アイピーディ(スプラタスト)の軟膏が効くかもしれない
アイピーディというのは、服用したことのある方もいるかもしれませんが、抗アレルギー剤の一種で「IgEを下げる効果がある」ことが売りです。ステロイド離脱時のリバウンドを軽減するのに役立ちそうだということが、二重盲験試験で確認されています(以前このブログでも紹介しました→こちら)。
2006年の三重大学皮膚科発の論文で、これを3%の軟膏にして外用すると、アトピーのモデルマウスでの皮膚炎を抑える効果があるという実験結果が報告されていました。
(Topical suplatast tosilate (IPD) ameliorates Th2 cytokine-mediated dermatitis in caspase-1 transgenic mice by downregulating interleukin-4 and interleukin-5. Murakami T et al. Br J Dermatol. 2006 Jul;155(1):27-32.)
2006年の三重大学皮膚科発の論文で、これを3%の軟膏にして外用すると、アトピーのモデルマウスでの皮膚炎を抑える効果があるという実験結果が報告されていました。
(Topical suplatast tosilate (IPD) ameliorates Th2 cytokine-mediated dermatitis in caspase-1 transgenic mice by downregulating interleukin-4 and interleukin-5. Murakami T et al. Br J Dermatol. 2006 Jul;155(1):27-32.)
上図の写真左(a)はマウスに白色ワセリン(WP)を外用した結果で、右(b)はアイピーディ軟膏を隔日で外用した結果です。(c)は皮膚炎の面積を時系列で追ったグラフです(このマウスは表皮細胞を遺伝子操作することによって、IgEが上昇し、アトピー様皮膚炎を自然発症するというものです。アイピーディ(IPD)軟膏を外用するとそれが抑えられています)。
アイピーディ軟膏を外用すると、マウスの血中のヒスタミン・IgE・IL-18は上昇しません。
IL-4、IL-5は、アイピィーディ軟膏によって、遺伝子レベルで抑制されていることがわかります。
最初に紹介した、木俣先生の1999の論文は、患者でのアイピーディの内服の効果を確認したものですが、そのときのデータによく似ています。
最初に紹介した、木俣先生の1999の論文は、患者でのアイピーディの内服の効果を確認したものですが、そのときのデータによく似ています。
なぜ、今回、この論文(アイピーディ軟膏)に注目しているかというと、クロフィブラートのノンリスポンダーに有効かもしれないと考えたからです。 クロフィブラートは、佐賀大の論文のイラストを借りて解説すると、既に記したように、下図赤丸のところで効きます。
ロシグリタゾン(AVANDIA)は、下図赤丸の個所です。
一方、アイピーディは、下図赤丸の個所に作用します。
クロフィブラートが抑えるのは、表皮細胞が産生するサイトカインのパート、いわば「表皮性炎症」の部分です。アイピーディはリンパ球、それもTh2系のサイトカイン産生の部分、「Th2系炎症」を抑えます。クロフィブラートが効かないタイプは、表皮性炎症<Th2系炎症ではないか?、ということです。
ステロイドの場合は、このサークル全体を強く抑えます。その結果、解除時に何らかのメカニズム(タイムラグ?)が働いて、リバウンドを起こすのではないかという私の推論については既に記しました(→こちら)。
アイピーディを内服でなく外用で投与するメリットは、眠気などの副作用が無いだろうという点です。というか、もし外用で効果があるなら、そもそも内服するメリットは何なんだ?と問い返してもいい話です。
早速、週明けにも問屋にアイピーディを注文して、3%軟膏を作成し、クロフィブラートノンリスポンダーであった方々に試用をお願いしてみます。
クロフィブラートもアイピーディも、作用箇所はステロイドに比べると部分的なので、外用時の効果としては、ステロイドに劣るでしょうが、その代わりリバウンドが無い、ということだと思います(注:クロフィブラートについてはリバウンドを起こさないであろうことが動物実験で確認されていますが、アイピーディ外用についてはリバウンドに関するデータはありません。私の推測です)。
しかし、「ステロイド外用剤に依存はない、リバウンドは起こさない」という立場からは、このメリットは否定されて、単に「ステロイド外用剤よりも弱い」というだけの軟膏となります。これでは顧みられる道理がありません。
「ステロイド外用剤よりも抗炎症効果が弱い」という理由でお蔵入りになっている薬剤が、ほかにもいろいろあるのかもしれませんね。
追記1) アイピーディの3%軟膏を試作してみました。
溶解性・安定性などのデータはインタビューフォーム(→こちら)、が参考になります。水に極めて溶けやすいが、有機溶剤には溶けにくそうです。
カプセルなので、最初から粉末になっていて、軟膏にするのは楽勝と思ったのですが、想像以上に白色ワセリンとの相性が悪く、ザラザラして溶けません。
親水軟膏(バニシングクリームのようなもの)だと溶けるので、これを基剤にしてみました。
ステロイドの場合は、このサークル全体を強く抑えます。その結果、解除時に何らかのメカニズム(タイムラグ?)が働いて、リバウンドを起こすのではないかという私の推論については既に記しました(→こちら)。
アイピーディを内服でなく外用で投与するメリットは、眠気などの副作用が無いだろうという点です。というか、もし外用で効果があるなら、そもそも内服するメリットは何なんだ?と問い返してもいい話です。
早速、週明けにも問屋にアイピーディを注文して、3%軟膏を作成し、クロフィブラートノンリスポンダーであった方々に試用をお願いしてみます。
クロフィブラートもアイピーディも、作用箇所はステロイドに比べると部分的なので、外用時の効果としては、ステロイドに劣るでしょうが、その代わりリバウンドが無い、ということだと思います(注:クロフィブラートについてはリバウンドを起こさないであろうことが動物実験で確認されていますが、アイピーディ外用についてはリバウンドに関するデータはありません。私の推測です)。
しかし、「ステロイド外用剤に依存はない、リバウンドは起こさない」という立場からは、このメリットは否定されて、単に「ステロイド外用剤よりも弱い」というだけの軟膏となります。これでは顧みられる道理がありません。
「ステロイド外用剤よりも抗炎症効果が弱い」という理由でお蔵入りになっている薬剤が、ほかにもいろいろあるのかもしれませんね。
追記1) アイピーディの3%軟膏を試作してみました。
溶解性・安定性などのデータはインタビューフォーム(→こちら)、が参考になります。水に極めて溶けやすいが、有機溶剤には溶けにくそうです。
カプセルなので、最初から粉末になっていて、軟膏にするのは楽勝と思ったのですが、想像以上に白色ワセリンとの相性が悪く、ザラザラして溶けません。
親水軟膏(バニシングクリームのようなもの)だと溶けるので、これを基剤にしてみました。