や抵抗性に陥っていないのに、自分が既にそのような状態にあると思い込んでステロイド拒否に走る患者に警鐘を鳴らすのであれば理解できる。また、現実にそのようなブログのほうが、患者の共感も得やすく、効果的なのではないか?
なぜそうせずに、これだけ「ステロイド外用剤依存が存在しない」ことにこだわるのか解らない。
cam_engl氏は、私に「ブログのコメント欄を開放せよ」と言った要望をしているが、私のコメント欄に、批判的なコメントが寄せられたときには、それが論理的なものである限りは、基本的に私は追記という形で取り上げている(→こちら、こちら、こちら)。
ブログを初めて数年になるが、これまでに寄せられた批判的なコメントは、記憶する限りこの3つくらいだ。cam_engl氏のブログには批判的なコメントが多い。私はcam_engl氏のブログが、氏が考えているよりはるかに偏っているからだと考える。
【追記2】
cam_engl氏が記事を更新した(→こちら)
これは、文言だけを追うと「まとも」な意見だ。
しかしcam_engl氏は「ステロイド外用剤依存」という現象を全く認めない、存在しない、という立場からブログを記している。
私のブログは、ステロイドの「欠点」や脱ステロイドの「利点」に焦点を絞ってはいるが、ステロイド外用剤を全否定するものではないことは、繰り返し記している。
ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)という現象は、それをどう表現・定義するかという問題の難しさはあるが、Kligman、Burry、Rapaport、Cork、日本では、須貝、榎本といった、皮膚科医・小児科医たちのパイオニアたちによって、医学論文で繰り返しその存在が指摘されてきている。医学常識として「存在」する。
私が、本ブログで主張しているのは、日本皮膚科学会は、これをステロイド外用剤の副作用と認識して、ガイドラインに記すべきだということだが、そのガイドラインにしても、「触れられていない」というだけで、「存在しない」などと書かれてはいない。
「ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)が存在しない」という趣旨の主張を、医師としてあるいは医師を推測させるような形で、これだけ明確に発信することは、「ステロイド外用剤は危険であって、決して使ってはならない。」という主張と同じくらい偏っている。
cam_engl氏は「脱ステロイドで不幸な目に合う患者のために」という大義名分を掲げているが、「ステロイド依存で不幸な目に合う」かもしれない患者の存在を一顧だにしていない。ここがとても危険だ。 実際には依存に陥ってしまっているが、あるいは依存に陥りやすいタイプであるにも関わらず、氏の「ステロイド外用剤は依存しない」という主張にすがって塗り続けて、依存が進む患者がいるだろう、ということだ。
cam_engl氏が、ステロイド依存(この語がどうしても受け入れられなければ、榎本先生の「ステロイド外用剤によるSteroid Withdrawal Syndrome 様症状」(→こちら)が、氏にとって一番受け入れられやすいと思う)の存在(あるいは存在の可能性)を認めて、その上で脱ステロイドの弊害というか、依存や抵抗性に陥っていないのに、自分が既にそのような状態にあると思い込んでステロイド拒否に走る患者に警鐘を鳴らすのであれば理解できる。また、現実にそのようなブログのほうが、患者の共感も得やすく、効果的なのではないか?
なぜそうせずに、これだけ「ステロイド外用剤依存が存在しない」ことにこだわるのか解らない。
cam_engl氏は、私に「ブログのコメント欄を開放せよ」と言った要望をしているが、私のコメント欄に、批判的なコメントが寄せられたときには、それが論理的なものである限りは、基本的に私は追記という形で取り上げている(→こちら、こちら、こちら)。
ブログを初めて数年になるが、これまでに寄せられた批判的なコメントは、記憶する限りこの3つくらいだ。cam_engl氏のブログには批判的なコメントが多い。私はcam_engl氏のブログが、氏が考えているよりはるかに偏っているからだと考える。
【追記2】
cam_engl氏が記事を更新した(→こちら)
と記されている。
同じ事を何度も記すが。私のいう「ステロイド依存」は、Kligman(→こちら)、Burry(→こちら)、Rapaport(→こちら)、日本では、須貝(→こちら)、榎本(→こちら)ら、皮膚科医のパイオニアたちが論文として報告してきたそれだ。
「ステロイド依存」は私が独自に言い出した言葉ではない。これらの先生方が指し示している病態を、当時自分が診ていた患者において「こういうケースがステロイド依存なのだろう」と私なりに考え、一般向けに解説したのが「ステロイド依存―ステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために」(→こちら)であり、医師向け医学書として刊行したのが「アトピー性皮膚炎とステロイド離脱」(→こちら)だ。
私の2冊の本は、ケースシリーズと言っていいので、「ステロイド依存とは何か」を正しく理解したいのであれば、最初にあげた先人たちの医学論文を読んで、それらの共通項を読み取ろうとするのが良いと思う。その上で私のケースシリーズの写真経過を見るといい。両方とも絶版だが、後者の医学書のほうは、全国の医大に寄贈してあるので、近隣の医大図書館へ行けばあるはずだ。
榎本先生の論文を私がとくに薦めているように理解したようだが、そうではなく、ステロイド依存という言葉が嫌なら、榎本先生の論文表題のような表現はどうか?ということだ。
cam_engl氏が皮膚科医であったら、ひょっとしたらこう書けば理解の助けになるかもしれないと考えて記すが、ステロイド依存とは、皮膚科的には、その時その時の皮疹だけからは見えてこない。時間経過における一連の皮疹 の流れのパターンとして存在する(→こちら)。
コメント欄にも追加があった(→こちら)。
cam_engl氏はこう記す。
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同じ事を何度も記すが。私のいう「ステロイド依存」は、Kligman(→こちら)、Burry(→こちら)、Rapaport(→こちら)、日本では、須貝(→こちら)、榎本(→こちら)ら、皮膚科医のパイオニアたちが論文として報告してきたそれだ。
「ステロイド依存」は私が独自に言い出した言葉ではない。これらの先生方が指し示している病態を、当時自分が診ていた患者において「こういうケースがステロイド依存なのだろう」と私なりに考え、一般向けに解説したのが「ステロイド依存―ステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために」(→こちら)であり、医師向け医学書として刊行したのが「アトピー性皮膚炎とステロイド離脱」(→こちら)だ。
私の2冊の本は、ケースシリーズと言っていいので、「ステロイド依存とは何か」を正しく理解したいのであれば、最初にあげた先人たちの医学論文を読んで、それらの共通項を読み取ろうとするのが良いと思う。その上で私のケースシリーズの写真経過を見るといい。両方とも絶版だが、後者の医学書のほうは、全国の医大に寄贈してあるので、近隣の医大図書館へ行けばあるはずだ。
榎本先生の論文を私がとくに薦めているように理解したようだが、そうではなく、ステロイド依存という言葉が嫌なら、榎本先生の論文表題のような表現はどうか?ということだ。
cam_engl氏が皮膚科医であったら、ひょっとしたらこう書けば理解の助けになるかもしれないと考えて記すが、ステロイド依存とは、皮膚科的には、その時その時の皮疹だけからは見えてこない。時間経過における一連の皮疹 の流れのパターンとして存在する(→こちら)。
コメント欄にも追加があった(→こちら)。
cam_engl氏はこう記す。
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そんなことはない。それこそがまさに「脱ステロイド」だ。
だから私は、「脱ステロイドは副作用報告だ」と何度も繰り返してきた。この点こそがcam_engl氏の「脱ステロイド療法」に対する基本的な思い込み・誤解ではないか?「脱ステロイド」療法ではなく、脱「ステロイド療法」である。
一言皮肉を云わせてもらうが、脱ステロイド療法に批判的な側から、脱ステロイド療法とはこういうものだ、という定義のようなものを聞かされるとは思わなかった。筋違いも甚だしい。迷惑で勝手な思い込みである。
また、
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そんなことはない。それこそがまさに「脱ステロイド」だ。
だから私は、「脱ステロイドは副作用報告だ」と何度も繰り返してきた。この点こそがcam_engl氏の「脱ステロイド療法」に対する基本的な思い込み・誤解ではないか?「脱ステロイド」療法ではなく、脱「ステロイド療法」である。
一言皮肉を云わせてもらうが、脱ステロイド療法に批判的な側から、脱ステロイド療法とはこういうものだ、という定義のようなものを聞かされるとは思わなかった。筋違いも甚だしい。迷惑で勝手な思い込みである。
また、
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というコメントに対し、cam_engl氏は「違います」と答えている。
私が代わりに「その通りです」と答えておく。ステロイド依存の分子生物学的なメカニズムが解明されつつあるが、それはまさに、そのようなステロイドのもつ二面性(両刃の剣)から導き出されつつある。
2013.02.02
というコメントに対し、cam_engl氏は「違います」と答えている。
私が代わりに「その通りです」と答えておく。ステロイド依存の分子生物学的なメカニズムが解明されつつあるが、それはまさに、そのようなステロイドのもつ二面性(両刃の剣)から導き出されつつある。
2013.02.02